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第五話 サボっちゃった

文章が短いので2日連続で投稿します

 オレは天堂を背に乗せ、学校まで走る。

 オレは最高で時速4000キロ出せるんだ。

 こんな道なんて一瞬で着いてしまう。


「やっぱ速い……!」


 ものの数秒で着いてしまい、あの天堂ですら驚いていた。

 オレとしては少し遅く走ったんだけどな。

 天堂を乗せてるし。

 それでも速いと思うってことは、導魔に乗って走ったならどんな反応するのだろう。

 (アイツ)はオレよりも速いからな。

 【減速】を使えばやっとこさトントンとだけ言っておこう。

 だが何故だろうか。

 導魔に乗った天堂を想像すると少しムカつくのは。

 オレは天堂のことが嫌いではなくなったはずなのにな。

 まあいい。

 このことは忘れて、学業に集中しなければ。

 しかし、天堂はまだ驚いている様子だった。

 

「はやく慣れろよ?」

「うん……」


 まったく、この程度で音を上げるだなんて、なんだか情けなくなるな。

 こうして、いつもはオレのあとに登校する天堂と一緒に登校する。

 だが空き教室を見て、一気に現実世界に戻ってきた気分になる。

 普通の木の机と椅子か……。


「どうかした……?」

「……なんでもねーよ」


 一呼吸置いてから、オレはいじけたように返事する。

 そうだ。

 こっちだとこれが当たり前だったっけ。

 なんともつまらない世界だ――。

 だけど、これは逆にオレがこの世界に慣れている証拠でもある。

 ただ、言っちゃなんだが、民度はさほど変わらないようだがな。

 オレは教室に入り、そのあとに天堂が入ってくる。

 だが、いつもと違い歓声とか茶化す空気ではない。

 まるで腫れ物扱いだ。

 だがこっちの方が心地いい。

 とくに、今日みたいなクソみたいな気分の夜にはな。

 それかギリギリに来たからかもしれない。

 なんにせよ、だれもこちらを見ようともしない。

 ま、オレとしちゃあ都合がいいがな。


 そうしている間に、1時間目の座学が始まる。


「はぁ……」


 退屈だ。

 座学は全部記憶している。オレがエリートだからだ。

 ……というのは冗談で、【加速】を使いこなせばおちゃのこさいさいだ。

 スマホでもいじるか。ヒマだし。

 先生とかに注意されたら終わるけど、幸い座学だし、こちらを見ようとする魔導生はいない。

 家族に「メッセ」なんてしたら怒られそうなので、オレは迷わず天堂に「メッセ」する。

 いまや天堂も家族みたいなもんだがな。


『天堂、ヒマなんだが』


 いきなり部屋を作って天堂へ送信する。

 すると天堂は、スマホに「メッセ」が来たことに気がついたようだ。

 教室でスマホをいじる背徳感がたまらないが、だれかに見られたら終わりだ。

 できるだけ早く返信してくれ、天堂……!

 そう願っているとピコンと音が鳴ったので、慌ててミュートモードにする。


『授業中になに?』


 どうやら天堂は根が真面目なので集中していたところを邪魔してしまったようだ。

 だが、こっちは退屈で仕方がない。

 オレは天堂に送り返す。


『ありきたりでつまらない』

『それ、むこうだとわたしがいつも思ってることだから』


 そうなのか。

 たしかに天堂は、オレと同じふうに小中学校でも勉強したのだろう。

 だからこそ、むこうだと退屈に感じるのかもしれない。

 そしてそれは、こっちでも言えるだろうという思考に至る。

 座学に興味ないオレみたいなヤツもオレと同じなのだろう。

 そう思ったので、オレはこう送信した。


『わかったよ。オレも天堂を倣って我慢するよ』

『うん、そうして』


 やれやれ、やってやるか! 

 そう思っていると、もう1時間目が終わる。

 あれ……? なんだか終わるのが速いな。


『なあ天堂。こっちって、授業終わるのはやくないか?』

『それもいつもわたしが思ってること』

『たしか、むこうだと40~50分くらいだよな。授業』

『うん』


 そうか。

 だから昼は授業時間が長いような感覚があったのか。

 異界(むこう)を楽しみすぎてたから違和感はなかったがな。

 そう思いつつスマホを淡々といじっていると、オレのこっちの親友、獅導がやってくる。


「よう法魔! なんだなんだ? スマホと睨めっこか?」


 内田(うちだ)獅導(しどう)

