第十三話 魔力炉
日が沈む前の赤色の空の下、7人は2人を除き疲れ切った様子で屋敷前の坂を登って行く
「それで! 洞窟内でゴーレムのコアを作ってた魔族ごと神猟と俺でコアを破壊して大爆発!! 衝撃で洞窟が崩れ出しちゃって、生き埋めになる前に洞窟を出たんだけど、入口も崩れちゃって入れなくなったんだよね!」
「魔族、、見た目は?」
「見た目って言っても、、灰色の肌と、エルフみたいな尖った耳、あと黒髪、普通の魔族の見た目だったけど?」
祐作が首をかしげながら答える
「、、、、そうか、普通のか。」
神猟が屋敷の扉を開け中へ入る
「ただいまー、帰ったぞー、アリアー。」
「あれ? 早かったじゃん、夜中とかになるかと、、。」
イスに座りながらティーカップに入ったコーヒーを飲む
「コアタイプのゴーレムとそれを作ってる魔族を殺して終わりだ、、、私は風呂に行く、疲れた。」
「あ、私も行くー。」
「私も行くわ、、ってそれ私も滅多に使わないお気に入りのティーカップじゃない!」
セイレムがコーヒーを飲んでいるアリアに早足で近づく
「わ! ちょっ、、ごめん許して!」
すぐさまティーカップを奪い取り台所へ早足で入って行く
神猟、リーフェ、が荷物を置きに部屋へ行き、そのまま風呂場へ直行、その少し後に台所から出てきたセイレムも風呂場へ行く
「疲れたッス〜。」
アデルはリーフェと同じ部屋へフラフラと歩いて行く
「話し変わるけどさ、リヒトーの盾、、、スゲー硬いよな。」
リヒトーと祐作が向かい合わせでテーブルを挟み、イスに座る
「あー、大抵の物は弾くな、、、でも1回だけ破られたんだよな。」
「え? 何に?」
「親友、、マーカスって言うんだけどな、、何重にも重ねた盾が、そいつの拳に負けた、もうかなり会ってないんだけどな。」
「あの時はびっくりしたよね!」
アリアがリヒトーの隣に座り話に入ってくる
「あの爆発に耐えたのを更に重ねたのを貫通する拳か、、、固有能力とかか?」
「いや、マーカスの能力は炎だ、身体強化系じゃない。」
「バケモンじゃん、、、、。」
アデルが部屋から出できてリヒトー達へ近づいてくる
「お腹すいたから何か作ってくださいッス〜。」
そう言いながらヨタヨタと歩き祐作の隣に座る
「よしわかった! アリアと祐作は要るか?」
「要るー!」
「欲しいー!」
「よし! リーフェ達にも聞きに行くか、今風呂だよな。」
リヒトーはスタスタとドアを開け更衣室へ入る、すると突然風呂場のドアが開く
「あ。」
「ん?」
リーフェがドアを閉める
「何だリーフェか。」
「何だよ、どうせなら神猟ちゃんの方が良かった?」
2人は恥ずかしがる様子は無く自然に話をする
「なんでそうなるんだ、、、まぁいい、晩飯いるか?」
「私は欲しーい! あ、タオルとって。」
リーフェがリヒトーの左側にある棚を指さし、リヒトーはそこに畳んで置いてあるタオルを1つとりリーフェに投げる
「ありがと! 2人にも聞く?」
「ああ。」
リーフェが体をタオルで拭きながら風呂場のドアを少し開ける
「2人とも晩ご飯要るー?」
「私は要る!」
「私も頂こうかしら。」
「りょうかーい!」
リーフェがドアを閉める
「だって!」
「分かった、、、それにしても相変わらず風呂上がるの速いな。」
「まぁね! 癖だから!」
「じゃぁ俺作ってくるな、さっさと体拭いて服着ろよー、バカでも風邪は引くんだから、気が付かないだけで。」
リヒトーは更衣室から出ていく
「余計なお世話だよ!」
