超老戦隊☆キネヅカン!
※この作品はセリフだけで構成されています。
「おーっほっほっほっほ!
我がアンノウン帝国の前に跪きなさい、愚かな人間どもーーっ!
さぁ、私の可愛い手下たち。この国を絶望のどん底に叩き落してらっしゃい!」
「ミィーっ!」
「ミィーっ!」
「ミィーっ!」
「すれちがいミィーっ!」
「ミィーっ!」
「アレ何か違うの混じった!?
って、またアンタか4号!しかも、何ゲームなんか持ち込んでんのよ!
減給されたいの!?」
「……ミィー。」
「そんな『やれやれまったく口うるさいオバハンだぜ。そんなに働かせたいなら、もっと時給上げてから言えっつーんだよ』みたいな返事をしない!」
(エスパー!?)
「いいから、とっとと人間たちに恐怖を与えに……。」
「まちなされ!」
「誰よ、このクソ忙しい時に!?」
「天知る、地知る、人が知る……。」
「あぁー明ちゃんー、それは違う人の口上じゃあぁー。」
「OH!ポンコツゥ!」
「こらこら。相変わらず口が悪いわねぇ、ゴンちゃんは。」
「ちょっと!人を呼び止めといて勝手に漫才始めてんじゃないわよ!?」
「ホレホレ、みんな止めんか。相手方さんもワシらの紹介をお待ちかねのようじゃぞ。」
「ちっがぁぁう!」
「んでは、準備は良いかの?……いくぞい!」
「違うって言ってんでしょ、聞きなさいよボケ老人どもー!」
「まぁまぁ、ゲイマー様。年寄りの言う事ですから。」
「キィィ!うるさい!勝手にしゃべってんじゃないわよ2号!設定台無しじゃない!」
「…ミィー。」
「謝る時はちゃんとした言葉を使いなさい!」
(なんという理不尽!)
「主席はワシ!緋色の闘剣士、勘太郎!」
「だから紹介止め……って、何が闘剣士よ、それ木刀じゃないの!」
「当たり前じゃ、本物の剣なんぞ持っとったら銃刀法違反になるじゃろ。」
「フィクションにそんな当たり前はいらないッ!」
「次いで浅葱色の大魔道士、明彦!」
「だっ、大魔道士ぃ!?世界観ぶち壊して何考えてんの!?」
「ちなみにこの能力は未経験を七十年以上貫き通した者にのみ天より授けら……。」
「そんな悲しすぎる事実をちなみに暴露するなーッ!」
「あぁー常盤色の狙撃手ぅー、貞男ぉーっ!」
「ちょっ、待ちなさい!銃刀法違反はどこに行った!?」
「いんやぁー。厚さ二メートルの鉄板をぶち抜ける威力に改造はしとるがぁ、こりゃあ玩具じゃあぁー。」
「充分、危険物所持で取り締まり対象ぉーーーーッ!」
「紅一点。生成色の治療士、菊代!」
「はぁあ?ババアが紅一点ん?
そもそも、回復職ごときが戦闘に出て来るなんておこがましいのよ!」
「あらっ、死ぬより辛い苦しみを与える術について一番知っているのは治療士よ?」
「怖ぁーーー!治療士怖ぁーーーーー!」
「ブラック・サイキッカー、ゴンザレス!」
「サイキッカーなのに何でそんなムッキムキに身体鍛えてんの!?」
「我ガ筋肉ノ溢レンバカリノ魅力ガ分カラナイトハ、可哀相ナ人ネ?」
「純粋にキモい!」
『五人揃って……超老戦隊キネヅカンっ!!』
「以後よしなに!」
「……あ、あぁーはぁ背後の爆発音で鼓膜がぁぁー。」
「貞ちゃーーーーん!」
「どうして、誰一人としてまともなメンバーがいないわけ!?
そもそも棺桶に片足突っ込んだような老人揃えたくらいで、アンノウン帝国三魔王が一人。夢幻のゲイマー様に逆らおうなんて笑わせんじゃないってーのっ。
アンタたちに以後なんてない、今ここでその人生ごと終わりにしてあげるわ!」
「なんちゅー説明くさい言いまわしじゃ。」
「しっ。勘ちゃん、そういう事は思ってても口に出さないのが大人のマナーよ。」
「HIーHIHI!MU・GE・Nーっ!帝国トヤラハ中二病温床ノ地ノヨウデース!
笑イガ止マラナイネ!FUHIHIHIHI!」
「ミィー。」
「あぁーゴンちゃんー、ちゅーにびょーって何じゃあー?」
「さりげに同意してんじゃねーわよ、2号!」
「イデッ。」
「決めポーズ背後の爆発は大魔道士明彦の提供でお送りしました!」
「どうでもいいわ!つか、何で今のタイミングで言ったのよ!?
いい年して構ってちゃんか、オノレは!」
「HAHAHA!ツッコミ乙!」
「じじいがネットスラング使うにゃあああああ!」
「いや、ゴンちゃんはすごいんじゃぞ。ワシらと同い年なのにあのアレがアレなんじゃぞ。」
「分かるかっ!」
「勘ちゃん、もしかしてマイコンのスペシャリストって言いたいのかしら?」
「それじゃ!」
「あぁもー!何コレどこからツッコめばいいのよ!?」
「あぁーお嬢さんー。そんなに怒って疲れはせんのかねぇー。」
「キィィィ!誰のせいだとぉーーーーッ!!」
「ミィー…。」
「ちょっ!今、こっそり更年期障害って言ったの誰!?」
「ミィー!」
「ミィーッ!?」
「そう、3号ね。……あとで覚えてらっしゃい。」
「ミィーっ!ミィーーーっ!」
「ええい、言い訳なんて見苦しい!真面目な1号がそんな事言うもんですか!」
「ミィーーーーー!?」
「あーもっ、往生際が悪いわね!
