プロローグ
二章突入!
正統派主人公の活躍が見れるといいなぁ。
主人公(笑)みたいにならないようにしないとな。
頑張ります。
捻って回せ!二章、第1話!
人間は、自らが興奮している時、同時に緊張も味わうものだ。
躊躇いと期待が入り混じって、すこしの不安も合わさって、オーバーヒートを起こす。
つまりは、今俺が緊張しているということ。
ドクン、ドクンと脈打つ心臓が、痛いほどに体を急かす。
ああ、緊張するなぁ。早く順番来ないかなぁ。
そんなふうに思いながら、用意された椅子に座って順番を待つ。
平静を保とうと努力するも、早鐘を打つ人の最重要器官はいっこうに穏やかになる様子を見せない。
まぁ、周囲を見渡しても自分と同じように緊張している奴等が多く見られるので、今の俺を見て挙動不審だとか思う人はいない。
それどころか、見てて微笑ましく感じるのではないだろうか?頑張れと応援してくれるかもしれない。
いや、きっと応援してくれるはずだ。
だって、俺は今―――
「次、137番。ライエス・クォール」
「は、はい!」
思考の途中で自分を呼ばれたので、思わず声が裏返ってしまった。
恥ずかしぃ。穴があったら入りたいぜ。
一瞬、頭を抱えそうになるも、今までの奴等が大体同じようだったことを思い出して何とか落ち着いた。
試験官の先生に先導されて大きく開けたところに出た。
スティテイレ魔法学校。
魔法界最大の魔導師養成機関として有名で、魔導師を目指す者はもちろん、魔法関係の職に尽きたいと思っている奴ならここの生徒だったという資格はのどから手が出るほどにほしいはずだ。
だが、以前から有名だったこの学校は2年前、さらに知名度を上げた。
なぜなら、『世界最強の存在』の公式に発表されていなかった一人、『心優しき狂戦士』ことヴァン・エイジトール様がここを卒業したからだ。
それにあやかろうと爆発的にこの学校を目指す者が増えたと聞いている。
だからこそ、今年から入学試験が難しくなった。ふざけんな。
まぁ、筆記は猛勉強のかいあって余裕だったがな。
今日はその次、第二次試験―――実技試験日なのだ。
これで、俺がこの学校に入れるかどうかが決まるのだ。
ぎゅっと拳を握り締める。
「それでは、線の位置まで進んでください」
試験官の言うとおりにラインに立つ。
「これからある魔法生物をフィールドに投入します。これを捕獲してください」
捕獲・・・?倒すではなくて捕獲・・・?
一筋縄ではいかなさそうだなぁ・・・。
「なお、この魔法生物に戦闘能力はありませんので思う存分戦ってください」
戦闘能力がないだって・・・?なんだそれ。
しかも、捕獲してくださいと言っておいて思う存分戦ってくださいとは、矛盾してるな。
嫌な予感しかしねぇ。
「それでは、投入します」
言葉と共に壁の一部が開く。
ぽんっ。
そんな擬音が聞こえそうな白い小さな動物が出てきた。
「にゅあぁ?」
ラクラビットだ。
もはや幻ともいわれたウサギの特異種。
ああ、やっぱり。めんどうだなぁ。
「にゅあぁぁぁあぁぁぁぁ!」
こちらを視認すると同時にラクラビットが消えた。
実際に消えたわけではない。
超高速で動いているだけだ。
これこそが魔力を持って生まれたウサギの力。
逃走能力は他の動物の追随を許さない。
「・・・はぁ」
ため息をついて、心を切り替える。
こいつを捕まえれば、合格だ。
「気張ってやろうじゃんか!」
叫んで、ある種究極ともいえる『鬼ごっこ』が始まった。
>>
「あれから、2年が経ったよ。カーヴァー」
「ああ、そうだな。あの失敗から数えれば3年か。ラーヴァー」
「次の器はどうしようか?カーヴァー」
「とりあえずは、ボスの欠片集めが最優先だ。ラーヴァー」
「残念だね。カーヴァー」
「残念だよ。ラーヴァー」
「「からからからからからからからからっ!!」」
「相変わらずうるさいな貴様らは」
「あれあれ」
「おやおや」
「君が来るなんて珍しいね。ヴァーダー」
「おまえが来るとは珍しいな。ヴァーダー」
「フンッ。わしだって貴様等に会う気など毛頭なかったわ」
「じゃあどうして?」
「なら、なぜ?」
「ボスからメッセージだ。また、あの学校を狙うらしい」
「あれあれ」
「おやおや」
「それはまた楽しくなりそうだね。カーヴァー」
「ああ、楽しくなるぞ。ラーヴァー」
「ではな。確かに伝えたぞ」
「じゃあね。ヴァーダー」
「それではな。ヴァーダー」
「「からからからからからからからからっ!!」」
「うるさいうるさい・・・。堪らんわ」
>>
「始まるな・・・」
男は、電話の受話器を持ちながらそうつぶやいた。
「え、どうしたんですか?」
受話器から怪訝そうな声が聞こえた。
「いや、なんでもないよ。すぐそちらに行く。ちょっと待っててくれ」
「はい。急いでくださいね?―――ヴァン君」
「ああ―――シャル」
受話器を置いて、部屋を出る。
「また、荒れるか」
呟きは、誰にも拾われずに消えていった。
感想待ってます。
誤字が多いです。申し訳ありません。