「さてと、そろそろ作ろうかな。」
更衣室から出てきたリヒトーは空中に水の玉を創り出しそこに手を入れ洗う
「リヒトーさんってなんで無詠唱使ってるんスか?」
リヒトーは玄関の扉を開け、水玉を少し遠くへ放つ
「なんで、、、か、ただ便利だからな、威力とか下がるけどその分使う魔力を増やせばいいし、無詠唱でも事足りるからな、、、使わないのか?」
リヒトーは水で濡れた手に創り出した風を当て乾かす
「いやー、僕は威力が下がっちゃうから使わないッスね、、リヒトーさん程の魔力量は無いッス。」
「俺はまずできない、魔力操作が下手ってのはこう言うのにも影響あるんだな。」
リヒトーは扉を閉めアデル達に近づいて行く
「そうだな、祐作はホントに下手だからな。」
「泣けるぜ。」
祐作が右手で目を覆い隠し、ジェスチャーをする
「てかミーラに聞いてなかったな、どこだ?」
「さぁ? わかんないッス。」
「おーい! ミーラ! 居ないのかー?」
「どうした主。」
ミーラが部屋の窓を開け、飛び込んでくる
「そこに居たのか、晩ご飯食べるかなって。」
ミーラは数秒間リヒトーを見つめ首を傾げる
「どうした?」
「繋がらない、、、。」
「?」
(何だ? このザザーって音)
「リヒトーさんとミーラさんって契約してるんッスよね? だったら念話とか記憶の交換とかが出来るはずッスけど、それが出来ないんじゃ無いッスか?」
「そうそれ! 変だと思って試したけど無理だった。」
ミーラが窓を閉めながら反応する
「なんでそんな事知ってるんだ?」
(さっきの音はそれか。)
「僕も契約してるんッスよ、ウサギベースの獣人と、、、飼ってたウサギが獣人だったんすよ。」
「サラッと言うね君!!」
祐作が笑いながらそう言う
「まぁ何でもいいから晩ご飯どうするんだ?」
「欲しい。」
「任せとけ!」
「ごちそうさま!」
全員が揃ってそう言い、リヒトーが皿を集め始め、各々就寝の準備を始める
「ひゃっほー! 寝るぞー!!」
リーフェが席を飛び出し自室へ走って行く
「ったく、、、どこにあんな元気が、、、。」
神猟が皿を集めリヒトーと一緒にキッチンの洗い場まで持っていく
「私は食器を拭こう。」
「ああ、助かる。」
リヒトーが洗い終わった食器を神猟に渡し、神猟は受け取った食器を白いタオルで拭き種類ごとに分けて重ねる
「ご飯ありがとうな、美味しかったよ!」
「そうか? 嬉しいな。」
「でも今日は疲れただろ? こう言う日は別に手の込んだ物は作らなくてもいいぞ?」
「別にそんなに疲れてないぞ? それにそこまで手の込んだものは作ってない。」
「いやハンバーグとコンソメスープとパンはかなり手の込んだ料理だが!?」
「そうか?」
「そうなんだが、、、まぁ本人がもんだ無いなら良いか。」
「リーフェとアデルは結婚したのか?」
「何だ藪から棒に、、、してないが。」
「アイツらな、一応魔法で音を消してるっぽいけど、、、振動で分かるんだよな、部屋隣だし。」
「私もも隣だから聞こえるんだよな、、、。」
「振動を消す魔法使えば良いのに、、、。」
洗い物を終え、リビングに向かう
「なんだそれ? 聞いたことないな。」
「無属性魔法だよ、アデルなら使えると思うんだけどな。」
2人は椅子に座って向かい合う
「それって使うのが難しいんじゃないのか?」
「それは半分正解、無属性魔法には相性があるんだよ、使い手の性格、魔力操作技術、他属性の適性などで難しいのが出てくる魔法なんだ。」
リヒトーが用意してあった緑茶を2つの陶器のコップに注ぎ片方を神猟へ渡す
