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私と彼の恋物語  作者: byとろ
二章:ライエス・クォール
19/19

現実は非常である。

どもっ!どもどもっ!


今回もテンション過多でお送りしています!


いやぁ、更新が遅れましたね。すいません。


投稿小説以外にも書いてるんで、なかなかこっちに手が回りません。


兄「しかもこれ……内容薄いな」


俺「い、言わないでおくれよぅ!」


ま、そんなこんなで。


吹かれて吹き飛ぶ!二章、第二話!

「お、おお、おおおおおおおおおおっ!?」


手に持った受験票の番号と、数字が幾つも並んでいるボードを見比べて、ライエスは驚愕を禁じえなかった。


スティテイレ魔法学校の実技試験日から、早二週間。今日は合格発表の日だ。


辺りを見渡せば、肩を落としている者、雄たけびを上げて喜んでいる者、ハイテンションでローリングソバットを繰り出している者がちらほら見受けられる。


かくいうライエスも、ローリングソバットを食らわせられるところを、コークスクリューでカウンターした。


なぜそんなことになったのかは分からないが。


話を戻そう。


前述したとおり、今日はスティテイレ魔法学校の合格発表の日だ。


あの実技試験、ライエスは見事成功させた。


一時間五十四分。


それが試験が始まってから終わるまでの時間だ。


まぁ、ラクラビット相手ならば、十分及第点といえる時間だ。


故に、ライエスは自身の合格を疑ってはいなかった。


だがそれでも、やはり実際に見るまでは不安が募る。


プルプルと腕を震わせながら、手に持つ受験票へ視線を落とす。


ライエスの受験番号は『123』である。


……決して数字が手抜きだということは無い。いや、マジで。


そしてそれから、合格者の番号が書かれているボードを見る。


98、105、116、118、121。


そして――126。


「おおおおおおおお……!う、うそだ……!そんな馬鹿な……!」


思わず、受験票を落っことしてしまう。だが、今のライエスにそんなものを気にしている余裕は無い。


そう、ないのだ。


自身の番号が。


いくら目を凝らそうとも、逆立ちをしようとも、ライエスの受験番号『123』の数字を見ることはできない。


つまりは、


「俺が、負け組み……だと……?」


終わった……と、地面に崩れ落ちそうになるのを、なけなしの虚栄心で支える。


しかしそんな虚栄心も、次第に折れかけてきてしまう。


ライエスは家族の反対を押し切ってここまできたのだ。


元は普通の田舎の平民だった。


ほんの少し強い魔力があったから、優遇されて、不自由も感じぬ生活。


調子に乗っていたわけではない、と思う。


ライエスも愚かではない。自身がそこまで優秀ではないということは分かっていた。


だがそれでも、自分はここを夢見たのだ。


それが、終わった。


終わってしまったのだ。


もうこのまま、ぶっ倒れてしまえば楽なんだろうなぁ。


そう――思ったときだった。


「何で俺様が不合格なんだよ!?おかしいだろこれはぁ!」


やけに耳に障る怒鳴り声がライエスの耳に飛び込んできた。


どうやら、どこぞの有名貴族のお坊ちゃんが合格できなかったらしい。


なんやかんやとわめき散らしているそいつをみて、笑いがこみ上げてくる。


それは自虐の笑みだった。


「は、はは……。おれには、アイツに何か言うこともできはしねぇんだよな……」


ライエスもまた、自分が合格していないことに不満を感じている。


表面に出さないだけで、同じ穴の狢という奴だ。


惨めを晒したくない。


それだけが、ライエスの理性を繋ぎとめていた。


だからこそ。


自分の同類が他生徒まで巻き込んで暴力沙汰を起こしたとき、完全にライエスのたがは外れた。


「糞野郎がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」


もうすでに乱闘騒ぎとなっていた合格発表会場に、一際大きな声が轟く。


誰もが動きを止め、見た。


そいつを。


雷を纏った馬鹿げた暴風を。



>>



私、カンナ・キミシマは今、スティテイレ魔法学校の合格発表の場に来ている。


昔から、強気な正確と特殊な部族の生まれのせいで家族から男らしいと言われ続けているが、待ちに待ったこの日だけは、まるで少女のように高鳴る心臓を抑えることはできなかった。


手に持った受験票の番号『126』を確認し、ボードを見る。


98、105、116、118、121。


そして――126。


「や、やっ「お、おお、おおおおおおおおおおおおっ!?」――な、なに!?」


合格していたことへの歓喜は、すぐ隣で顔を真っ青にしている少年にかき消されてしまった。


その少年は、手に持つ受験票とボードを交互に確認した後、「う、うそだろ……!」と言って顔を俯けてしまった。


それをみて、悟る。


(この人、落ちてしまったのか……)


なんだか急に、気持ちがしぼんでしまった。


自分が受かったということは、確実に誰かを蹴落としたということだ。


だが、自分にも叶えたい夢がある。


それを諦めるわけにはいかない。


気持ちに句切りを付けようとした時、少年の手から受験票が落ちた。


少年は気付いた気配がない。


気まずくはあるが返した方がいいと思い、それを拾う。


「なぁこれ「何で俺様が不合格なんだよ!?おかしいだろこれはぁ!」――ひゃっ!?」


突然の罵声に、思わず悲鳴を上げて受験票を取りこぼしてしまった。


見れば、どこかの貴族が馬鹿なことを騒いでいた。


「――」


それを見て少年が何か呟いたようだが、カンナには聞き取れなかった。


しかし、さっきから最後まで喋らせてもらえない。


「う、うぅ……あ、あんm「うわぁぁっ!」――ぐすん」


もう、いいや。


カンナが諦めた時、一際大きな破壊音が響き、


「糞野郎がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!」


乱闘と化していた会場をさらに大きな声が支配した。


思わず目を瞑り、耳を塞いでしゃがんでしまった。


恐る恐る目をひらくと、先程の彼が集団に突っ込んでいった。


あぶないっ!


そう思った。


カンナは、この光景を生涯忘れないだろう。


人が紙切れの如く宙を舞うその光景を。


ちらり、と少年の落とした受験票を見る。


そこにはライエス・クォールと、どこか癖のある字が書かれていた。



>>



――この日。


ライエスはその場に居合わせた二百十四人の内、乱闘を起こしていた六十数名を一人残らずぶっ飛ばした。


実技試験ですら見せなかったその技を使って。


魔が差した――本人に聞けばそれだけが帰ってくるだろうが、幸か不幸か、これが今後の彼の人生を大きく動かすことになる。


そしてまた、これを見ていた少女たち(・・)も。


嵐は、周りをも巻き込み、龍へと昇華するのだ。


感想とかまってまーす。


中傷はご遠慮ですが。


あ、あと、小説説明文を変えました。混乱しないでくださいね。

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