6歳④
さて今日からファルちゃんの先生に就任しましたミリアです!
胸を張ってみたけど結局は10歳が5歳の子を教えている計算の授業の間だけの事なんだよね。
よくよく考えたらラグリム君は私に付いててくれた事になるのかな?
まぁまともに勉強なんてしたことなかったけどね。
いっつも遊んでばっかり居たけど先生絶対気づいてたと思うのに一度も怒られなかったなぁ。
まぁ新入生とは仲良くなりたかったんだから丁度いいよね。
早速はじまった計算の授業。
レデンが他の4人を教えている間私がファルちゃんを教える形になりました。
「今日からよろしくね」
ファルちゃんの前に座って挨拶する。
6歳の私に相手されるとは思っていなかったらしく少々面食らったような表情だけどすぐににこやかな顔にもどってハイッと元気の良い返事が返ってきた。
「じゃあ早速、どこまで出来るかお手並み拝見しましょうか」
そういって私は黒板に大量の線を引く。
勿論やるのは100マス計算だ。
まずは足し算からね。
「何ですかそれ?」
不思議そうなファルちゃんに勿論一から説明する。
10歳だったラグリム君よりは劣るもののファルちゃんも十分に飲み込みが早い。
一度一緒に全部埋めてから私は黒板を真っ白に戻しもう一度新しく線を引きなおした。
「じゃあ、私と勝負しましょうか」
え、と驚いた声を上げるファルちゃんに私はにっこりと笑う。
私がいけない上級学校に行くのだからこれくらいは超えてもらわないと困る。
結果は私の圧勝だった。
「私に勝てるようになるまでやりましょうね」
そう声をかけるとファルちゃんの目は燃えていた。
あ、これは相当な負けず嫌いだな。
まぁ負けず嫌いの方が伸びるけどね。
私なんかに負けてるようじゃラグリム君には到底勝てないだろうし。
だって私が初めてラグリム君とやった時から一度も彼に勝っていない。
最初の最初ですらドローだった。
その日は2回やって2回とも私の圧勝だった。
ふふふ…
なーんだ『天才』って言っても対した事ないじゃない。
なんてちょっと余裕ぶってみる。
なにせ私には20年と1年のハンデがあるのだ。
5つになったばかりの子に負けていられない。
「…絶対勝ちます」
そう闘志を燃やすファルちゃんに私は笑って頷く。
まだまだ負けないんだからね!
ちなみに他の子はまだ数字と数の勉強中だ。
まだ足し算まですら進んでいない。
だからファルちゃんが賢いのは間違いないんだけど何故だか簡単に認めたくない。
私も大概負けず嫌いだったな、っと今思い出した。