「ありがとう、、、、私でも使えるのか?」
「そうだな、、、魔力は極端に少なくないし、単純な身体強化とかなら使えるかもな。」
リヒトーが緑茶を1口飲む
「おお! それは興味あるぞ!!」
「ああそう? じゃぁ明日って何にもない日か?」
「緊急で依頼が入らない限り。」
神猟が緑茶を一気飲みする
「なら明日教えよう、アデルも誘ってな。」
リヒトーが緑茶を飲み干し神猟のコップと自分のコップをかさね、洗い場へ持っていく
「じゃおやすみ神猟。」
「ああ、おやすみリヒトー。」
「よし、朝飯も食べたし、少し運動するか。」
手で目に影を作り外へ出て、大きく伸びをする
「今日は神猟とアデルに魔法教えた後はどうしようか、、、それだけで1日終わるか、、、。」
地面に座り足を広げ体を前へ倒す
「明日は王様に謁見、、、ドラゴンの件だったな。」
体を起こし足は開いたままで右腕を前に伸ばし、手を広げ指先を下に向ける、左手でその指先をつかみ、自分の方へ引っ張り、それを左右3回づつやる
「明後日は国の軍学校へ登校、、、アリアめ、昨日の晩ご飯の時に急に言いやがって。」
立ち上がりもう一度大きく伸びをする
「さて、1、2週するか。」
屋敷の扉が開き神猟が出てくる
「あ、居た! 朝飯ありがとうな!」
「サンドイッチ3個で足りたか?」
神猟がリヒトーへ近づく
「朝はあの量で十分だ、それで、、1、2週って何だ?」
「いや、あそこの壁あるじゃん。」
「国壁だな。」
「あれに沿って走る。」
「目安の時間は?」
「この国結構でかいから、、1時間ちょっとかな。」
「1時間、、、思ったより早いな、私も行こう、少し待ってくれ。」
神猟は目を閉じる、辺りにバチバチと静電気が起こり、次第に発生する間隔が短くなり、音が大きくなり静電気、、、電気、、、雷、へと変わっていく
「固有能力、、宮本さんと同じだ。」
雷が神猟の体にまとわりつき、体が少し光り、雷を纏う
「何か言ったか?」
「いや何も、、、よし! 行くか。」
扉が開きアデルが顔を出す
「あ、いたッス、、、あのサンドイッチ食べちゃって良い奴ッス、、、、か、、、。」
言い終わる前にリヒトーと神猟は音もなく走り出す
「ああ、、、行っちゃったッス。」
「なぁ今アデルが呼んでたぞ。」
「サンドイッチ食べていいか? 見たいな事だったな、、、まぁ食べるだろ。」
まだ日が上りきっていなく、影がかかり少し涼しい壁沿いを2人は走る
「良いなコレ、目も体も起きるし、人も少なくて走りやすい、日課にしようかな。」
「良いなそれ、私もやる!」
2人はスピードを合わせながら会話をする
「なぁ神猟! 壁の上って走れそうか?」
「これと言った障害物はないぞ! 、、、行くか!」
「おう!」
2人はスピードを落とさず壁を登り、上を走る
「はー! 気持ちイイー!!」
「私もここを走るのは初めてだな!」
2人のスピードが上がる
「まだ行けるか?」
「神猟こそ行けるのか?」
さらに
「当たり前だ!」
さらに
「ははは!」
さらに
さらに
上がる
「ゆるーくやるつもりだったけどやめだ! もっと上げるぞ! 神猟!!」
「まだまだ行けるぞ!!」
予定を大幅に超え10分足らずで半周を超えようとしたところ、リヒトーの足元から槍の様な物が飛び出す
「は!?」
「今のは?」
神猟が足を止めずに後方を確認するがそこにはなんの形跡もなかった
「、、、、王様か!!」
「王様!?」
「王様の固有能力で壁の形状を変えたんだ!」
