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負けるわけにはいかないんだ  作者: RIVER
最初の事件
5/33

さあさあ参りますよ〜

今回は幸太視点でいきますっ

「俺と勝負しろよ」



まずい。興奮のあまり口調を偽ることさえ

できなくなっている。



「え?なんで?ってかなにで?わざわざ呼び出して勝負しろって……どういうことだよ」



泰彦の動揺が手に取るようにわかる。

完全にこっちのペースになっている。



「いいから勝負しろよ」

そういいながらファイティングポーズを取る。泰彦は絶句している。

「さあこいよ……俺に勝ってみろよ……」

「え……だからなんでだよ………」

わけがわからない、と言った表情を浮かべている。

「いいよ来いよかかってこいよ…それともなんだ、負けるのが怖いのか〜?」

挑発してみる。

泰彦がだんだん冷静さを取り戻してくるのがわかる。

「なんだかよくわかんねぇけど、俺もいつか

てめぇを潰したいと思ってたんだよ、なにしろおまえには何やってもかなわねぇし。

親にもそのことばっかし突っつかれてイラつくし。そっちから仕掛けてきたんなら上等、

ってとこだな」

「ふっ……じゃあ、いくぜ……」

ステップを軽く踏む。脇は少し開けて楽に構える。それが幸太のスタイルだ。

対する泰彦はかなり腰を落とし脇は完全に絞り左のガードは高く上げ右手の拳で顎を、肘で脇腹をガードする。守備重視のスタイルだ。


幸太はほくそ笑む。確かに泰彦の守りは一見して堅く見える。しかし実際、大した事はない。フェイントで崩せば腰を落としている分そんなに速くは後退できない。そこに飛び込めば楽勝で勝てる。

そこまでわかっている。松永もそれは自覚していることも、わかっている。

二人の目に炎が宿る。戦う理由がどうあれ

ファイティングポーズを取れば戦闘モードだ。

先に仕掛けたのは松永だった。得意の左ジャブを上下に打ち分け懐に飛び込もうと狙って行く。

幸太はガードせずにスウェーバック、

体をそらしてジャブをかわしその反動を使って右ストレートと返しの左フックで反撃を狙う。

松永は右ストレートを左で弾き左フックは肩を上げて防ぐ。防ぐと同時に右足の蹴りを繰り出しガラ空きになった幸太の脇腹を狙う。

そう簡単に入るとは思っていない。だから

はじめの蹴りはあまり腰を回転させずに蹴る。

それを見越して幸太は左足の膝で蹴りをブロックする。もちろん幸太の膝が泰彦の脛にあたるように距離を測って防ぐ。一旦下がって

そこから左ジャブなしの右ストレートを狙うと見せかけて前蹴りで泰彦の前進を防ぐ。

泰彦はバックステップで対応する。


二人の距離が離れる。

この間僅かに数秒。


ふっ。変わらないね、泰彦。

おまえは昔から、変わらない。

俺はこの町で生まれ、しばらくののち県外へ越して、そしてまた戻ってきた。


だから、俺は一度だけ泰彦と戦ったことがある。

くだらない動機だったな、あの時は。


あの時も今も、泰彦は全く変わっていやしない。よくも、悪くも。



泰彦がまたジャブを打ってくる。俺にガードされた反動を利用して脇腹を狙うフック、さらにガードされた反動を使ってダブルフック、俺が右を警戒したとみるや左をトリプル、フォースと続け、俺の周囲を旋回するように回ってフックとジャブを狙った。



速いな。だけど、怖くはない。

たしかに泰彦の左は速く、右には破壊力がある。しかし、何回もやったことのある相手だ、手の内は互いにわかっている。泰彦の左を全て弾き、逸らさせ、

そして自分は下がって泰彦の攻撃を誘発する。

第三者が観れば泰彦が一方的に攻め込んで俺がそれを防ぎ時折カウンターを狙っているように見えるだろう。

だが、違う。俺は弾くのみならず逸らさせもしている。

格闘技においてスタミナは生命線。

泰彦はかなりのスタミナを持つとはいえ空振りさせられればスタミナの消耗は大きい。


威力の高い右ストレートや蹴りであれば尚更のことだ。


翻って俺はというと俺はスタミナはさほどない。ありていに言えば平均以下だ。しかし

相手を自分のペースに巻き込むことで相手を消耗させることに長けているつもりだ。

つまり、泰彦は完全に俺の術中にはまってしまっている。


全く、あいつはそれに気づいているのかいないのやら。


どれほどの時間が立ったろうか。三日月が

空高く登り彼らを見下ろしている。

雲が出てきた。

黒い雲が三日月を遮り、辺りが暗くなる。


その時だった。

俺はガードをさらに下げる。

さあこい。もっと打ち込んでこい。

いつもなら最初の攻防のカウンターから一気にラッシュして勝利を収めている。

そして俺はそれを簡単にやってのける。

それだけの実力と経験があるからこそ成せる芸当だ。


しかし、今回はそれをしなかった。

いける、と相手に思わせることで相手に手を出させて体力の消耗を誘う。

今、更にガードを下げたことで向こうは更に打ち込んで来るだろう。そろそろ仕留めようじゃないか。

今のところ、俺の策略通りに戦いは進んでいる。

この勝負を最後に、俺はしばらくこいつと

勝負することはない。

もしかすると、一生ないかもしれない。

だからこそ、今、挑発まがいの事をしてでも

こいつと勝負したいと望んだ。


けれど、もし、もう一度勝負する時があるとすれば。


その時とは、こいつが俺に並ぶほどの実力、それこそ全国優勝するくらいの力をつけた時だ。


その時が、もし、来たならば。

俺は全力を持って泰彦を迎えうつだろう。

泰彦のポテンシャルは中々高い。

来いよ、泰彦。高みへと。


それぞれの思惑はあれど、

両者とも今を全力で戦っているという点においては一片たりとも違いはない。


互いの目に宿る炎は、まだまだ消える気配が全くと言っていいほどない。

試合描写、難しいです……

どうやって迫力、スピード感を出すか

日々勉強、ですね

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