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負けるわけにはいかないんだ  作者: RIVER
新たな日々の始まり
19/33

激震の予感

大会もだんだん大詰めに。

ここから気合入れて試合描写入れますよ〜

準々決勝が始まった。

試合をやるのは泰彦→翔→大野茂→ジュン

の順番だ。

トップバッターの泰彦の試合が今始まる。



さて、行くか。

全くめんどくさいなー。翔を引き摺り出すためには当然ここで負けるわけにはいかない。

翔とジュンとの連戦を考慮に入れるとこの試合で消耗するのは避けたいところ。

まあ、考えても仕方ない。いくか。


試合が始まった。

泰彦が狙うのは1ラウンド目は相手の観察に徹して守りを固め、2ラウンド目の開始から仕掛けて相手を仕留める作戦だ。

それを狙って動き出す。

相手はボクサーファイタースタイルに近いスタイル。

翔と俺のスタイルを足して二で割ったようなスタイルだ。

ところが、相手は手を出してこない。

いや、出しては来る。

かなり隙を見せてやっているというのに、

仕掛けてこない。

臆病風にでも吹かれたか。いや、違う。

こちらの作戦を見切った上で、向こうはあくまで最大限こちらを苦しめるための選択をしたのだ。全く、面倒なことをしてくれる。

ならばこちらから行くまで。

左ジャブから左の回し蹴りで相手の死角から脇腹を抉る。相手が右のガードを下げたところを見逃さずにすかさず左フックでテンプル

(こめかみ)を撃ち抜く。

そして一度離れて中間距離を取った。

相手が左右に体を揺すりながら飛び込むタイミングを伺うようにして迫ってくる。

相手が左足から踏み込んでジャブ。

サイドステップで回避する。

相手がまた踏み込んで今度はワンツー。

落ち着いてブロック。

相手を牽制する狙いで足払いをしかける。

予想通り相手は下がり、また距離を置いた。

ポイントもダメージも確実にこちらが上回っている。

以前ならここで油断して反撃を喰らい、逆転負けを喫することも多々あった。

そんなことはもうやらかさない。

確実に勝ちを取りに行く。

それにしても、だ。

相手は左足から踏み込む傾向が強いことが

わかった。対策としては足払いで相手の突進を食い止めるか、カウンターで一気に勝負を決めてしまうかのどちらかだ。

左足でまた相手が踏み込みにかかる。

おそらく繰り出してくるのは左のダブル。

完全に見切った。

相手の左ジャブをブロックし、こちらの予想通りに相手が放ってきた左フックとすれ違うように右足の回し蹴りを打つ。

蹴りを狙い通りガラ空きのボディーにたたき

つけることに成功。

この蹴りは足のスナップを効かせてばしっと打つものではなく、相手を倒すことを狙って

放ったものだ。

相手はそれ以降圧倒的にスピードが落ちる。

ボディーが効いている証拠だ。

ボディーを打たれるとスタミナががくっと

消耗する。

相手の早かったワンツー左フックの三連発ももはや格段にスピードが落ち、全くこちらの脅威となり得ない。

俺はジャブ、ストレートをブロックし、フックはダッキング(ダック、アヒルのように頭を屈めてパンチをかわす方法)で外す。

相手が空振りしてバランスを崩したところに

トドメの右ストレートを放つ。

準々決勝、第一試合。勝者、松永泰彦。



うはー。わかってたけどやっぱ泰彦か。

翔は憂鬱さと興奮が入り混じって訳がわからなくなっていた。

ま、いいや。まずはここを勝つ。

後のことはそれから考えよう。

試合が始まった。

相手はさほどタフそうには見えない。

これ、楽勝だな。

翔は内心ほくそ笑む。

さって、いきますかねー。

鋭い追い足で相手を捕まえることに成功。

必殺の右ストレートを放つ。

相手はそのスピードに反応することさえできない。

よっしゃ、もらったな。

完璧に顎を撃ち抜き、相手は倒れ……………

なかったのだ。

逆にすかさず相手も右ストレートで反撃。

動揺した翔はまともに喰らってしまった。

少しよろけるがすぐに立て直す。

あぶねーあぶねー。危うくやられるとこだった。

「おい!翔!油断すんじゃねーぞ!!