「王の意向か?」
「何だ知ってたのか?」
「、、、、有名だからな。」
そんな話をしている最中でも槍の様な物は生えて来て、それを2人は難なく避ける
「そんなに気にしなくていい、たまにこうやって訓練してくれるんだ!」
「そこも同じか、、、。」
「ほう、、、。」
「どうなされましたか?」
玉座に座る王に上質な武具を身にまとった兵が会話をしている
「なに、少しばかり試してやろうと思っただけだ、、、、強さは健在のようだな、リヒトー・スランウェイ。」
「よくわかりませんが王様、嬉しそうですね。」
「フッ! 旧友との再開だ、笑みもこぼれよう。」
「だいたい25分くらいか? 結構縮められたな。」
「王様の攻撃が余りにも激しすぎたからあのままスピード上げれたらあと10分くらいは縮められた気がするが。」
「あ、帰ってきたんスね、どこに行ってたんッスか?」
布団を干しながらアデルが声をかける
「壁の上を1周グルっとな。」
「へ?」
「あの国壁の上に登って1周走った。」
神猟が指を指しながら説明する
「神猟さんならともかく、、、。」
「な! こいつマジで速いよな。」
「別に俺より速いやつなんていくらでも、、、。」
「いやいないぞ?」
「そう居ないッス。」
「そんな事はいいんだよ、、、じゃぁ早速始めるか。」
「何を始めるッス?」
「昨日の夜お前がリーフェとベッドの上でナニかしてる時にドアの前で言っただろ? 無属性魔法を教えるって。」
「な!!?!??! 何にもして無いッスよ!!??!」
「うるさーい! もう皆わかってるんだよ!」
リヒトーがビシィ!! っとアデルに指を指す
「手始めにアデルはその昨日のナニかで汚れたであろう干してある布団を乾かせ!」
「は、はいッス!!」
「じゃぁ俺が手本を見せるから、魔力の流れをちゃんと見とけよ!」
リヒトーが布団へ近づき右手を伸ばす
「フェル・ジール。」
湿っていた布団か水分が抜けれ行き、すぐにふかふかふわふわ暖かお日様の匂い布団になる
「へー! 凄いな。」
「魔力を水分と一体化させて魔力ごと霧散させてるんッスね、、、。」
「いい感じに濡らしておくから見様見真似で練習な、コレは後で教える魔法に応用出来るからしっかり覚えろよー。」
リヒトーが野球ボールほどの水の玉を幾つか創り布団に当てて濡らす
「何か教え方雑じゃないッスか?」
「だってアデル才能あるからな、神猟は初心者だからちゃんと教えるぞ?」
「才能、、、えへへ! リヒトーさんが言うんなら!」
「練習しとけよ! 、さてと、、、神猟の番だぞ!」
「ああ、ドンと来いだ!」
「まぁその前に服乾かすか。」
「お! 頼む!」
「汗でびちゃびちゃだからな、フェル・ジール。」
汗で濡れ、肌に張り付いていた服が乾く
「おお! やっぱり凄いな! 私もこれ使いたい!!」
「剣を捨てたくなかったら諦めろ。」
「諦めよう。」
「さて本題だ、魔法を扱うのに必要なのは、才能、努力、魔力、魔力炉だ。」
「ま、魔力炉?」
神猟は首を傾げる
「そう、その魔力炉で魔力を作り、貯蔵する、貯蔵量は魔力炉の大きさで変わるぞ。」
「その魔力炉は私にもあるのか?」
神猟が身体中をさする
「基本的に誰でも持ってるんだ、まぁ内臓みたいにモノがある訳じゃなくてエネルギーの塊みたいな物なんだけな、その魔力炉には扉があって、魔法使いはそれを自由に開閉できる。」
「なるほど、一般人は扉の開閉が出来ないって事だな。」
「惜しいな! 半分正解! 開閉は出来るが鍵がかかってるんだ。」
