5歳⑦
ポツポツとやってきた子達に挨拶をする。
今は全員で23人。
内毎日通えるのは半分よりちょっと多いくらいらしい。
この世界は私が思っている以上に貧しい人が多いみたいだ。
この学校は5歳~10歳までが通う所謂小学校。
それ以上はこの町にはなくて私の住んでいた王都まで行かないと無いらしい。
そしてそこまで行くのは町でも5年に1回あるかないかなんだとか。
今年10歳の子は2人いて一人はおさげが良く似合う大人しい感じの女の子。
もう一人は緑の髪っていう漫画でしか見た事無いような色。
しかもね、なんかライトグリーンっていうの?パステルカラーみたいな自然ぽく無い色。
凄く頭が良い男の子らしいんだけど髪の色しか目に入らなかったや。
ふむ、今まで考えたこと無かったけど実はゲームの世界とか漫画の世界とかに転生しちゃった系なのかな?
しっかし今まで知ってる名前とか出てこなかったしなぁ。
どっちにしても知らないなら一緒だよね。
考えるだけムダムダ!
そして噂のゾラード君は…うん、多分大人になったらイケメンになるんだろうなと思う。
ほらツーブロックのウルフカット風の髪型はなんとなく雰囲気イケメンとかよくやってそうだしね。
でも大きな目以外は何処と無くあの男に似ていてちょっと苦手かもしれない。
挨拶しかせずに、すぐに離れたけどなんだかこっちをジロジロ見てきてて苦手だ。
ムッとして睨み返すと慌てて視線を外す所もなんかヤダ。
その視線から隠れたくてヤルベお兄ちゃんの背中に身を隠した。
そしてヴィオラちゃんは透通るような金髪ですっごい羨ましい。
私もあんな綺麗な色が良かったなぁ。
前世のまっ黒よりはいいけど……
そしてヴィオラちゃんには明らかに敵意の篭った目で睨みつけられています。
めっちゃ怖い。
え?もしかしてヤルベお兄ちゃんを狙ってる!?
……お兄ちゃんは渡さないぞ!
席は年齢順に固められるのでお兄ちゃんの隣は確保できなかったけど……まぁそれは仕方ない。
私、ヴィオラ、ゾラードの順で一つの長机を使う。
年齢ごとに先生が順番に回ってきて教えてくれるシステムのようだ。
「私貴女には負けないわ」
横に座ったヴィオラが私にだけ聞こえるようにボソっとライバル宣言をしてきた。
なにおぅ!?私だって負けませんけど?
っと返したい気持ちをなんとか落ち着かせる。
相手は5歳の子供だ、ムキになる方がおかしい。
なにせ私の方が20年も先輩なんだからここは大人らしく軽く流す所だだろう。
「ちょっと聞いてるの!?」
スルーしているとヴィオラが立ち上がって大きな声で私に向かって叫ぶ。
7歳グループに教えていた先生含めみんな一斉に注目した。
恥ずかしくなったのか顔を真っ赤にしてヴィオラは何も言わずにそのまま席に着く。
ふっ勝ったな!
自信マンマンだった私だけど後から私も一緒に先生に怒られた。
なんでー?納得できないんですけど!




