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5歳⑯

今日もゾラードとヴィオラが唸り声をあげる算数の時間がやってまいりました。

そう!この時間は私とラグリム君の勝負の時です。


前回のリベンジに私はめっちゃ燃えてるんだからね!


けれど私だって馬鹿じゃない。

100マス計算も○×ゲームでだってもう勝つのは難しいこと位解る。

ラグリムは天才だって素直に認めようじゃないか。


…でもね、負けたままじゃ悔しいじゃない!

だから私新しい勝負を挑む事にしたの。

ラグリム君が知らないゲームならきっと勝てる筈だ。

ずるいと言われ様が負けっぱなしよりはずっと良いもんね。


そう、それは「5負けゲーム!」

これも小学生位のときに遊んだ手遊びの一つね。

両手を人差し指だけ立てて相手に向ける。

向かい合ってお互いに指を指しあうような感じ。


そして先行が攻撃をすると攻撃をされた方は同じ数だけ指を増やす。

3+3みたいに5を超えたら超えた分だけ残る。

つまりこの場合は1になるわけ。


丁度相手を5にして最後に指が残った方が勝ち!

簡単なルールでしょ?


ふーんと解ったような解ってないような返事のラグリム君に私は早速始める。

実はこのゲーム後攻の方が少し有利だ。

何せ先行は必ず相手を2にするしかない。

後攻は3にも2にも選べる。

まぁ3にしちゃうと次で一本持って行かれるんだけどね。

まぁここら辺が駆け引きの妙ってやつでこのゲームの面白い所な訳ですよ。


3回は私が勝った。


「ふーん…なるほどね」


ラグリム君が意味深な言葉を発した後また私の勝率がガクっと下がった。

おかしい!

なんかズルしてるのでは?

目を細めてラグリム君を見る。


「ズルしてるのはミリアだよね?」


ズバっと返されて私は背中に冷や汗が浮かぶのを感じた。

もしや後攻が有利だから後攻ばっかりやってたの見破られていた!?


「ズルしてるのはミリアだよね?」


何も答えない私にダメ押しとばかり妙にニコニコと笑いながら顔をずずいと近づけてくる。

うう…。

思わず身を引いてしまったがこれは答えを言ったも同じだ。


「まぁいいけどね」


ふっと笑ってラグリム君は姿勢を元に戻すと何故かヤルベお兄ちゃんの方を向いていた。

私も釣られて視線を移すけどそこには一生懸命勉強してるお兄ちゃんがいるだけ。

うーん…?


まぁいっか。

よく解らない事は考えても仕方ない。

これはまた違うゲーム考えなきゃなぁ。


そういえばこの5負けゲームのお蔭でゾラードとミリアが一桁計算をマスターしました!

人間興味がある事を学ぶ方がよく覚えるって事だね。


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