「鍵、、、それを外せば私も魔法が?」
口元に右手をあて、首を傾げる
「そう、だから俺が今からそれを外す、ちょっと腹周りさわるなー。」
「ん? 分かった。」
リヒトが神猟の右横で片膝をつき、右手でお腹をさする
「大抵はこの辺にあるんだけど、、、あったあった。」
(思ったより大きいな。)
リヒトーが神猟のへその少し下辺りをさする
「じゃあ今から開けて行くな。」
リヒトーは手に魔力を集中させ、神猟の体内に流す
「アハッ! 何だこれ!? おもしろ!!」
「ちょっ! あんまり動くな。」
神猟の揺れる体を押えながらリヒトーは解錠を進める
「今からは本当に動くなよ、死にはしないが魔法使いがそばにいないと生活出来なくなる。」
「わ、分かった。」
リヒトーの手が神猟のお腹から10cmほど離れ、その手の指先からへその3cmほど下の1点へ半透明の糸のような物が伸びている
「よし! このまま。」
リヒトーはそれぞれの指を繊細に動かす
「ん、、、、少し夜更かしし過ぎたかしら。」
セイレムはベッドから出て服を着替え、ダイニングルームへ向かう
「表で魔法を使ってるわね、さて朝食は何を、、、あら?」
テーブルに置かれた大きな皿程の大きさでドーム状の取っ手のある岩を見つけ、取っ手を掴み持ち上げると中には大きな皿の半分弱に盛られたサンドイッチを見つけ、近くに置かれたメモを手に取る
「1人3つ、口に合わなかったら残しておいていい、リヒトー、、、来てから毎日作っているし、彼はもう料理当番ね。」
キッチンへ向かい、棚から袋詰めされた紅茶のティーバッグを1つ取り出し、ダイニングに戻り席に座る、セイレムは右手を顔の横の少し離れた所へ運び手を広げる
「ロック・ジェレト。」
広げた手のひらの手前に白色の石で出来たティーカップを生成し取ってを右手でつまむ
「ウォーター・ジェレト。」
ティーカップをテーブルに置きその上にティーカップに入る量の熱湯を生成し、ティーカップに注ぐ
「この感じ、、、無属性かしら? アデルくんに教えているようね。」
熱湯の入ったティーカップにティーバッグを浸しながらそうつぶやく
(朝はあんまり食べられないから2つで良いわね、リーフェちゃんか祐作君が食べると思うし。)
サンドイッチを2つ取り、岩の蓋を皿に被せる
「リヒトー君と祐作君が来てから1月ほどだったかしら?」
サンドイッチを1口食べる
「やっぱりリヒト君の作ったものは美味しいわね。」
「あれ〜? 何か良いもん食べてんじゃーん!」
リーフェが駆け足でサンドイッチが置かれたテーブルへ向かう
「リーフェちゃん朝っぱらから元気すぎ。」
「おはよう2人とも。」
ティーカップを手に取り1口飲む
「おはよー、ソレはこの丸いヤツの中?」
「そうよ。」
「あ、おはようございます! セイレムさん。」
「あら、さん付けなんて珍しいわね。」
「え?」
リーフェが岩の蓋をどかし手紙を手に取る
「1人3つ、、、にーしーろーはー、、12? セイレムちゃんのか!」
「ああ、ソレ食べて良いわよ?」
「ホント? ようし! じゃぁジャンケンだ祐作君!」
「はは! 良いぜぇやるか!!」
「行くよ!! ジャン! ケン!ポン!」
リーフェはパーを出し、慌てた祐作はグーを出す
「ぃよし!」
「負けたかー!」
「へへー、祐作くんは運わるいね!」
リーフェがサンドイッチを2つ取り、1つを祐作に渡す
「お、ありがと。」
祐作が3口でサンドイッチを平らげ2めを取ろうとする
(あ、ああー! 聴こえてる?)
