黒ローブの魔物使い
宝玉の使い方を話したのか? といった問いかけにアンは、
「話すわけありません。私はあの“魔物使い”を完全に信用していない」
「でしょうね。その割には、魔物を操る魔道具などに簡単に手を伸ばしているようですが」
「! それは私がただの“魔物使い”であるようにする必要があって、それに戦うには都合が良かったから……」
「信用できない相手の怪しい魔法を使おうとしたと」
そこまでミミが告げるとアンは吐き出すように、
「信用は、出来ない。でも、あの人は私の事をよく分かってくれた」
「出会ったばかりなのにどうしてそんなにアンのことがわかるのですか? ずっと様子見されていたのでは!」
「違う! 同じような体験をしているような話を、彼も話していた」
「それは話を合わせていたのでは?」
「……過去の出来事が偶然幾つか一緒で……それも私が知らないような事ばかりで」
「……とりあえず言っておきます。リリは呪いがとかれて元気です。そんなに気になるなら今すぐにここから里にアラタ様に送っていただきますが、どうしますか?」
「それ、は……」
アンが口ごもる。
やはり自分のしていたことに対する後ろめたさがあるのだろうか?
それとも本当にリリの呪いがとかれていると信用できないのだろうか?
そう僕が思っていて見ていると、誰かが奥の方から戻ってくるのが見える。
ゆったりとした足取りのその人物は現れる。
黒いローブを着た人物。
彼は手に何かを持っている。
それは透明なガラス玉のようにも僕には見えたけれど、
「宝玉」
ぽつりと、フィスが呟いたのだった。




