創立謝祭 part2
ギャグセンスがほすぃ・・・。
知識がほすぃ・・・。
そんな感じの11話目です。
10時30分。
今日は日曜日、俺は学校から3キロほど離れたベルジュ街と呼ばれるところにいた。
服屋や、食事所などがある、いわゆるショッピングモールだ。
シャルと、創立謝祭の演劇でつかう小道具などを見に来たのだ。
とはいっても、見にきたなど建前で、言ってしまえばデートである。
シャルは別の用事でもうこの街に来ていて、10時30分に街の中心にある噴水で待ち合わせしていたのだ。
顔を上げて周りを見てみると人影が手を振っていた。
俺もそれに気づき手を振り返す。
「ごめんなさい。待ちました?」
「いや、今来たとこ」
男なら一度は言ってみたいセリフだ。
まぁ、寝坊したせいで、本当に今来たところなのだからすくいようはない。
それに気付いているのかシャルはそっと微笑んだ。
「・・・・・・」
正直に言えば、見惚れていた。
太陽を受けてきらきらと輝く金髪に、裾の方にフリルのついたシャツ。
これまたフリルのついたミニスカートから覗く白く健康的な足。
ふわふわした感じの中にある清楚な感じがシャルと合っていてとても可愛い。
「似合って、ませんか・・・?」
「そんなこと無い。似合ってる。可愛いよ」
「あ、ありがとう。ヴァン君・・・」
顔を赤くするシャル。マジ可愛いな。
「可愛いよ。・・・それじゃあ、行こうか」
「あ・・・は、はい」
手をつなぎ歩き出す。
今日はいい日になりそうだ。
―――――――――――――――――――――――
「―――姫様。人と魔族の共存など夢物語でございます」
「だから止めろとおっしゃるのですか?」
「そうでございます。もし、姫様の身に何かあったら―――」
演劇の練習が進んでいる。
もうそろそろ俺の出番だ。
「キャアアアアアアッ」
シャルの叫び声。演劇だと分かっていてもあまり気分のいいものじゃないな。
「そんな・・・こんなところで私はしぬのですか・・・?」
「グるるるるるうううおおおお・・・」
いや、獣の声の真似上手すぎだろ。あ、きぐるみの中はヨッシーダ君か、素直に尊敬できるな。
「私は、まだ・・・こんなところで死ぬわけには行かないのです・・・!!」
よし、俺の出番だな。
ステージが暗くなる。
その瞬間、一歩踏み出す。
ステージが暗くなるのは一瞬だ。
その一瞬に、ステージ中央にシャルと向かい合う形で移動する。
ステージが明るくなった時には獣が倒れ、剣を携えた俺がたっていた。
「―――問おう。汝が心のありかを」
「いやー、あそこまで役に合うとは思って無かったわ」
劇の練習が終わり、放課後。俺たちは劇について話していた。何故かクラス長も混じって。
「そうですよね!ヴァン君かっこよかったですよね!」
「かっこいいなんて一言も言ってないのに、脳内変換されるなんて!このバカップルが!」
「シャルも可愛かったよ」
「ありがとう、ヴァン君」
「無視ッ!?ナチュラルに無視されたっ!」
「無駄だよ。シャルゥとヴァンっちは、正真正銘のバカップルだから」
「あ、リンちゃん。町娘の役、とっても上手かったよ」
「や~や~、ありがとう。可愛いなぁ、こいつめ~」
「無視されるのは私だけなの!?」
シャルのほっぺたをつつき始めるリンを尻目にみかんを食べる。
「お、みかんうまいな」
「何でみかん食べてるのっ!?」
「もってきたからに決まってるだろう?」
「なんでもって来てるのかを聞いてるのよ!しかもダンボールで!」
「おいしいから?好物だから?」
「おいしいけどもっ!何でダンボールごともってきてるの!?」
「おいしいですよねみかん」
「だよなぁ。さすがシャル」
「一つ貰ってもいい?」
「おっけー、おっけー」
「あ、私もー」
「何で私を無視して会話が進んでるのっ!?いじめっ!?いじめなのね!?」
「うるさいな、みかん食って落ち着けよ」
「あ、ありがと・・・じゃなくて!うるさくさせてんのはあなたでしょ!?」
「この後どうする?」
「だからどうして会話を再会するのよ~!」
この日、ある女子生徒の声が何回も校舎に響いていたという。
「何かもう終わろうとしてるしっ!?」
「なに、言ってんだ?」
「ヴァン君・・・そっとして置いてあげよう?」
「何で私がかわいそうな子になってるのよ!」
「あ~、まぁ俺は、ほら中二病とか、電波とかも個性だと思ってるから、なぁ?」
「何て苦しい!ていうか、私は残念な子じゃないわよ!」
「元気・・・出せよ。これから治していけるからさ?」
「だから違うって~~~~~~!」