変化の兆し
一日に2本上げるとか・・・
つらい・・・
ヘルメットが無ければ死んでいたな。
そんな感じの2話目です。
「見られてる気がする?」
1週間ほど経ち、今、私は最近気になってることをヴァン君に相談していました。
今日の授業も終わり教室には私たちしか居ず、視線も感じず、聞かれる心配も無くそれなら、と打ち明けてみたのです。
「はい・・・ここ1週間ぐらいずっと・・・」
「・・・・・・」
「で、でも、家に帰ると視線も消えるので・・・心配・・・ないと・・・」
最後のほうは、小さくなってしまいました。
大丈夫なわけがありません。ずっと、怖くて怖くて、唯一ヴァン君の側だけが安心できました。
それなのに、最近はヴァン君の側に居ても視線を感じるようになりました。
「・・・シャル、いいんだ・・・」
「・・・う、うぅ・・・ヴァ、ン君・・・ううぅ・・・」
その言葉を聞いて私は思わず泣いてしまいました。
そして彼は優しく私を抱きしめてくれました。
「・・・聞いてくれ、シャル」
顔を上げると、彼の顔は憤怒に歪んでいました。
「ヴァン君・・・?」
「俺はそいつをどうにかしないと気が済まない・・・」
その言葉で理解します。
「でも、それだと・・・」
「力のことは大丈夫だ・・・抑えろとは言われていないからな」
それに、と彼は続けました。
「自分の彼女のことを気づけなかった俺にも腹が立つ」
「ち、ちがいます!・・・ヴァン君のせいじゃ・・・」
「それでも、だ。俺の気が済まない・・・なぁに、俺はシャルがいれば何もいらない」
「ヴァン君・・・」
―――――――――――――――――――――――
翌日
俺は早速行動を開始しようとしたのだが、その必要は無かった。
なぜなら、本人が会いに来たからである。
「僕が来たからにはもう大丈夫ですよ・・・ロードライトさん」
学校にきたらコイツが待ち構えていたのだ。校門で。
顔はいいほうだろう。
一応、魔力も一般的に見れば多いほうだろう。無駄がありすぎるが・・・。
「なんだてめぇ・・・?」
「ハッ、このクズが!ロードライトさんを脅してつき合わせるなんてとんだ下衆野郎だな」
「「・・・は?」」
俺とシャルの声が重なる。
「ね、ねぇ、どういうこと?」
隣にいたリンが聞いてくるが、俺にも分からん・・・。
「とぼけるな!おまえがロードライトさんを脅してつき合わせている事なんかお見通しだ!・・・ああ、ロードライトさん待っててください。今、このボク、テッラ・ダリウスがあなたを解放させてさしあげます」
名前を聞いた瞬間、リンが眼を見開く。
「う、うそ・・・」
「どうした?知り合いか・・・?」
「知らないの!?・・・いや、ヴァン君だしね・・・」
あきれた様に、ため息を吐かれた。
「ふんっ!この僕を知らないなんて、さすがバカだな!」
うぜぇなコイツ・・・
「ぼくこそ、5大公爵家の一つダリウス家の長男!テッラ・ダリウスだ!」
どうだといわんばかりに人差し指を突きつけてきた。
うぜぇぇぇぇ・・・・
「・・・で、そのバッテラ君が何のよう?」
「テッラだ!やっぱりゴミだな貴様は、どうしてこんなヤツがこの学校にはいってこれたんだ?」
「・・・早く教室に行きたいんだが?」
「ふんっ!・・・ボクは貴様に『決闘』を申し込む!」
「決闘・・・?」
「そんなこともしらんのかっ!さすが落ちこぼれのクズだな」
さっきから俺の後ろにいるシャルさんから途轍もない殺気を感じるんだが・・・?
いや・・・俺のために怒ってくれるのは嬉しいけど、やばくね?
「で、決闘って?」
あきれた様にリンが丁寧に教えてくれた。
この学校の風変わりな校則の一つ。
生徒間でのいざこざがあった場合、この決闘で勝利したほうがことを進めることができる。
もちろん、いざこざが無くても、歓迎として決闘をやることも許可されている。
「・・・めんどくせぇな、俺パス」
「んなぁ!・・・フン、やはり勝てなくて怖いか?」
「・・・シャル?」
シャルが俺の制服の袖を引っ張っていた。
何かと思い尋ねてみる。
「あ、あの人です・・・あの人の視線が・・・」
そういって俯いてしまった。
だが、理解する。
コイツか・・・コイツが・・・シャルを・・・!
「いや、気が変わった。受けてやるよ、決闘」
「ほう、まぁいい・・・僕が勝ったらロードライトさんを開放してもらうぞ!」
俺はもうそんな言葉を聞いていなかった。
―――――――――――――――――――――――
決闘は、翌日に行われた。
そして変な噂が流れているのか、休みの日ということもあり、沢山の生徒が決闘を見に来ていた。
「ふん、逃げずにきたのは褒めてやる」
「御託はいい・・・いっとくが手加減できない・・・」
「あはははは!落ちこぼれがボクに何をしようっていうんだい?」
そんな事を話していると、開始の時が迫ってきた。
『それでは両者前へ・・・それでは、開始!』
アナウンスがそう告げて決闘が始まった。
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「むりだわ・・・」
私―――現生徒会長、ティナ・フラットはそう呟いた。
決闘は生徒会が強制的に運営するようになっている。
生徒会長である彼女は強制的に見なくてはならない。
生徒情報は調べた。
あのダリウス家の長男
テッラ・ダリウス
高慢だが魔法技術に関しては確かな物だ。
そして、『落ちこぼれ』
ヴァン・エイジトール
彼に関しては何も分からなかった。
だが、『落ちこぼれ』の名は聞いたことがある。
魔法がろくに使えない、校長の権限で特別に入学した生徒。
勝てるわけがない。
テッラは主席とまではいかないが優秀なのだ。落ちこぼれが勝てるわけが無い。
そんな彼女の思いは、すぐに覆されることになる。
―――――――――――――――――――――――
決闘が始まった瞬間
「すぐに終わらせてやる―――『ファイアー』」
テッラが魔法を唱え火を打ち出してくる。
ヴァンはよけない。
ボァァ!
火はヴァンを直撃しはじける。
「はっ、やはりクズだった・・・・」
「おいおい、こんなんじゃ虫も殺せないぜ?」
火が晴れたそこには無傷のヴァンが立っていた。
「ふざけるな・・・!!・・・このくずがぁぁ!―――『バーニング』!!」
ゴオオオオオオオオオ!!
特大の炎がヴァンを襲う。
しかし―――
「手加減はできないって言ったよな」
瞬間、ヴァンは消え、気づいたときにはテッラの後ろに立っていた。
「えっ・・・!?」
ヴァンはテッラの首筋を手刀で叩き気絶させた。
『・・・・・・!!し、勝者、ヴァン・エイジトール!!』
「やれやれ、やっぱり手加減しちまった」
一瞬遅れて歓声が沸いた。
同時執筆ってきつっぅ
感想待ってます!