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5歳⑨

「世の中には大きく分けて2種類の魔法があります、この2つは解るかな?」


先生の言葉に私の後ろの席からハーイと返事が返ってくる。

このやり取りは前世の学校みたいで少し懐かしい。


「瞬間魔法と永続魔法です!」


さてその瞬間魔法と永続魔法の違いはなんなのか。

答えは簡単、その瞬間だけ効果があるものと永続的に効果のあるもの。

まぁ読んで字のままだよね。


ただ、問題なのは永続魔法は一度使ったら死ぬまで効果を発揮し続けてその効果を解くことは出来ない。

そして他の一切の魔法が使えなくなるのだ!


ま、まじでー!?


じゃあ永続魔法なんて選ぶ方が少数派だと思うじゃん?

折角ある魔法使いたいし!

色々使えるほうがお得だと思うよね。


でも実際には逆で永続魔法を選択する人の方が多いらしい。

怪我をしにくくする為に体をちょっと丈夫にできるんだって。

たしかにそれは便利そうだけど…

医学とかあんまり発展してるイメージないしね。

病気も怪我も死活問題だ。

でも他に一生魔法使えないなんてヤダー!


それに対して瞬間魔法は炎の玉を出すとか一瞬だけ早く走れるようにするとかそういう感じ。

魔法使いと言われて思い浮かぶのはこっちだよね。

勿論私もこっちを選びたい。


けれどここに落とし穴があった。

瞬間魔法を使うと魔力を消費します。

この魔力は有限です。


まぁここまではいいよね。

ファンタジーな世界でも魔法は有限である事が多いもの。


そして魔力の上限は産まれた時から死ぬまで変わりません。

使った魔力を回復するには魔力を回復できるような聖水のような物を飲むか自然回復しか手が無いんだって。

勿論その聖水のような物は超高価、一般市民の手が届くような物ではございません。

金貨100枚とかするらしいよ。


ちなみに騎士だったあのバカ野郎は月に80枚程度だったみたい。

これでどれだけ高価かわかってもらえるかな?

私みたいな子供がおいそれと手に出来るものじゃないのよね。


じゃあ自然回復すればいいじゃないって思うよね?

ほらゲームとかでも寝たら回復するもん。

そんなイメージでふむふむ聞いていたら…

一度使い切ったら完全回復するまで半年~1年はかかるんだって。


ま、まじか!?


私だとどれ位の魔法が使えるのか…おそるおそる尋ねてみた。


「そうですね…炎の魔法ならこれくらい物を3秒程度っといった感じでしょうか?」


先生は小指の第一関節くらいまでの短い距離を指で示しながらなんでもない事に言う。

え…?

それってマッチ棒の火程度って事よね?

しかもたった3秒間?

半年に一度だけ…



これっぽっちも使えないじゃん!

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