 魔法マニアでオレの友だちだ。

 少し馴れ馴れしいが、慣れると表裏のないいいヤツだ。

 一応欠点があるが。  

 そして、その欠点のせいでオレ以外に友だちがいないヤツでもある。


「おっ、獅導か! じつは昨日、弟が歩けるようになったんだよ!」

「マジで!?」

「ああ。リハビリさえすれば、完全に歩けるって言ってた!」

「よかった! これで久しぶりにアイツの走りが見れるのな!」

「おいおい、気が早いぞ」

「そうか?」

「ああ」

「「ははははは!」」


 オレは獅導と笑い合う。

 やっぱりこっちだと、心を許せるのは獅導だけだな。

 そんな獅導に嫉妬したのか、天堂が会話に混ざってくる。


「わたしが弟くんを治した……」

「えっ!? そうなのか法魔?」

「ああ。コイツは恩人だ」

「ふん……」


 天堂がドヤ顔をかます。

 少しかわいいと思ってしまったのは内緒だ。


「へぇー! よかったな、法魔!」

「ああ。あ! そういやオレたち、まだ『メッセ』登録してなかったよな」

「そういやそうだな」

「わたしは昨日した……」


 くそっ、天堂め……。

 ここぞとばかりにマウントとってきやがって!

 すると、獅導のスイッチが入る。


「ほう、法魔にもついにいい子が……」

「なんだよ? その親みたいな反応は」

「なっはっは! それで、いつ名前で呼び合うんだ? 付き合ってるのか? 白状しろよ!」

「う、うぜぇ……」

「……この人、いつもこうなの?」

「ああ。恋愛の話になると、ちょっとな……」


 こうなるとしつこいんだよなぁ。そのせいでコイツは友だちが少ない。

 無口というか、口下手なオレも、同じく友だちが少なかった。

 友だちが少ないという同じ境遇だったオレたちは、すぐさま仲良くなれた。

 まるでパズルのピースががっちりとハマり合ったように。

 そんな関係だったのだが、流石にこのノリはキツいぞ……。

 そう思っていると、獅導以外の魔導生も会話に加わってくる。


「よく言ったぞ、内田!」

「あたしも気になってたんだ!」

「昨日は家行ったんだろ!」

「あっ、だな! どうなんだ渋堂?」


 1時間目が終わったばかりだというのに、クラスメイトの半数以上はオレと天堂の席に蟻のように集まってきている。 

 もし休み時間毎にこうなるとすれば、今日の学校に安息の地はないだろう。

 はぁ……こうなったら仕方がない。

 オレは天堂を抱きかかえる。


「わっ……!?」


 歓声が沸くが無視だ無視!

 あとは天堂を説得するだけだ。

 

「逃げる! 早退するぞ、天堂!」

「えっ、でも……」

「補習ならオレも付き合う!」

「わかった……」


 オレは周りの速度を20分の1くらいに【減速】させる。

 プラス、【加速】!

 これで周りが邪魔することはない。

 天堂を抱きかかえ、廊下から校門までを【加速】で一気に駆け抜ける。


「ふぅ! 到着だ! にしても、抱きかかえながらだと結構難しいな!」

「……法魔くん」

「なんだ?」

「重くなかった……?」

「大丈夫だ。お前さっき、ウインナーしか食ってなかっただろ」

「……うん」

「といっても、これからどうするかな」

「もう家に帰ろう……?」

「マジか天堂」

「だって、学校にいても注目されるだけだし……」

「うーん……気が進まないけど、もういっそのことサボるか!」

「やった……!」

「ならこのまま抱っこしていくか? それとも、背中に乗るか?」

「このままがいい!!」

「はいよ」


 こうしてオレは、天堂と一緒に学校をサボる。



   ◇◇◇



「うおおおお……! マジでサボっちまった!」

「そういうのいいから、【加速】で家の中調べてきて」

「わかった! 【加速】!」


 オレは1階を高速で見回る。

 だが、家の中には誰もいなかった。

 導魔もいないということは、そういうことなんだろう。


「おい天堂! 母さんと導魔はたぶん病院だ。父さんは仕事。おじいちゃんはきっと武道場だ。いまこの家は誰もいないぞ!」

「じゃあ、異界に行こう……」

「はあ!?」

「いまむこうは21時前。こっちは41時半……」

「だからってな……いや、もう魔導学校のことは一旦忘れよう!」

「うん……! じゃあ鞄の中に触って」

「おう!」


 こうしてオレは、2度目の異界に向かう。

 夜の異界には、いったい何が待ち受けているのだろうか。

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