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14話 あー……暇

アホで軽薄な主人公を

脳ミソ低稼働で書きたい

「……さみしっ」


 新聞記者だというおねーさん同席のもと、おまわりさんの聴取が終わって。

 そのあと、そのまんま舞台袖に隔離された。


 ここに避難してきていたのは、俺と警官、おねーさんや救井君たち以外はおばはんと同じかそれ以上の高齢男女ばかりっぽくて。

 俺みたいなトラブルを起こした若者が目に付くと不安がられるってんで、今ボッチ。


 個室みたいである意味快適ではあるけど。


「しっかし、妙なことになったよなぁ……」


 昼間でもここは薄暗いけど、差し込む明かりの具合で時間帯はなんとなくわかる。

 多分もう夜だろ。

 スマホも無いし、やることもない今、今日一日の珍道中を振り返るには良い感じの隙間時間だわ。


「ゾンビに、オーク。ゴブリンにスライム」


 んで、救井君みたいな不思議な力を持った人間まで出てきたし。


「ああいう特別な力持ったやつが、物語の主人公なんだろうなー」


 だって、手から炎出るんだよ? イケメンだし。

 スーパーヒーローか、って。


「……メンでも、ヒーローでもないか」


 炎を操る美少女ヒロイン、ってことになるんか?

 やっぱ主人公じゃん。


「うらやまー……」


 しいかと言われたら、微妙か。

 色々重責ありそうだし。


「なんやかんや、俺にはこの状況がちょうどいいんかもなー」


 食料やらなにやらタイムリミットはありそうだけど。

 こうして、腫物か目の上のたんこぶ的に周囲から孤立していた方が、責任も何も無いし。

 力もないから、無責任な期待に晒されることもない。


「救井君達も、何とかすんだろ」


 多分あの調子だと、一日二日へこんで、メンタル持ち直した後また現状打破に勤しみ始めそう。

 だって、主人公ポジだもん。


「……おこぼれ貰い損ねて、見殺しにされたらどしよ……」


 あの二人、特に癒仕さんはめちゃくちゃヘイトかっちゃったから。

 口論からの、おっぱいガッシーンだもんなぁ。

 そうなったとしても文句は……言うけど、多分力じゃかなわないだろうから、どっちにしろ死ぬだろうなぁ。


「ま、いーや。とりあえずなんもできないし。寝よ」


 なるようにしか、ならないし。






 ::::::::::






 ~三日後~



「うへー、いい加減汗臭いなぁ……」


 この三日間、たまにおまわりさんが袖裏を覗きに来る以外、外との交渉は無くてあまりに暇だから筋トレばっかりやってた。

 でも、三日も風呂入らずで汗流してるもんだから、もう……くちゃい。


「暇つぶしに筋トレなんかやるんじゃなかったなぁ……レベルも上がんなくなったし、飽きたからもうやらないけど」


 最初腕立てやってる時に、例の天の声が聞こえた時はビビったなぁ。

 筋トレだけでレベル上がんの!? って。

 あまりの暇さに、ガラにもなく一時真面目に取り組んじゃったよね。

 とにかくなんか変化が欲しかったんかもしれない。


「レべ5ってどんなんだろ……こう狭いと、まともに体も動かせないしなー」


 おまわりさんには、あまり騒ぐと周囲が不安がるから大人しくしてろって警告されてるし。


「……おー。乾パンの缶は軽く潰せるなー」


 いや分からんな。乾パン自体ほとんど触れたことないし、その缶を潰そうと試みたこともない。

 レベルとかなんもない時にどうだったか分からないから、以前との比較もできん。


「ま。救井君みたいな力もないパンピーの俺が、レベル上げたからなんだって話か」


 缶を潰せるのが何かの役に立つとも思えん。


「あー……暇」


 そういや三日前、部屋に居た時もこんな感じで自堕落にしてたな。

 状況も場所もめちゃくちゃ変わってるのに、ブレない自分に痺れちゃう。


「……てか、大学とかどうなんだろ」


 行けるもんなら行っておきたかったけど。

 こんなんになっちゃぁなぁ……あれから化け物どころか、体育館の外すら見てないから実感が薄れつつあるけど――



『あの~。すみませ~ん』

「……俺?」


 急にドアをノック……というか、パーテーション代わりの舞台幕が揺れて声を掛けられる。

 この声は、新聞記者のおねーさんか。


『開けてもいいですか?』

「まぁ……どぞ」


 おまわりさん以外のお客は初めてだ。


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