「!?」
(ネロだよー!)
(ネロ? どうしたんだ急に。)
2つめのサンドイッチを取り1口食べる
(色々手こずっちゃって、、、。)
(何が?)
(本当はね? 祐作くんがこの世界に来た時点からこうして通信を繋げたかったんだけど何故か一月半繋がらなくて、、、ごめんね!)
「ん?」
「どしたの?」
サンドイッチを両手持ちしたリーフェがそう言う
「あ、いや何でもない。」
(どゆ事?)
(本当は私が音声ナビみたいな感じでサポートしようかなって思ってたんだけど出来なかったの。)
2口目を食べる
(そういう事か、、、。)
3口目を食べ手に付いたソースを舐める
(けど良かっ、 結構仲良くやってるみたいで、伝えたかったのはこれだけ、こんな感じで度々話しかけるから! じゃぁまたねー!)
(ああ、またな!)
「よし! リーフェ、あと一個もやるよ?」
「ほんほ!?」
「今日は俺とリーフェが当番で資材の買い出しに行く日だよな?」
リーフェが口いっぱいに頬張ったサンドイッチを飲み込み、さらに二つを皿から取り出し食べ始める
「そうだよ!」
「よぉうし、なら噴水のある広場の噴水まで競走な!!」
「私結構速いんだよ? リヒトー君と神猟ちゃんには負けるけど。」
「俺だってじ自信はあるぜ!」
「じゃぁ負けた方は買った方の言うことを聞くって勝負でやろう!」
2人ともが玄関へ歩いて行く
「言ったな! 後でやっぱ無しは無いからな!!」
リーフェはサンドイッチを急いで飲み込み胸をトントンと叩く
「そっちこそ!」
祐作が玄関の扉を開ける
「じゃぁ行ってくるねセイレムちゃん。」
「行ってきます!」
「あまり暴れないでね? あと金は持ったの?」
「忘れてたな。」
祐作が背中に斜め掛けされているフラガラッハをさ鞘から少しだけ引き抜く
「いやー、忘れる所だったな。」
「ね! 」
寝室へと続くドアが開き財布が祐作の手に飛んでくる
「今のも全部風?」
「そう! 便利だろ。」
「どうやってドアノブを風で開いたの?」
「気合い。」
「ハイハイ、いつものね。」
祐作が財布をポッケットにしまう
「フフ、行ってらっしゃい。」
「またねー!」
「じゃ!」
リーフェが勢い良く扉を閉める
「ん? 神猟ちゃんとリヒトーくん? 何してるのー!」
「今話しかけるな!!」
「ふぇ、、、。」
「叱られちゃったな。」
ポン、と祐作がリーフェの肩に手を置く
「あとは開ければ、、、。」
リヒトーは半透明の糸をピンと張る
「よし!!」
「お、おお、おおおお!! 何だこれ!」
リヒトーは半透明の糸を消し立ち上がる
「ふぅ、、、どうだ? 変わったことはあるか?」
「凄いぞコレ! アデルの周りにモヤがかかってるぞ!!」
「どれくらい大きい?」
「あー、半円状で50人くらいがギチギチに入れそうな感じ!!」
「よし! 正常だな、ソレは魔力で目を覆う事で他の魔力を見ることが出来るんだ、そのモヤは魔力、モヤがかかってる範囲が魔力炉、魔力炉のデカさで大きさが変わるぞ。」
「あれ? リヒトーは魔力は少ないのか?」
神猟が目をこらす
「どうして?」
「モヤが見えない、、、って言うかずっと見えてる、、、近すぎたのか! じゃぁ少し離れれば、、、。」
「無駄よ神猟ちゃん。」
セイレムが扉にもたれ掛かりながらティーカップを片手にそう言う
「全くどう言う事なのよコレ。」
「何がだ? あと無駄って、、、。」
