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この恋と私。  作者: 杉原綾乃
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笑顔なんて嘘ばかりよ

2回目のデートで、「帰らないで。」と言われた。私は何度か帰ると伝えたが、駅前の喫煙所で折れた。


ホテルで「この間会った時よりも、ずっと可愛い。」とキスをされてからは、私のチープな抵抗も虚しい。会ってしまえば、押しの強い男に弱い。両手を抑えられセーターをたくし上げられ露わになった肌を、彼はもう一方の手でそっとなぞる。

「ふぅっ…」

目が合うと私の言葉は、唇で塞がれる。自分でももっと赤くなるのが分かる。

「可愛い。ねぇ、キスして。」

首を振って私は拒否する。

「こんなの嫌。」

私がそういうと、彼は困ったように笑って私の手を離した。

「じゃぁ抵抗しないで。」

顔を寄せられ至近距離で囁かれる。私だって、26歳。男とホテルに入ればこうなることは分かっている。嫌がる素振りだって出来る。私は力を抜いて、身をゆだねた。

「良い子だね。」

それから彼はゆっくりと私から服を奪い去ると、全身にキスをした。時に舌や指先でなぞられ、私はピクリと反応してしまう。

不意に脚を持ち上げられ、私は声をあげる。

「やっ、」

「恥ずかしい?ここ、感じるでしょ。」

彼は二、三度指を沿わすと指先を軽く押し込む。

「あっ、」

それだけで私は身を捩ってしまいそうになるのに、彼は顔を埋めその唾液で私を濡らした。

「すごい濡れてきた。エッチ嫌いじゃないんだね。」

私は腹が立って、枕を投げ付ける。

「良くないの?」

「そ…そういうことじゃないっ。」

「なら、どういうこと?」

彼はさらに指を押し込む。

「んんっ…。」

「教えてくれないの?」

尋ねてくるくせに、応えを聞く気はないらしい。彼は乳房に舌を這わせ、私から言葉を奪う。いとも簡単に。


すっかり肩で息する私を彼は「可愛い。」と抱き締めてキスをする。今度はより深く。耳を塞ぎたくなるような、卑猥な音が部屋に響いた。

「ねぇ、今ならキスしてくれる?」

私は目を逸らしながら、彼の頬にキスをした。


結論から言うと、そこまでしておいて彼は最後まで私を抱かなかった。自分は衣服をまとったまま私を悪戯に弄んだと言って過言でない!こっちのが欲求不満になるわ!私は心のなかで悪態を吐きながら、

「また会える?」

と聞く彼に、笑顔で別れた。

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