6歳⑦
さてラグリム君からのお手紙が届いて今日で10日目。
何事も無い平和な毎日が続いておりましたが…ついに私ファルちゃんに100マス計算で負けてしました。
ううーん…まだ足し算だけとは言えまさか一月持たないとは…
頑張ったのになぁ。
しょげる私に追い討ちをかけるようにファルちゃんは興奮気味に言い放った。
「じゃあ約束守ってくれますよね!」
…う。
私がお願いを聞いてもらった以上断り難い。
仕方ない、あまり無茶を言われないと良いけど…私は腹を括って頷いた。
「その、僕のことはディファルって呼んでください!」
どうやらファルちゃんと呼んでるのが時々外に出ているみたいでそれがずっと不満だったらしい。
ファルちゃんって言ったら余計に女の子っぽいもんね。
どうやらディファル君はもっと男らしくなりたいらしく、かわいいかわいいっと言われるのは不満みたい。
そう言う所は男の子だよねぇ。
お姉ちゃんと呼ばせた手前断る理由もなく私は頷く事にした。
心の中だけでもファルちゃんと呼び続けたらいつかボロが出そうなのでここはディファルで統一しよう。
さてただの足し算の100マス計算如きで調子に乗ってもらっては困る。
次は勿論引き算だ。
そしてこの世界驚く事にマイナスの概念がなかったのだ。
あ、ゼロの概念はあります。
なので計算式で表すと
1-9=0
っというむちゃくちゃな計算になるのです。
そしてこれが正しい答えとされてます。
全くゆとりもビックリな教育でしょ!
だから私はラグリム君と初めて引き算で勝負しちゃった時に0であふれる解答欄に思わず突っ込んじゃったのよね。
間違ってるよって。
まぁそこからマイナスの話になった。
「簡単に説明するとマイナスというのはねいくつ足りないかを表す物なの」
へー!
っと目を輝かせるディファルに私は簡単な例題を作って話を進める。
算数でいう文章問題ね。
「私とディファルとゾラードとヴィオラで3つのパンを食べます。一人1つ食べたい時に足りないのはいくつですか?」
4-3=1
で、1こ足りない。
これを簡潔に表せるのがマイナスという概念だ。
っというような話をラグリム君にもしたっけ。
ディファルもふむふむと頷きながら聞いている。
ああ、こういう話をしてたのを聞いてたから先生は私をディファル君に当てたのかもしれない。
今ではこの学校でもマイナスを習うようになったし…私もこの世界に影響を与えてると言える。
他の所でもやってるのかは知らないけどね。
さてマイナスの感覚にまだ慣れないディファル君は流石にまだ私に勝てなかった。
ふふん!
私に完勝しようなんてまだ5年は早いのよ!




