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16話 意味わからん意味わからん。

「……んぁ? うっさ」


 耳ん中がキーンてする。


 《ま、まさか。ホントに効くなんて……》


 おねーさんの声だ。

 ……ん? 今、対面で話してたのに、俺は何改まってんだ?


 《悪用厳禁……ね》


 あ。

 肩叩かれた。




「……え。なにこれ」

「それじゃあ。下句君。気を付けてね」


 どゆこと? 

 体育館の外へ出る扉の前に突っ立ってるみたいな景色が見えんだけど。

 え? 今の今まで目ぇ見えてなかったみたいな感じなんだけど。


「いや、意味わからん意味わからん。こわ!」


 ぶっ飛んでんだけど。

 状況も記憶もぶっ飛んでんだけど!


「ど、どうしたの? 下句君が、探索に行ったきり戻らない、おまわりさんと英雄ちゃんを探しにいくって言ってくれたんじゃない」

「……それ、知らない下句だわ」


 まぁまぁまぁ、落ち着け。

 今いる場所は? 扉の前だな。

 俺の体は? 非常用のロープとかハンマー、ペンライトとか持ってんな。

 周りは?


「あんた、見直したよ! 自ら怪物のいる外へ二人を探しに行くなんて! ただの変態じゃないんだね!」


 ……例のおばはんとその他が随分と感心していらっしゃる。

 癒仕さんは……いねーや。


 なるほど、総合的にみてこの状況――



「俺が自ら志願して行方知れずの二人を捜索しに行く」

「「「わあーーーー!」」」


 ちげーよ!

 決意の再確認じゃねぇよ。沸くな! 腹立つ。


「無い無い無い。ミイラ取りが、ってやつじゃんこれ――」

「――下句君がしたい事。したくないの?」


 ……はっ!?

 空白の記憶――は埋まらんけど、舞台袖での出来事は思いだせる。


(あの感じ……あれだよな。二人を探しに行って戻ってきたら……ってことだよな)


 一回、天秤に乗せてみよう。


(成功したらお触り、的な? ……いやでもなぁ)


 非常に魅力的だが、命懸けるほどか?

 おねーさんも立派だけど、数日前にそれを上回るボリュームをガッシーンしたばっかだし。


(……いや、まてよ?)


 さっきのおねーさん、()()()たよね?

 つまり……直に、いっていいってことなの?


(いや、それどころか――)


 その先、ってこともワンチャンあるの?

 具体的にどこまで、って明言してなかったから、そういうのもあり得るのん?


「――下句君?」

「……おまわりさんがどこに探索しに行ったか分かるんすか?」

「! 行ってくれるんだね!?」


 まー、あのおまわりさんにはお世話になったし?

 救井君も良いやつだし?

 逃げ足には自信あるし?


「おまわりさんは校舎の方、まず職員室っぽいところから探索すると言っていたわ」

「職員室……そういやここ学校だっけ」


 ずっと舞台袖に引きこもってたから忘れてた。

 ……学校、ってことは。


「保健室も、あるな」

「保健室……? あ。そうね。衛生用品も貴重な物資かも」


 いや、まぁ、ね?

 なんかありそうじゃん、俺が見事に二人を連れ戻ったら使うかもしれない……ねぇ?

 あと歯ブラシセットなんかもあったりすると助かる。


「ま。余裕あったらその辺も持ってくるか」

「あと、これも持って行って」

「……鉈、ね」


 竹とか叩き割るやつ。

 あんま切れ味良くなさそうだけど、護身用には上等か。

 なんでこんなもん持ってんだか。


「避難してきた人の中に、持ったままここに来た人がいて、その人から借りたの」

「使う機会が無いといいなぁ……」


 でも抜き身で持ったままじゃ……いいか。

 こんな状況じゃ銃刀法もクソもないわな。


「んじゃ、いきますかー」

「ちょっと待っててね。今人手集めてこのバリケード――」

「うわ、このボールかご、重ー」


 出入り口をふさぐバリケードたちをポイポイっと。


「「「……」」」

「ほいっと。これで出られるべ。ほんじゃ、バリケード直しといてください。戻ったら速攻開けてくださいよー」


 僅かに空いた隙間から外へ、太ってなくって助かった。






「……あのカゴ。ボールの下にダンベル敷き詰めたよね?」

「六人でやっと動くくらい重いのに」

「100キロ以上は、あると思うんだけど……」

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