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負けるわけにはいかないんだ  作者: RIVER
次なる戦いへと
32/33

翔vsジュン

さあ次は翔とジュンの対決。

実力伯仲する二人の戦いの行方はいかに?

よしっ。

ここで泰彦に勝てたのは大きいな。


ジュンは作戦の成功に自信を得ていた。


泰彦の攻撃をまともにガードしていては反撃はおろか凌ぎ切ることすら難しい。

だから僕は泰彦の猛攻を払い、受け流し、弾き飛ばすことで防ぎ、カウンターで勝った。


次は翔が相手かあ。

翔はだいぶ技術が向上したとはいえまだまだ荒削りな部分が多い。

ただパワーが桁違いだからボディに食らってしまったら最後、足を止められやられてしまうのは必至。


翔はここから三連戦をするとはいえ、彼は

勝ちを計算する性格ではない。

豪放磊落とでもいうべきだろうか、細かく

予選突破を計算せず、目の前の勝負に全力を尽くして戦う。


細野先輩との勝負がいい例だ。

細野先輩の棄権で自分が過密日程を強いられることを厭わず細野先輩を倒しに行った。


そんな翔が、少し羨ましく思う。

どんな困難にぶち当たっても少しも怯まずに突っ込んでいける心。

それを勇気というのか無謀というのかは僕にはわからない。

ただ、彼は僕にないものを持っていて、

僕は彼にないものを持っている。

それだけだ。


おそらく県、全国と勝ち進めばまたどこかで

翔と当たることになるだろう。


なぜだか、そんな気がしているんだ。




さーって。俺様の時間だな。

さあ覚悟しろよ、ジュン、西田、そして泰彦


翔は重大な局面を前にして、恐れたり臆したりする気配は全くない。

むしろ逆とも言えるほどだった。



ここで華々しく三連戦三連勝を飾って文句なしの予選突破を決めてやる。

体力、持久力が多い方ではないけど、まあ、

俺様なら大丈夫だろ。



翔はあまり深く物事を考える方ではない。

それが彼の強みであり、また弱みでもある。

そんな対照的な両者が、いま火花を散らす。


主審の合図で両者が向かい合う。


試合開始。



翔が開始と同時に仕掛けた。

回り込むことなど眼中にないかのように

まっすぐにジュンに向かっていく。

翔が繰り出す高速パンチをジュンは落ち着いてかわし、受け流して決定的チャンスを与えない。

しかし翔はなおも攻め込む。

ローキックを囮にして右前に構え直し間髪入れずに左ストレートを放ちそのまま左足の蹴り、右足の蹴り、ワンツー、フック、ボディーアッパーと次々に攻撃を繰り出す。

ジュンはローキックが囮であったことを素早く察知してそれに続く連続攻撃を備えていたため翔のチャンスとはならなかった。

翔とジュンは一旦距離をとり、睨み合う。



やるな、ジュン。

全部うまいことかわされちまった。

だが、お遊びはここまでだ。

手加減無用だぜ、ジュン。


翔はジュンの周囲を高速フットワークで旋回し、ペースを作ろうとする。



難しいな……。

今は上手く行ったけれど、こんな攻撃をやられ続けていたらいずれ集中力が切れてその一瞬を突かれて失点する危険がある。

どうしよう、どうすればいい?



ジュンの迷いが出足を鈍らせた。

翔が一気に動いた。

一歩で間合いを詰めてワンツー、フック、

右のトリプルを放つ。

ジュンは先程までの迷いが尾を引いたか、

防御が全てワンテンポ遅れてしまう。

右のトリプルで空いたボディに翔が左ストレートを打ち込んだ。


吉野翔、先制。1ー0。




まずい……これはまずいよ……。


ジュンは動揺を隠せない。

なにしろいつもなら受け損じることのないはずだった攻撃。

それに対応しきれず失点してしまったのだ。

ショックは大きい。


どうしよう、どうすればいい?

どうすれば翔の隙を突ける?

翔の隙は、なんだ?

豪快な性格だ。荒々しいまでのファイト。

そして………精神的に僅かに幼さがある所。

彼はいま先制点を取って油断が少なからずあるはず。

ならば……仕掛けるのは再開直後だ。



試合再開。


仕掛けたのはなんとジュン。

ガードを下げて翔の懐めがけて突進する。

これには翔も不意を突かれたか、対応が遅れる。

先制して油断していた時間帯。

一番警戒すべきところで警戒を怠った翔の

怠慢が招いた失点だと言えるだろう。



稲本純一、同点。1ー1。

残り時間は1分を切ったころ。

試合は2点先取で決着が着くためどちらかの

ラッキーパンチが入ったらそれで終わりだ。

迂闊に動けない、しかし仕掛けないことには勝利はない。

本人たちにしてみれば非常にジリジリとさせられる時間帯だ。



くあーー。やられちまったか。

まあいいや。勝つのは俺様なんだから。


翔は強気の姿勢を崩さない。


むしろこんくらいアツい勝負しねーと面白くねーしな!さあかかってこいよ!ジュン!!




ふー。なんとか同点に持ち込めたか。

だけど……。ここからの時間帯は結構運が絡む部分がある。

だけど、条件は相手も同じ、いやこちらが

僅かに有利と言ったところだろうか。

なんとかやるしかないな。

翔じゃないけど、僕も少しは吹っ切れたみたいだな。

さあ、いくよ、翔。




試合再開。


さすがに両者ともこの重要な局面を迎えて

再開と同時に仕掛けることはしない。

互いにフェイントを掛け合い、間合いを僅かに詰めたり離したり。

経験したことのない者にしてみれば退屈極まりない時間だが、本人たちにとってみれば

この駆け引きを制するか如何で勝敗に直結してしまう、重要な時間だ。


ジリジリと時間が過ぎて行く。



ジュンは比較的冷静だった。


大丈夫、大丈夫だ。

無理にしかける必要はない。

逆にこれで翔が焦ってしかけてくればこっちにしてみればありがたいけど………そううまい話があるわけも、ないか。



対する翔も、この時ばかりは真剣そのもの。


どっしりと構えて、相手のガードの薄いところを狙う。

それだけだ。複雑なことなんてなーんもない

んだから。

まだだ、そう簡単にこの勝負、終わらせないぜ。



残り時間が15秒を切り、延長戦へのカウントダウンが始まろうとしていた頃だった。


翔が動いた。

左ジャブ数発から右ストレート。

ジュンはかいくぐってアッパーでガラ空きのボディーを狙う。

しかし翔もまた同時にジュンの顔面に左ストレートを放っていた。


翔の左とジュンのアッパーがほぼ同時に炸裂した。


どっちの得点か………?


全員が静まり返る。

主審が静かに判定を下す…………。



稲本純一、勝ち越し点。2ー1。

よって勝者、稲本純一。


ジュンの顔に安堵が、翔の顔に落胆がそれぞれ浮かぶ。

両者は握手し、互いを称え合う。

これでジュンは2勝したため予選突破は確定し、いち早く激戦区を抜けることに成功したのだ。



勝負を制したのは、ジュン!

頭脳的な戦い方で見事に勝ちを積み上げて

予選突破成功!


今のところ

泰彦 二戦 一勝一敗

西田 一戦 零勝一敗

吉野 一戦 零勝一敗

稲本 二戦 二勝零敗 となっています。


さあ残りの2枠を巡る勝負は激化!

次は翔vs西田 です。

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