6歳⑫
ヤルベお兄ちゃんは話が終わるのを待ってくれていた。
けれど何となく表情が暗い。
「ヤルベお兄ちゃんどうし…」
「ブレイクと組むの?」
私の言葉を遮ってお兄ちゃんは私に問いかけて来た。
珍しい。
お兄ちゃんは基本的にいつも人のペースを読んで会話してる。
だから人の話を遮る事はめったに無い。
もう半年以上の付き合いになるけど数えるほどだもんね。
「うん、みんな決まってそうだからいいかなーって余り物同士丁度いいよね」
お兄ちゃんは凄い困った顔をして言うべきか言わざるべきかと思案しているのがわかる。
うーん…?
「そのミリアが余るって事もきっと無かったし、それにブレイクも人気者だよ…」
うん?
お兄ちゃんは優しいなぁ。
私へのフォローに感謝しつつブレイクが人気者だという言葉にハッとする。
そういやあいつガキ大将だったんだ。
レデンとミュニはともかくその一つ下のニールやリンサなんかはいっつも周りにいる。
「もう組むって返事しちゃったんだね?」
念を押すような確認に一応頷く。
なんか怖い…やっぱり断ろうかな。
ちょっと怖気づいた私にお兄ちゃんは苦笑しながら言う。
「それは多分出来ないよ、ブレイクは一度決めた事は曲げないからね」
言われなくともそんな気はしていた。
あー!また意味解んない所で恨み買っちゃうかも!?
そう思うと気が重い。
でもまぁ受けちゃったもんは仕方ないよね。
その日は適当に流して翌朝教室で本を読んでいると今日もディファルが少し早めに来た。
「ミリアお姉ちゃんお祭りの事なんだけど…」
いい難そうなディファルにブレイクが組んでくれる事になったと伝える。
え、と固まったまま動かなくなったディファルの前で手を振ってみる。
「…そうですか…」
どうやら私にペアが居ない事を気にかけてくれてたみたいだ。
ディファルは優しいなぁ。
「気使ってくれてありがとね」
感謝を伝えても曖昧な笑顔で無言のまま。
やっぱりヤルベお兄ちゃんみたいにブレイクと組むことを心配してるんだろうなぁ。
考えないようにしてるけど実は私も不安なんだよねぇ。
さて今日の授業も王家についてだった。
第18王子までの名前を復唱させられる。
全く多すぎだよちょっと王様頑張りすぎじゃない?
ちなみにこの世界で庶民は1:1だけど貴族や王家は妾を持つ事が推奨されている。
だから王妃様も15人もいるのだ。
何度聞いても全く覚えられない。
アサンカルディジョバイノティークエチュードとか何処で区切るのかさっぱり解んないような名前ばっかりなの。
男か女の名前なのかも区別付かないよ。
庶民は名字がないけど貴族は名字があるからどっかは名字なんだろうけどさー。
15人全員全く違う名前だからやっぱり貴族は長い名前を付けないといけないとかそういう決まりがあるのかも。
でもヴィオラは平然と覚えてたりするからやっぱり私の頭の出来が残念なのかもしれない。
「アルカサルシィ…」
覚えようと口の中で何度も転がしてみる。
「ちょっとそれ、誰よ!アサンカルディジョバイノティークエチュード様でしょ!」
横からくるヴィオラのツッコミに笑ってごまかした。
いやいや、こんなの一発で覚えられないって!
なんとか授業が終わって疲労困憊。
机に突っ伏して体をおもいっきり伸ばしてみる。
「おい、ミリア今から特訓いくぞー!」
いつの間にか正面にいたブレイクに声をかけられた。
え、っと反応したのは私だけではない。
私の横にいたヴィオラにゾラード、それからまだ教室にいたニールやリンサまでが寄って来た。
わ、わ、ちょっとやめてよー!




