第一次遭遇戦
特殊能力を使って、お世話になっている神殿に戻って来た僕達だけれど、そこには破壊された壁と倒れた人々がいる。
彼等にはすぐに治療が施されているようだったのでそちらはお任せできそうだった。
そう思っているとミミとフィスが走り出して、大きな穴の開いた壁に入っていく。
僕達も彼女達を追いかけるように走っていく。
中に入るとそこでも倒れている人たちがいる。
だがまだ息はあるようなので大丈夫そうだ、というか人がきてその人達が治療に当たったり運び出したりしている。
そちらのお手伝いをすべきだろうかという気持ちにもなるけれど、宝玉の方が先だと考える。
あの“魔物使い”が宝玉の力を使って何をしようとしているのか分からない。
だったら止めるべき、そう思って僕達も走り出す。と、
「サナ、カレン、アラタ様、3人とも子の先は危険です」
ここの神殿の人が、そう僕達を止めたけれど、さっと二手に分かれてその人を避けるように駆け抜ける。
そこでサナが、
「今は私達が頑張らないといけないんです!」
「ここで待っているのは、後悔しそうですから」
すぐにカレンもそういって走り出す。
何かをその神殿の人は言っていたが、僕達はそれよりも進むことを優先した。
やがて爆音のような音と悲鳴が聞こえて、そこで、
「もう、突然走り出すからっ私も大変だよ」
シェルがそう言って一番後ろを走って来たかと思うとそこで、黒いローブを着た人がすぐ横の道から現れる。そして、
「シェル、裏切ったのですか?」
「あ、アン、違うよ。私負けちゃったからいっしょにいるだけ」
「! シェルが負けた……やはり警戒すべき相手のようですね」
そう、黒いローブを着た……アンが僕達に告げたのだった。