って、しまった!それより、キネヅカンは!?」
「ぬごぉっ!?きっ、菊ちゃんっ、早速出番じゃ!」
「どうしたの、勘ちゃん!?」
「腰がぎっくり逝ってもーた!」
「HAHAHA、年寄リノ冷ヤ水ネ!」
「同年代の私達が言えた義理ではありませんよ、ゴンちゃん。」
「あぁー勘ちゃんー、大丈夫かねぇー。」
「…………。」
「……ミィー。」
「って、ちょっ!マジでやる気あんのジジババ!?
そうじゃないなら、こっちだっていちいち相手してらんないわよ!」
「おやおや、若い人はせっかちでいけませんねぇ。」
「あぁーばぁさんー。嫁がぁー、嫁が虐めるんじゃあー。」
「誰が、嫁よ!こんの痴呆老人!」
「ミィー。」
「オールドミスですしね言うな4号アンタぁあ!まだそんな年齢じゃねーわよ!ピチピチよ!
大体!私は結婚できないんじゃなくて、しないだけなんだからね!」
『異議あり!』
「何、声をそろえとんじゃアホ部下どもぉーーーッ!
あーっ、もういい!とっととキネヅカンとやらを片付けるわよ!
行け!我らが帝国の力、とくと見せつけてやりなさい!」
『ミィーー!!』
「おや、ようやく戦闘ですか?」
「待チクタビレタネ!」
「ミィッ!?」
「んなっ…な…何っ、急に。このとんでもない威圧感は!?
あんな死にかけの年寄りどもから、こんなっ!?」
「ミッ…、ミィー!」
「ミィー!ミィー!」
「い、嫌よ!まだ何にも成果を上げていないのに、おめおめと逃げ帰れるわけがないじゃない!」
「ミィー!」
「嫌だったら!
そんなの魔帝王カオス様に知れたら次のボーナス査定にひびいちゃうでしょおー!!」
「ミィぃぃーーー!?」
「ミィーーーー!!」
「ミィぃぃ!ミィぃぃ!」
「いいから、行けぇぇえ!これは上司命令よ!逆らったらクビよーーー!」
『ミィィィィィ!!』
「うーん、どこの世界も世知辛いものなんですねぇ。」
「OH!同情スルナラ、銭ヲヤレー!」
「あぁーそんな事より皆ぁー、来るぞぃー。」
「わ、ワシまだぎっくり腰…。」
「もうっ、勘ちゃんたら役立たずね。」
「うぅ、手厳しいのぅ。」
「なに、この程度の相手。勘ちゃんが出るまでもありませんよ。
私一人で片付けちゃいますから、皆は休んでて下さい。」
「ヒュー!コノA(C)ガ!」
「エエ恰好しいが!」
「さすがにその返しはちょっと酷いんじゃないかしら?」
「あぁー気にしちゃあかんよぉ、明ちゃんー。」
「キィィ!めちゃくちゃナメてんじゃないわよ、キネヅカン!
お前たち、総攻撃で沈めてやりなさい!」
『ミィーーー!』
「我願う、故に妙有り。本当は無詠唱でいけるんですが、そこはまぁ初回のお約束という事で。
………見えざる神の剛腕ッ!」
「ミグァーッ!」
「ミュッヘンッ!!」
「ミハエルシューマッハッ!!!」
「…っと、老眼のせいで目測を誤りましたか。私とした事が二人も取り逃がしてしまうとは。」
「年は取りたくないもんじゃのぅ。」
「つ、強いっ……!」
「ゲイマー様ぁ!やっぱり、このメンツじゃ無理ですよ!」
「そうですよ、そもそも主役級との戦闘なんてバイトの俺達の身には余りますよ!」
「だっから、設定壊すなっつってんでしょーがぁぁあ!
くっ。でも、確かに言うとおりのようね………チッ、仕方ない。
引け、手下たち!戦略的撤退よ!ディメンションゲートオープン!」
『ミィーーー!!』
「ぎゃあああああッ!
あっ、アンタ達、上司を踏みつけた上に先に逃げるたぁどーいう了見よーーッ!
待てコラぁあぁあああ!!」
「あぁー元気じゃのぉー。」
「コレガ若サネー。」
「そうかしら…?」
「おっ、いちびっとる内にすっかり夕焼け小焼けに暮れとるわい。」
「ちょいと朝食はまだですかいね、そこなヘルパーさん。」
「……明ちゃんは魔道杖を手放すと途端にボケるのが難点ね。」
「あぁー最近の明ちゃんはぁー、夜中の徘徊癖が酷ぅてのぉー。」
「キット明日ハ我ガ身ネ。」
「ヤなこと言うんじゃないわい。」
「そうよ、皆で生涯現役!頑張りましょっ。」
「いぃやぁあああ、査定にマイナスの棒がぁーーっ!キィィィィ!
次に会ったら絶対あの世に送ってやるんだからぁ!
それまで覚えてなさいよ、キネヅカンーーーッ!!」
続……かない。