俺と対戦すんのはお前なんだからな!!!」

泰彦が外から喚いているのが聞こえる。

ったく。自分はさっさと勝ったからって調子に乗りやがって。こりゃあいつにはなんとしても勝たないとな。

先ほどまでの憂鬱さはどこへやら。

精神的に吹っ切れ、翔の動きに再び力強さが舞い戻った。

よっしゃあ、いくぜぇ。

もはやなりふり構っていられない。

左ジャブさえも本気で打つ。

ワンツーを顔面に集めてぐいぐいと相手を押し込む。空振りは無く、面白いようにパンチが決まる。手応えも十分。

そんな状態でいつまでも相手が持つわけもない。試合終了は時間の問題だった。

準々決勝、第二試合。勝者、吉野翔。

ワンパン記録こそ破れたものの、終わってみれば1ラウンド目の開始30秒でストップ。

ここまでの翔の全試合の時間を足しても

おそらく一分と少々位にしかならない。

優勝候補の一角にふさわしい破壊力だった。


やはり、勝ったか。

大野茂は冷静に二人の戦いを観察していた。

さて、ここからは三人とも未知数の私を警戒してくるのは当然。この試合は勝つことではなくて、手の内を隠すことが大切になる。

さて、いくか。

試合が始まった。


「え……?」「えっと………」「はぁ?!」

会場と泰彦、翔、ジュンから驚きの声が起こる。

大野茂が左ジャブのみで圧勝。

最後には相手をノックアウトした。

当然、左ジャブで、だ。

会場がどよめき、三人は傾向と対策を練ろうと考えていただけに参っていた。

中でも一番参っていたのはジュンだった。


参ったな……。

最終ラウンドまでもつれ込んだとはいえ、

もし彼が普通に戦っていたら翔と並ぶほどのスピード決着だっただろう。

これでは相手の傾向がわからない。

対策も練りようがない。

そこが問題だ。

守備偏重スタイルである以上、相手の観察は必須。しかし、今回の試合、大野茂は左ジャブしか使わなかったにも関わらず、最終ラウンドは相手をノックアウトして見せた。

どうしたらいいのやら………。

「気になるのはわかる。だけど、今は次を勝つことだけ、ジュンは考えてな。俺たちが付いてる。大丈夫だ」

泰彦…………翔……………。

「うん……そうだね……」

いまいち集中しきれない。

そんなジュンの心境など誰も知る事がなく、ジュンの試合が始まる。


試合中にも関わらず、ジュンは注意散漫な

状態だった。

相手も悪かった。

相手はほとんど触るだけのパンチで、つまりダメージを狙ったものではなく、ポイント勝ちを最初から狙っていたのだ。

1ラウンドはそれでもポイントは互角。

お互いに速いパンチを打ちあった結果、

有効打数はおそらく互いに20に登るだろう。

相手は素早いフットワーク、ジュンは堅牢な守りを武器とするため、有効打とならなかったものも含めれば一試合分のパンチが交換された筈だ。

二ラウンド目で、ジュンが崩れる。


速い。速い。なんて速さだ。時間を追うごとにどんどんスピードが増していて、手が付けられない。

シュッシュッシュッ

ササッ

シュンシュン

サッササッ

ヒュンヒュン

瞬く間に速いパンチを喰らい、守りが全く追いつかない。

威力がほぼないパンチのため、ダメージは

全くない。

まずい………捕まえられない。

ジュンは完全に焦っていた。



おい……これまずくないか。

だよな。俺もそう思う。

翔が目で俺に訴えてくる。

俺も目でそれに同意する。

「どうすりゃいいんだ、これ」

「相手も速いしな………。ヒョロヒョロだから、俺や翔位のパンチ力があれば、一撃で沈められる、と思うんだけど………」

「ジュンにそんな力ねぇだろ、本人には悪いけどよ」

「そこなんだよな………」

2ラウンド目の時間も、残り少なくなっていた。



やれやれ、期待外れだったかな。

大野茂は呆れていた。

あの堅守速攻を打ち崩すのを楽しみしていたのに…このままだと番狂わせが起こる。

あんなやつ、私ならワンパンで仕留められる自信がある。

相手に合わせてスピード勝負をしてやったとしても、多分私が勝つ。

なんとか稲本純一に勝ってほしいのだけど…

おそらくポイントは60ー25、もしかしたら

70ー25くらいで稲本純一が負けている。

判定にもつれ込めば稲本純一が間違いなく負ける。

やれやれ、面白くなりそうだったのに……。

それぞれの思いが交錯する中、2ラウンド目が終了。

会場は優勝候補の一角が崩されていることにどよめいている。

ジュン相手の応援団は大盛り上がりで、会場全体が番狂わせを望む雰囲気になっている。

泰彦と翔は絶望的な、大野茂は呆れた目で

試合を見守っている。



なんとかしないとな。

ポイントではもう巻き返せない。

狙うのはノックアウトしかない。

それはわかっている。

けれど。

そんなパンチ力が自分に無い事は自分自身が一番良くわかっている。

僕に、力があれば………。

「純一君!あきらめちゃダメだよ……!」

その声は……直美?

