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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

執事は王女を守るものです

作者: 羅針盤

あるところに1人の男が立っていた。

周りには赤い血が散らばっていた。其の散らばっている物の残骸を見てみるとエスペリア王国の正規軍の物だった。その数、万にも及ぶ数だった。

全ては、其処に佇む黒い外套に身を包み髑髏の仮面をつけている長身の男の手によって。




エスペリア王国宮殿では。2人の男が話していた。1人は太った老人、もう1人は執事の恰好をした若者。

「なに!我が国の軍が壊滅したじゃと!何処の国の兵に殺られた?」

「いえ。其れが分からないのです」

「なんじゃと?何故じゃ」

「生存所もおらず、誰1人として帰ってくる事すら出来ませんでしたので。しかも、全滅するまでに掛かった時間も短いと思われますので」

「分かった。もう下がっておれ」

「分かりました」

執事の男が立ち去ると部屋の中から老人の喚き声が聞こえてきた。執事の男の口元には笑みが浮かんでいた事に周りに居た他の使用人には気付けなかった。


執事の男は其の足で王女の元へと向かった。

部屋のノックを4回してから入りベッドの上で寝ている王女を起こした。

「起きてください。王女殿下」

揺すったが起きなかった。なので、仕方なく最終手段を使うことにした。

「起きたらキスをしてあげるよ。ソフィア」

そう言うと勢いよく起きて

「起きたからキスして頂戴、アル」

と言ってきた。調子のいいやつだと呆れつつも唇にキスをした。実はこの2人は周りに内緒で付き合っていた。しかし、彼女は王女という身分故、婚約者がいるのだが、お構いなしに何度か体を重ねていた。

其れから着替えをしてあげた。此れは本来侍女の仕事だが着替えくらいは自分ですると文句をいい無理やり侍女を追い払った。しかし、それは建前で、本当は僕にさせるためで、その際に体をいろいろと触り堪能した。昨夜も見た綺麗な顔、金糸の様な髪、手から少し余るくらいの胸、くびれた腰、可愛いお尻、すらっとした長い脚。やはり、ソフィアは綺麗だ。

おっと、少しトリップしていたようだ。

僕は外の使用人モードに意識を切り替えた。

「では、王女殿下。朝食を食べに広間へ参りましょう」

ソフィアも切り替えて王族っぽくなった。

「えぇ。行きましょうか」


広間へ行くと王族はソフィア以外もう来ていた。

因みに王族とは王家の本筋のことを指し、ソフィアの祖父の王、父親、母親、腹違いの兄2人に姉が1人だ。祖母はすでに亡くなり、余り有能ではない父親は王座をなかなか自分に譲らない祖父を憎んでいて、兄2人もいずれ来る家督争いのため仲が悪く、姉も自分より綺麗な妹に嫉妬しているので雰囲気は険悪だ。

特に、会話も無く食事が終了した。

食事が済むと皆がそれぞれ席を立ち退出していく。


ソフィアの傍仕えの僕は、ソフィアの後ろについて広間から退出した。

「しかし、いつもながら会話も全く無く険悪な雰囲気での食事でございましたね、王女殿下」

「ええ。そうね」

「この後のご用事は婚約者であらせられるマクローリン侯爵の子息である、ミゼル・マクローリン様が参られます。其れと、服屋の者が王女殿下の服の採寸に来ます。それ以外は特にございません」

「貴方は、それでいいの?」

「私は、ただの執事ですので」

そう言いつつもやはり惚れた女が他の男と会うとなると嫉妬してしまう。其の事を読み取ったのか満足げな顔で微笑んでいた。

此れは夜に少し激しくする事に決めた。


暫くし、ミゼルが来た。

「やあ、僕のソフィア。会えて嬉しいよ」

「ええ、私も嬉しいです」

ソフィアが笑顔を浮かべながら言った。分かる人には分かる仮面の笑顔を。

「では、私は退出しております。外におりますので何か御用の際はベルを鳴らしてください。」

「ご苦労、執事君」

「では」

僕は部屋から出た。相変わらずムカつく。顔は悪くないが、ソフィアが自分に惚れていると思い、自分が王家の一員に成るのを妄想している。しかも、女癖が悪い。本人は隠せていると思っているが、ソフィアには伝わっている。そんな事もありソフィアと僕は嫌っている。


部屋の外で待っている時も、部屋の中を気に掛けあの屑がソフィアに変な事をしないか見張っている。これは、決めている事だ。

話し合いが終わり、ミゼルが帰るときに跪いてソフィアの手を取り薄い手袋越しにだがキスをしてきた。ソフィアの顔には笑顔が浮かんでいたが目は笑ってなかった。

正直、少し怖い。

「では、また後日」

「ええ、ごきげんよう」


部屋へ戻るとソフィアは、手袋を捨てて手を洗った。僕もあのままでは嫌なのでソフィアの指を舐めた。すると、ソフィアが頬を赤く染め照れていた。僕もしていて変態チックだと思ったがあのままにしておくのは嫌だった。


時は過ぎ、夕餉の時間になった。

相も変わらず王族たちの食事に会話はなかった。


夕餉も済み皆が寝静まり城内は門番の兵しか起きてはいない。その時間にアルフレッドはソフィアのもとに向かった。そして、静かに扉を閉めて中に入った。ソフィアのベットの横に立ち膨らんでいる所に抱き着いた。そのまま、音を遮断する結界を張りソフィアの服を脱がし愛撫を始めた。ソフィアの喘ぎ声が聞こえ興奮した僕がソフィアに覆いかぶさり行為を始めた。



声も聞こえなくなった。

そして、アルフレッドは動き出した。いつもの髑髏の仮面をつけ黒い外套に身を包み夜の城下町に出て行った。

少しでもソフィアの障害になりそうなモノを消すために。


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