真面目なんだもん
シェルは何処か、目覚めると共にそう叫んだミミ。
焦燥感漂う彼女の様子に、僕はとりあえず落ち着かせようと、
「ミミ落ち着こう」
「そ、そうですね……」
ミミがそう呟いた所で、フィスが目を覚まして、
「! シェルは、シェルはどうした!」
同じように叫ぶ。
けれどまずはどうしてこうなったかの説明を聞かないといけない。
そこでゆっくりと飛び上がったアルトがフィスの肩にとまり、
「フィス、何があったか話してからでないと……気持ちは分かりますが」
「そうだ、そうだ……」
よほど衝撃的な出来事であるらしく、そう言ってアルトがフィスを落ち着かせる。
それから話し出したのは、ミミだった。
「ご存じのとおり“宝玉”を求めてこの里に来たのですが、“魔物使い”と遭遇してしまい、戦闘になりまして」
「それで“宝玉”は奪われてしまったと」
「いえ、“宝玉”はまだ手を付けていないようです。以前諸事情により場所を変更してもらったのが良かったようです。多分そちらに辿り着く前に他の場所に向かう事になるかと」
ミミがそう話してから僕は、
「でもどうしてそのシェルという人物? が関係するのかな?」
「黒い猫耳のシェルは私達と同じ“宝玉”の巫女なのですが、その……宝玉について同年代ではよく知らないのです。強い力を持っているけれど、楽しい事が大好きで、勉強からよく逃げていましたから……だからあのような発言になるのでしょうが」
「あのような発言?」
「『だって、二人とも真面目なんだもん♪ もっと私は楽しい事がしたいの』だそうです。あの子はチョロい子なので、唆すのはそんなに難しくないのです。そういえば、アンと同じような方向に彼女は追いかけたはずですね」
嘆息するように、ミミは呟いたのだった。