顔を上げる。

「勝負を………諦めないでよ………今まで純一君が頑張ってたのは私も知ってる……っ」

直美は涙目になっている。

直美の涙が、ジュンの心の霧を晴らす。

「ありがとう。僕、最後まで頑張るから」

勇気が舞い戻った。頭が働き始める。

相手のパンチはもう無視して構わないだろう。ポイントではもう勝てないし、威力のないパンチなど100発受けても無問題だ。

なんとか捕まえて一撃喰らわせる。

倒すしかない。


最終ラウンドが始まった。

相手はいよいよそのスピードをトップスピードにして、ビシバシと速いパンチをジュンに浴びせる。

しかし、ジュンは慌てない。

大丈夫だ。喰らってもダメージは無い。

どうやら相手に逃げ切るという考えはないらしい。最後まで滅多打ちにするつもりのようだ。

まあ、やらせておけばいいだけの話だ。

こちらは一撃必殺に全てを賭ける。

時間が、刻一刻と流れていった。


泰彦と翔は完全に沈黙している。

何をしてる、ジュン。

最終ラウンドに入り、相手は目にも留まらぬスピードで動いている。

ジュンは守りが追いつかないどころかもはや守ろうとさえしていないように見える。

何か策があるのか?と勘繰りたくもなるが、

それもないだろう。

おそらく、認めたくはないが、ジュンは試合を事実上放棄してしまった、としか考えられなかった。



ふん………ついに諦めたか。

大野茂はあくびをする。

全く………楽しみが決勝しかないなんて。

これではわざわざエントリーなんかして、

時間の無駄でしかなかったようだ。

ウォーミングアップの必要さえ感じない奴が次の試合の相手だと悟って、大野茂はまた

あくびをした。


よっしゃーあと一分!

このままやっちまぇ〜〜!

さすが先輩っす!

相手の応援団の声援が聞こえる。

大丈夫だ、スピードに目が慣れてきた。

一分あれば、行ける。

ジュンは拳に力を込めた。

「アアアアアァァァ!!」

咆哮と共に、ジュンは飛び込んだ。

突進を止めようと相手がパンチを繰り出すが相変わらず威力は無い。

ジュンを止めることは出来なかった。

ガツン……ドスッ………ドガッ………

立て続けにジュンのパンチがボディーに突き刺さる。相手はうっと呻いて、足を止めた。

そこにジュンの右足が振り抜かれる。

ドフッ…………どさっ。

相手は倒れた。

一方的に押し込まれ続けたこの試合。

残り一分で勝負をかけ、結果は見事なまでの

逆転勝ち。

ひっそりと磨いていた威力の高い蹴りがここ一番で炸裂した。

応援団は沈黙、会場も唖然とし、泰彦と翔はあんぐりと口を開けている。

大野茂さえも驚いた表情をしていた。


準々決勝、第四試合。勝者、稲本純一。

零封勝ち記録は破れるどころかズタズタにされたものの、隠し玉を的確に駆使して勝利。


ついにベスト4が出揃った。


松永泰彦 vs 吉野翔

稲本純一 vs 大野茂


優勝予想は困難を極めている。

一年と三年は決勝を含む全試合が終了した

ようで、校内の全注目が泰彦達の試合に向けられていた。

ベスト4に残った四人とも実力者であることに加え、屈指の好カードでとあって、校内は大興奮に包まれていた。

誰が勝ち、誰が負けてもおかしくない。

大会の最後を飾るに相応しい戦いが、

今始まろうとしていた。


やはり魅せてくれるジュン。

さあ泰彦対翔の師弟対決の行方は?

純一は大野茂にどう対するのか?

酒田直美、久し振りの登場です笑

感想、アドバイスなどあったらお願いします

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