表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白湯と温泉。時々異世界  作者: 脇汗ルージュ
湯けむりと白湯と魔法陣
9/25

白湯と王国と記憶の泉後編

レオン……いや、れおくん、だった?」


ぽつりとゆのが呟く。

泉のさざ波が静かに広がると同時に、記憶の断片がつながっていく。


「……ゆの」


「覚えてる。小学校の帰り道、いつも白湯作ってくれたよね。魔法瓶に入れて。あれ、地味にすごい嬉しかったんだよ」


レオンハルト──かつて“れお”だった彼は、驚いたように目を見開いた。

そして小さく笑って、そっとゆのの髪に手を伸ばす。


「君の髪に、あの頃の陽だまりの匂いが残ってる気がする」


「それって褒めてる?それとも匂ってるってこと?」


「どっちもだな」


「ちょ、セクハラだよ王子!」


ゆのがぽかっと彼の肩を軽く叩くと、ふたりの間に、幼馴染だったころの空気が流れ始めた。


そのとき、泉の奥に光の渦が生まれる。

まるで泉が“次の記憶”を見せたがっているかのように。


「これは……なに?」


光の中に浮かんだ映像は──かつての世界、現代日本。

温泉の湯けむりの中、魔法陣が浮かび上がり、ふたりの姿が微かに重なるように見えた。


「……私たち、一緒に飛ばされた?」


「運命ってやつかもな」


ふたりの手が、泉の光に導かれるように重なった。


「ポロリーノ、君も見えた?」


「ボクは……白湯の女神が微笑むのを見た気がするブウ……!」


「それ絶対幻想だから!」


ゆののツッコミが炸裂したその瞬間、泉がふわっと白く輝き、ふたりを包み込んだ。


そして、泉が静まり返ったとき、彼女たちは新たな決意を胸にしていた。


「よし、温泉を探そう」


「え、王国の危機とかじゃないの?」


「違う!癒しが優先!」


こうして、“白湯と記憶”をたどるふたりの旅は、本当の意味で始まろうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