5歳⑭
翌朝はヤルベお兄ちゃんに断って一人で少し早めに学校へ。
一人での登校はちょっと寂しいけど後ろの本は気になって仕方ないんだよね。
教室に居る先生に挨拶と断りを入れてから本棚に向かう。
まずはどの本を読もうかな…
いや、どうせ全部読むんだから一番左端からにしようかな。
手に取った本は「人体構造について」だった。
うーむ…最初に読むにしては難しい本だったかも…
自分のチョイスにちょっと後悔しつつも一度決めた事だしね!
っと決心してそのままいつもの自分の席へ異動する。
頭に脳があって胸に心臓や肺があってお腹のあたりに腸や胃がある。
どうやら私が「ムコウ」で習った構造と変わりないように思う。
写真のように色こそ付いていないもののかなり習ったものに近い事を考えたらこれ書いた人は恐らく実際に人解剖したんだろうなと思う。
一瞬ゾッとしたものの別に解剖自体はムコウでもやってる事だったなって思い直す。
けれどどの部位が具体的にどうというのはまだ少しあやふやなように感じる。
例えば胸にある心臓…ココにいわゆる記憶媒体があって心はここで作り出すと考えられているようだ。
うーん…じゃあ脳はどういう風に考えられているのか気になってパラパラと脳について書かれているページを捲る。
「無いと思ったらミリアがその本読んでるのか」
心底以外だという声でラグリム君に声をかけられた。
まぁ読んでて面白い本ではないよね。
「これ読みたいの?」
大きく頷いたラグリム君に私はそっと本を手渡す。
別に凄く読みたかったわけでもないし。
「ありがとう」
嬉しそうに受け取って本を開く。
そのまま本から視線を動かさずにラグリム君は語りだした。
「将来は医者になってこの町に戻って来たいんだ」
その言葉になるほどと頷く。
5年に一人の天才ならなれるんじゃないかな!
ラグリム君はすごく頭がいい。
勿論勉強が出来るって意味もあるけど要領がいいというか理解が早いタイプ。
1をきいて10解る人ってこと。
100マス計算にしても○×ゲームにしても単純な事だけどあっというまに理解しちゃったもんね。
「ラグリム君ならなれるよ」
私は本当にそう思っている。
ラグリム君は私の言葉に返事を返さずに淡々と本を読んでいる。
さっきには独り言で私に返事を求めてなかったのかな?
ま、いいや。
その隣の本をとりに行こうと立ち上がったときにラグリム君がポツリと漏らした。
「…けどね」
聞き取れずにえ?とラグリム君の方をみる。
けれど彼はもう一度口に出す気はないみたいで視線が明らかに合ってるのに無言のまま。
そのまま無言でお互い見詰め合っているとヤルベお兄ちゃんがやってきた。
あ、もうこんな時間!?
本殆ど読めなかった…。




