急変
これのほかに、もう一作、同時執筆しているのですが、設定が混ざってしまうことがあります。
極力修正しますが、意味不明になったらごめんなさい。
そんな感じの3話目です。
運営側―――つまり生徒会用の特別観賞席にいた私は、思わず椅子を倒すほどの勢いで立ち上がっていた。
今の試合を見て驚くな、という方が無理だろう。
他の生徒会役員の皆も驚愕が目に見えて分かる。
いつも冷静沈着な副会長、ファーブ・ザナード君も驚きを隠せないでいる。
『・・・・・・!!し、勝者、ヴァン・エイジトール!!』
1分ほどの間を空けて、ようやくアナウンスがはいる。
それと同時に我にかえった観客達の歓声が野戦場を支配する。
私もようやく我にかえり、ファーブ君に尋ねる。
「最後の一撃・・・見えた?」
「・・・いえ・・・会長は?」
「無理よ・・・」
生徒会長というのは、スティテイレ魔法学校という名門にはいった者をまとめあげる、圧倒的なカリスマと強さが求められる。
つまりそれは学校最強ということ。
あの『慈悲深き光輪』が生徒会長だった去年は、トラブルなど1つも起きなかったというのに、新年度早々問題を起こされては自信が無くなるというものだ。
話が逸れたが、その学校最強と優秀な生徒が集まる、生徒会の誰にも捕らえられない速さで動いた。
あの『落ちこぼれ』が、だ。
実力を隠していたのか、何らかのトラップか―――
いずれにしても、関係は無い。
本気でやれば負けるとは思わない。
使えるものは使う。
それがなんであろうと―――
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観客の歓声が続いている中、倒れた―――て・・・てな・・・そう、バッテラ君が担架で運ばれていくのを尻目に野戦場を後にする。
野戦場の入り口には、シャルが待っていてくれた。
すぐに駆け寄り、抱きしめる。人がいないのを確認済みだ。
「は、はわっ・・・!ヴ、ヴァン君!あう・・・」
顔を赤くしながら素直に受け入れてくれる。ああ、マジかわいい・・・。
「もう、大丈夫だから」
「はい・・・」
「もう、怖くない・・・だろ?」
「はい・・・」
そうしてもう一度ぎゅっと、優しく力を入れる。
そして、シャルを開放する。
「ん、もう・・・場所を考えてください・・・」
「人なんかいないよ?」
「そういうことでは・・・はぁ、もういいです」
「・・・?ありがと?」
「でもこれからどうするんですか?私としては、もうヴァン君が『落ちこぼれ』なんて呼ばれなくなると思うのでいいんですが・・・」
「なら、いいよ―――シャルが側にいてくれるなら」
「はぅ・・・ず、ずるいです」
また顔を赤くしてうつむくシャル。かわいいなぁ、もう。
そんな会話が後3回ぐらい続くのであった。
―――――――――――――――――――――――
それは、決闘の次の日の昼時だった。
ピンポンパンポーン
『2-C、ヴァン・エイジトール君。至急生徒会室に来てください。繰り返します―――』
その放送を聴いたとき、何故か悪寒がした。
「うわー・・・まぁ、ガンバ?」
リンが励ましてくれる。ああ、ありがと―――
「退学になっても、一応友達だよ?私たち」
「なんで、退学って決まってんの!?」
前言撤回。こいつは死ねばいい。
「そ、そんな・・・ヴァン君が・・・」
「シャル、そんな事にはならないから!?」
「ううぅ・・・ヴァン君がいないと、私ぃ・・・」
ああ、シャルが涙目に・・・。そんなシャルもかわいいよっ!・・・って違う!
「そんなこと無いと思うけど、とりあえず行ってくるわ・・・」
「おう、ガンバ!・・・シャルゥ、大丈夫だって」
ああ、心配だ・・・。
というわけで、生徒会室の前に俺は来た。
すぅ、と深呼吸して心を落ち着け、腹をくくる。
コンコン
「失礼しまーす」
「いらっしゃい」
ドアを開けると、1人の女性がいた。
制服のリボンの色が緑、ということは3年生だ。
この学校は、1年が赤、2年が青、3年が緑、という風にそれぞれ決まっている。
「えーと・・・」
「まぁ、とりあえず、そこに座って」
と、指定されたソファに腰掛ける。
「とりあえず、生徒会長のティナ・フラットよ。よろしく」
「はぁ、ヴァン・エイジトールです」
「ええ、しかし、昨日の試合は驚いたわ。まさか、あのダリウス家の長男に勝つなんてね」
「あの、そんな話なら俺、帰りますけど・・・」
「ああ、ごめんなさい・・・なら、本題に入ろうかしら」
自然と背筋が伸びた。まさか、本当に退学な分けないよな・・・?
「あなた、生徒会役員になりなさい」
「・・・・・・は?」
いま、こいつはなんと言った?生徒会役員だと?
そんなめんどくさそうな事やってられっかよ。
ちゃっちゃと断って―――
「言っとくけどあなたに拒否権は無いわ」
「んなっ・・・」
頭イってんのか?コイツ・・・?
そんな事を思ったときだった。
バンッ!
勢いよく生徒会室のドアが開いた。
「私は反対です!」
そんな事を言いながら出てきたのは、がたいのいい赤い髪をした男だった。どうやら二年生のようだ。
「どういうこと?ダート君?」
「ですから!こんなやつを生徒会に入れるなんて私は反対です!」
いや、俺はいらねぇし・・・。
そんな事を思っている俺の前でドンドン話が進んでいく。
「それでは、あなたと彼、勝負しなさい」
「・・・は?」
呆気にとられる俺。どうやらダートと呼ばれたやつも呆気にとられた様子だ。
「彼が勝ったら、彼は生徒会へはいる。ダート君あなたが勝ったら、どうとでもしなさい」
「・・・っ!わかりました!」
「いや、俺に選択権は・・・?」
「ないわよ」
さも、当然といった風にいってくる生徒会長。
そして側に来て耳打ちした。
(彼女、シャルル・ロードライトさんだったかしら・・・?)
俺は目を見開く。
「・・・てめぇ」
「ふふ、異論は無いわね?それでは一週間後、第一野戦場で」
そういって、生徒会長は怪しく微笑んだ。
シャル、可愛いよ、シャルル。
ヴァンはシャルルのことをシャルと呼んでいます。
ヴァン視点でシャルと出てきたら脱字ではありませんのでご注意を。
感想待ってます。