転生後の目覚め②
「いったい何をするんだ?」
予想外のリエコの行動に対して、口をふさがれながら言ったあと、リエコの肩に手を当てて突き放す鼎。
鼎はまさかリエコがいきなりキスをしてくるだなんて思っていなかった。
リエコのそばにいた少女がリエコに『やさしく話しかけたほうがいいですよ』と言ったあと、リエコが近づいてきたので、自分のそばに来てもなにも不思議に思わなかったからほおっておいたのだが、顔が近づいてきたときは驚きと戸惑いでびっくりしていたら、いきなりキスをされてしまったのだ。
一方、突き放されたリエコは、顔を赤らめ、恥ずかしそうに、
「……ぎ、儀式、、、」
「儀式? 何を言っているんだ?」
「……、鼎様にすべてをささげる儀式、」
「『すべてをささげる』? ますますわからん」
「す、すみません、鼎様はどうやらお目覚めになったばかりで混乱されているご様子。
もしよろしければ、リエコ様の事情について少しお時間をいただいてお話しをさせていただけませんでしょうか?」
リエコのそばにいた少女がリエコの様子を見かねて話に割って入ってくる。
鼎としてもリエコと話をしていても埒があかなそうだから、
「ああ、頼む」
と、許可する。
すると、リエコの横にいる少女が「ありがとうございます」と言いながら深々とお辞儀をして、
「では、まず私たちの自己紹介から。
私はこの世界で旅をしているエリと申します。
そして、鼎様にいきなりキスをしたのが、リエコ様になります。
リエコ様は人間種の小さな村をまとめている巫女になり、リエコ様がまとめている村は他の種族や他国から侵略を受け存続の危機に陥っております。
なので、絶大なお力を持っている鼎様にリエコ様の村の守り神になっていただきたいと思い、ここに来たのです」
「なんだか重い話だな……」と鼎。
「とても重要なお話しです。
どうか、お願いできないでしょうか?」とエリ。
「うーん。
つまり、リエコを犠牲にして、村を守ろうということなんだな?」と鼎。
「ん? どういうことなんでしょう?」とエリ。
「だってそうだろう? 絶大な力を持っている俺にリエコを捧げ、村を守ろとしているんだから……。
要は、リエコは生け贄になるようなものだ」
鼎は自分に絶大な力がある、と思っていないし、どうしてこの場にいるのかもわからない。
だが、現状どうしていいかわからない以上、生きるためには、これから誰かを探して助けを求めなければいけない。
するとだ。助けを求める相手は、まず目の前にいるリエコたちということになるのだが、言っている話の内容が気に食わない。
力のある奴に助けを求めようと言うのは理解できる。当然の話だ。
だが、誰かを犠牲にして、『絶望』させて自分たちが助かろうって考える奴らの集団と一緒に暮らしたいとは思わない。
だから、鼎は質問をしたのだった。
一方、リエコは鼎の質問に対して、困った表情をして、リエコのほうを見る。つまり、生け贄役と言われたリエコの考えを自分自身で言うようにとの合図だ。
「わ、私は、別に自分自身が犠牲になって、生け贄になるという考えでここに来たわけではありません」とリエコ。
「村の巫女であるという使命感からか?」と鼎。
「違います」とリエコ。
「では、なんだ?」と鼎。
「それは……、」
と言ったあと、目をつぶり深呼吸をするリエコ。
そして、意を決したように、
「私は、鼎様に一目ぼれをしてしまったらかです」とリエコ。
「一目ぼれ?」
予想外の話に驚く鼎。
「そ、そうです。私は鼎様に惚れてしまいました。
だから、一生鼎様についていきます」とリエコ。
「いきなり『一生ついていく』なんて言われてもな……」と鼎。
「もう決めたことです。それに……、」とリエコ。
「それに……?」と鼎。
「すでにもう契約をしてしまいました」とリエコ。
「契約って……?」
魔法か呪術などの力によって主従契約、つまり鼎が使い魔になるような契約を結ばれてしまったのではないのかと、心配しながら鼎は訊く。
だが、予想は外れていた。
「私が、鼎様に一生ついていく契約です」
リエコは恥ずかしそうに下を向いて、もじもじしながら言った。