セイレムが紅茶を1口飲んでから話し出す
「神猟ちゃんの魔力炉が開いている事に驚いたのよ、無駄って言うのは少し離れてもリヒトーくんの魔力炉は見えないわ。」
「どんだけ大きいんんだ?」
「少なくともこの国1個と半分って所かしら。」
「は?」
「驚く程じゃないぞ? セイレムの方が大きいし。」
「1週間くらい前まではね?」
セイレムは紅茶を一気に飲み干しため息をする
「1週間?」
「何でもないわ、、。」
(俺、、、そんなにでかくなってたのか、、、。)
セイレムが玄関の扉に手を掛け扉を開ける
「無理しないしさせないでね?」
「ああ、解ってる、大丈夫だ。」
「まぁ、あまり心配はしていないけれどね。」
屋敷の中へ入り扉を閉める
「俺達もぼちぼち行くか!」
「後でねー!リヒトーくん! 神猟ちゃん! アデルくん!」
「あ、リーフェ! さっきは怒鳴って悪かったな。」
「良いよ良いよ! 見た感じちょっと危ないことしてた感じだし!」
「そうか?」
「そうだよ! あんまり気にしないでね!」
リーフェが大きく手を振る
「おさきー!」
祐作が声と同時に走り出す
「あ!! 祐作くんずるいぞー!」
祐作を追ってリーフェも走り出す
「長々と話してるからだよー!」
「物とかにぶつかるなよー! 、、さて、魔法が使える様になった事だし始めるか。」
「お願いします!」
辺りは暗くなり、空にはところどころ星が輝き出した頃
「もう、、、無理、、。」
「僕も無理っス、、、。」
神猟とアデルは大の字で地面に倒れ込む
「2人とも結構覚えが早いな、アデルはもう殆ど完璧だし、神猟は発動するだけなら出来るから後は発動しながら戦闘できるようにしたいな、明日も出来そうか?」
「僕は大丈夫っすけど、、。」
「ああ、私も出来るが、、リヒトーが無理じゃないか?」
アデルと神猟がゆっくり立ち上がる
「え?、、、、ああ! そうだった王様の所に行くんだった、まずいな準備してないぞ、、。」
言い終わるとリヒトーは直ぐさま屋敷の方へ振り返り、自分の部屋へ走って行く
「謁見、、、、ブラックブラッドドラゴンの話しか?」
「1ヶ月半空くのは変ッスけどね!」
翌日の14時、身長の2倍以上はある豪華な扉の前にリヒトーは案内される
「執事っぽい人に案内されが、、、。」
(アリアから聞いた話だと謁見室、、、とか言ったか? 王様が適当に付けた名前らしい。)
「それにしても警備が薄いな、、、まぁ現王様の能力で手薄には出来るが、、、。」
リヒトーは4回ノックをし中からの返答を待つ
「誰だ。」
「一月ほど前のドラゴンの件で呼ばれた、リヒトー・スランウェイです!」
「おお! 来たか! 直ぐに開けてやれ!」
かんぬきを外す音の少し後にゆっくりと大きな扉が開く
(今の王様はどんな見た目をしているんだろうか、、、、。)
半開きの扉から部屋の内部が少しづつ見え始める、扉から真っ直ぐに玉座があり、そこには兜だけを外した状態の黄金の鎧に身を包んだ黒髪短髪の男が肘をついて座っている
「久しいな、リヒトーよ。」
男はニヤリと笑う
「久しい、、、?」
扉が完全に開けられ扉の両脇にいる兵士の1人がリヒトーに入れ、と言うジェスチャーをする
「失礼致します!」
と言いながらリヒトーは1歩目を踏み入れた所で玉座に座る男の顔を見る
「、、、、は?」
リヒトーは目を大きく見開き小声でつぶやく
「アヴリュート、、、王、、、!?」




