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私と彼の恋物語  作者: byとろ
一章:ヴァン・エイジトール
2/19

日常

肩の力を抜いて、主人公に呪いの言葉をかけてあげてください。

そんな感じの1話目です。

もう、3月だというのに2人しかいない教室の窓の外にはひらひらと雪が舞っている。


「俺は・・・化物だ」


そう言い切り、目を伏せる。


怖いのだ。


自分が化物と知って彼女はどう反応するだろうか?


恐怖するか?


侮蔑するか?


「・・・そんなことどうでもいいじゃないですか」


程なくして彼女が言った言葉に俺は目を見開いた。

受け入れてくれるというのか?俺を?自分のような化物を。


彼女は優しく微笑み―――

そして彼女が続けて言った言葉に、俺は体からあふれる思いを止められなかった。


「―――好きです。初めて会ったときからずっと、あなたのことが好きでした」


温かい物が俺の頬を伝う。


「・・・俺も・・・ずっと君のことが―――」


窓の外を降る雪だけが、重なる影を見守っていた。



―――――――――――――――――――――――



「―――ください・・・きてください・・・起きてください」


俺―――ヴァン・エイジトールは体を揺さぶられる感覚とともに目を覚ました。


「シャル・・・朝からなんて大胆だな・・・?」


「ふぇ!?・・・な、なにいってるんですか!」


俺の彼女、シャルル・ロードライトだ。

付き合いだしたのは1ヶ月前だ。


俺が朝が弱いことを昨日伝えたから、今日が新学期ということもあって、起こしにきてくれたのだろう。

本当に良くできた子だ。からかうと面白いしな。


そんな事を考えながらベッドから起き上がる。


ここは、俺等が通っているスティテイレ魔法学校の寮だ。


・・・あれ?女子って入っていいんだっけ?一応男子寮だよな、ここ?


「許可はとってあります。ヴァン君を起こしにいくって言ったら快く許可してくださいましたよ?」


疑問が顔に出ていたのだろう。シャルはそう答えた後、リビングの方に向かっていった。


「あの寮母クソばばあめ・・・」


そう、毒づいた後、シャルに起こしてもらえたということで許すことにした。



ヴァン・エイジトールは落ちこぼれだ。


魔法はろくに使えない。態度は悪い、というか一日寝てる。


そんな彼が曲がりなりにも進級して2年生になれたのは、校長が俺の素性を知っているからだろう。


『世界最強の存在ファースト・オリジン


その中の素性の公開はされていない2人の内の1人。


『心優しき狂戦士カインジーク・バーサーカー


それが俺だ。


シャルはそれを知っていて、それでも変わらず接してくれている。

どれだけ俺がシャルに救われているか、それを彼女は分かっていない。


しかし、と彼は思う。


起こしてくれたときのシャルを思い出す。


金色の髪に、朝日を受けて輝く青色の瞳。

少し幼さが残る顔に、反面、出るところは出て、引っ込むところは引っ込んでいる。

学年主席ということもあいまって、学校のアイドルとよばれ、ファンクラブさえ作られている。


そんな子が俺の彼女なのだ。

男として冥利に尽きる。


そんな事を考えながら制服に着替え、リビングに出る。


テーブルの上に並べられた朝食を見て、幸せを感じるヴァンであった。



―――――――――――――――――――――――



「同じクラスですね!」


「おう、そうだな」


とても嬉しそうな顔をするシャル。


クラス分けの紙が張り出された掲示板の前だ。


一緒に登校してきたので、とても目立った。

シャルは前述のとおり、学校のアイドル的存在。それに対し俺は、ある意味で有名な落ちこぼれ。

そんな2人が歩いていれば、目立って仕方ないという物だ。


人が集まっているところは苦手だ、シャルもそれが分かっているのですぐにクラスの方へ向かう。


2-Cの教室に入ると、見知った顔がいくつかあった。


「あ、おはよー。シャルゥ、久しぶり!元気にしてた?」


「わぁ、リンちゃん!同じクラスだったんだね!」


「ナンダそれー?ひどいなぁ・・・あっ!」


何か思いついたように顔を輝かせると、途端にニヤニヤし始めた。


「そっかー、仕方ないよねぇ、愛しの彼と同じクラスってことで舞い上がっちゃてたんだもんねぇ~」


「あ、あぅぅ・・・」


「うわっ・・・まじで図星なの・・・?まさか冬休み中にそんな関係になったの?」


「ああ、まぁな」


俺が臆面も無くそう言い放つと、シャルの顔がぼっと音を立てて赤くなった。


それを見たリンが真面目な顔をしてこちらを向く。


「シャルルを泣かせたら・・・許さないよ?」


「フッ・・・まかせろ」


「ふふっ・・・いやぁ、そっかー、あのシャルゥがねぇ・・・まぁ、いいや。んじゃ、これからよろしく」


「おう、よろしく」


「は、はい、よろしくね」


まだ顔が赤いが、シャルも返事をする。


黒板に書いてあった席順にしたがって自分の席に着くと、隣はシャルだった。

窓辺の席だし、隣はシャルだし、最近ついてるな。


そんな事を考えながら、俺は闇に意識を落とした。



―――――――――――――――――――――――



男はさっきの会話を聞いていた。


「う、うそだろ・・・?そ、そうだ嘘に決まってる・・・ロードライトさんと、あんなクズが付き合ってるなんて・・・」


困惑していた男はやがて、冷静になり、それと同時にさっきのが嘘ではないと悟る。


「くそっ!くそっ!・・・あんなクズが、クズが・・・・・・いや・・・そうか・・・あのクズがロードライトさんの弱みを握っていて・・・クズめ・・・ふふ、待っていてください・・・すぐに開放してあげるよ・・・ロードライトさん・・・」

最後のキモイやつが何故か活き活きかけた・・・。

なぜだ・・・?

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