第3話 初めての覚悟
巨体の彼がいなくなりどのくらいの時が流れただろう
時間の流れがわからなくなるとはここまで恐怖心を抱くとは思いもしなかった、
さらにこの窓すらない密閉空間、そして足首の鎖、
もはや精神がおかしくなりそうだ、
そもそも、彼が言っていた”チーム”とはなんなのか、知る由もなければ、調べようもない、果たしてこれでいいのか、なんて思っていると、本のめくる音が聞こえる、
今、ここには僕しかいないはずだ、
恐る恐る後ろを振り向くと、そこには一人の少女がいた、
見た目は貴族、16歳頃という感じだ、
「あら、もう気付いたのね、やっぱり貴方は素質あるわ…ふふっ…」
ドアが開いた気配はしなかった、窓の無いこの部屋で、一体いつ入って来たのだろうか…
すると彼女は読んでいた本を閉じ、立ち上がると僕の足に触れた、
「これは私にしか開けられないの、だから私はこれを開けに来たの、ただ、それだけよ、ふふっ…」
すると、足首を見ると繋がっていた鎖は解かれていた、
「あっ、ありがと…」
僕はそう言いかけ、顔を上げるとそこに不気味な彼女はもうそこにはいなかった、
あるのはただ一通の書き置きのみだった、
-ドアを開き、右に進む、そして三つ目の十字路を左に曲がり、左側三番目のドアに貴方の活路は開かれる-
残された書き置きの通りに進むとそこには第三特殊部隊と明朝体で書かれている表札が掲げられているドアの前にたどり着いていた、
ここは…
僕はこのドアを開けた瞬間活路が開かれるのだろうか、覚悟を決めなければ、
そして、僕はドアを引く……………ドアを引く…開かない……
すると、ドアが開かれた、そこには巨体の彼が立っていた、
「ようこそ、第三特殊部隊へ」
ドアは押すタイプだった。