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私と彼の恋物語  作者: byとろ
一章:ヴァン・エイジトール
7/19

動き出す影。

さて、そろそろいろいろと動き出します。


私もやります。やってみせます。


そんな感じの6話目です。

俺は生徒会長に言われたとおり、7時に生徒会室にきていた。


正確にはつれてこられた、だが。


「失礼しまーす」


ノックもせずに入る俺にシャルは何か言いたげだったが、諦めたようにため息をついた。


「失礼します」


俺に続いてシャルも生徒会室に入った。もちろんノックをしていた。俺が入った後なのだから必要もないと思うのだが。


「おはよう。ちゃんと来たわね」

 

「ええ、バッチリ起こしましたよ」


「やっぱり、シャルルちゃんを入れたのは正解だったわ」


しみじみとこぼす生徒会長。


「ちゃっちゃと用件をいってくれよ。こっちは寝みーんだ」


正直やってられない。この時間は寝てるからな、いつもは。


「はぁ、まぁいいわ。

貴方達の事だけれども、実際には生徒会に所属はしないことになるわ。エイジトール君という強力な戦力が入ったけれど、できるだけ隠しておきたいのよ。エイジトール君は先のダリウス家との一戦で、一応実力は知れているけど、それでも急に生徒会に入るというのは不自然。こっちの思惑を悟られてしまう可能性が高いわ。だから、私がシャルルちゃんに私的で協力を頼んで、それにエイジトール君がついてきた、ということになったわ。シャルルさんは学年主席だから、そんなに不自然ではないしね。と、いうことになったのだけれども、いいかしら?」


「私はいいと思います」


「ありがと。エイジトール君は?」


「俺は、知らん」


「・・・は?」


「俺はバカだからな。シャルがいいと言ったんならいいだろう」


「それでいいの?」


「ああ、俺はただ、シャルを守るために力を振るう。シャルはその矛先を導く。これで十分だ」


「ヴァン君・・・」


「シャル・・・」


うっとりと、その碧い瞳をうるませてこちらを見つめてくるシャル。


俺とシャルは生徒会長に見せつけるかのように、甘い雰囲気をかもし出す。


まぁ、シャルは完全に生徒会長のことは忘れて2人だけの世界に入っているから、見せつけているのは俺だ。


「何よ、その空気は!?話は終わったから、ちゃっちゃと出て行きなさい!」


顔を真っ赤にして怒鳴ってくる生徒会長。


いい気味だ、と笑いながら急いで生徒会室を出た。



―――――――――――――――――――――――



「・・・・・・」


彼らが出て行った後、入れ違いになるように役員の子達が来た。


その子達は、自分の顔を見て驚いていた。


それもそうだろう、今の私は、それこそ普段ほとんど見せない『思考』している姿をしているのだから。


私は、自分で言うのもなんだが天才だ。


力に関しては、先代が『世界最強の五人ファースト・オリジン』だった事により上には上がいる、ということを思い知らされたけれど、頭脳、知力や、頭の回転ということは、少なくとも同世代の中では一番だと自負している。


だからこそ、自分はほとんど『思考』というもの、今回は『長考』とでも言ったほうがいいかもしれないが、それをほとんどしない。


だから考え込む私、というものを見て驚いていたのだろう。




―――いや、まて。


(先代が『世界最強の五人ファースト・オリジン』だった?)


彼が、もしエイジトール君が『世界最強の五人ファースト・オリジン』だったら?


「・・・まさか」


そう思うが、ドンドン思考は進んでいく。


シャルルちゃんが詮索を禁止したこと。


彼が自分のことを道具のように扱っていること。


そしてなにより、彼の圧倒的なまでの力。


死を、殺しということに何の躊躇いもない、あの表情。


「・・・もし、本当にそうだったとしたら―――」


まずいことになる。


彼の、シャルルちゃんへの依存。


エイジトール君が、シャルルちゃんを失ったら―――


そう考えて、ぞっとした。


彼は間違いなく暴走するだろう。


彼という武器は、無差別に力を振るい、全てを破壊するだろう。


シャルルちゃんは、彼を導くだけではなく、鞘の役割もかねているのだ。


そんな彼女がいなくなってしまえば―――


「・・・会長?」


「・・・っ!」


かけられた声で我に返る。


「どうしました・・・?顔色が悪いですよ?」


「なんでもないわ・・・あるはずがない」


そうだ、あるはずがない。


彼が『世界最強の五人ファースト・オリジン』など、自分の作り出した、ただの幻想。


だが、手は打っておかないといけないかもしれない。


彼らのために。


なにより、自分自身のために。



―――――――――――――――――――――――



暗闇にはあどけのない声が響いていた。


「ねぇねぇ、カーヴァー」


「どうした?ラーヴァー」


声は二つ。


「そろそろ、だよ。カーヴァー」


「ああ、そろそろ、だな。ラーヴァー」


一つは少年のようで。


「馬鹿な奴等に思い知らせよう」


「「本物はどっちかをな」」


一つは暗く重い青年の声だった。

感想、叱咤激励、待ってます。

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