第八話 魔法使い
「あ、リヒトーさーん!」
少し離れた所からアデルが手を振りながら駆け寄って来る
「どうかしたか? アデル。」
「はい! これリーフェさんからッス!」
手のひら程の大きさの皮袋をアデルから渡されたリヒトーが中身を確認しながらアデルの頭を撫でる
「おお、ありがとな、、、金?」
「何で頭撫でるんスか?」
「ああ、すまんつい癖でな、嫌だったか?」
「別に嫌ってわけじゃ、、、って、そうだ、リーフェさんがお腹空いてきたからお金渡してリヒトー君に作らせよう! って言って渡されたっス!」
「アイツ、、、、まぁ良いけどな、最初からその気だったし、、、そう言えば人数は?」
「僕合わせて5人ッスね!」
「じゃぁ俺とコイツ合わせて7人分だな、あ、良いよな? こいつも居て。」
「問題は無いっすけど、、」
アデルがリヒトーの少し後ろを指さし質問をする
「その人誰ッスか?」
「杉田 祐作だ、よろしく!」
「アデル・ミルウェイッス、よろしくお願いしますッス!」
2人は軽く会釈をする
「そうだアデル、お前達が住んでる所ってどこだ?」
「あそこに大っきい城が見えるッスよね?」
アデルが右足を後ろに動かし、向きを変え、後ろへ指を指す
「あそこから見て右側ッス!」
「分かった。」
リヒトーが手に持っている皮袋から1万と書かれたお札を6枚、中身の3分の2を出し、アデルに渡す
「それで酒買ってきてくれ、ワインとかよりビールを多くな。」
(大樽の半分、、、中樽くらいなら買えるか。)
「リヒトーさんビール好きなんスか?」
「いや、好きなのはリーフェだぞ?」
リヒトーは首を傾げながらそう言う
「え? リーフェさんってお酒その物がダメなんじゃ?」
「は? 何言って、、、、ふっ、アハハハハ!! そう言う事ね、、、全く、律儀に約束守りやがって!」
「それってどう言う、、、」
リヒトーが遮り話し出す
「そんじゃぁ酒買っといてなー!」
リヒトーは食材が売っている屋台まで走っていく
「あ! ちょっ!!」
「行っちまったな。」
「そうッスね、後で聞けば良いしとりあえずお酒買いに行きましょう!」
「そうだな、あっ俺酒飲まないから。」(ハサウェイが貰った金額って円換算で60万、、、初めて聞いた時は驚いたな。)
「ここで良いんだよな、、、、、。」
三階建ての大きな屋敷の扉の前に様々な食材を抱えたリヒトーが屋敷を眺めながらそう言う
「宿とか寮みたいだな、とりあえず人を呼ぶか。」
荷物を全て左手で抱え、扉をノックする
「すみません! リヒトー・スランウェイです! ここはリーフェ・リディングの屋敷で合っていますか?」
「はぁーい 、どなた?」
ギィィと、扉を開けて出てきたのは紫髪を腰より下までのばした女性、目はタレ目でリヒトーと同じ程の背丈に豊満な肉付き、右手には頭より少し小さい宝石が枝に巻かれた杖、見た瞬間分かる
「魔法使い、、、驚いたな。」
「あら、見るのは初めて?」
「いや、何度か見かけた事はあるが珍しいから。」
「そうよね、普通は魔法使えないからね、一応全属性使えるのよ?」
「すごいな、、 あ、挨拶が遅れた、リヒトー・スランウェイだ。」
「あなたも相当だと思うけれど?」
リヒトーが右手を前に出し、魔法使いに握手を求め魔法使いは杖を持ち替えその手を握
「あぁ、リーフェちゃんが言ってた人ね、私はセイレム・アルセル・マルジィと、レリム・ドット・マルジィ、二重人格者の魔法使い。」
「、、、。」
「私の事はセイレムって呼んでね、これからよろしくね?」