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冒険者になったけど思ってたのと違うのですが

  4冒険者に(今度こそ)なろう!

「今日から俺の2ラウンド目が始まりだ!!!」

 そう口に出して思いっ切り扉を開けたのは青ジャージをきた日本からの転生者、佐藤 晴斗だ。ハルトは約15日間の労働を経て、お金が銀貨1枚、銅貨50枚の貯金に成功した。15日間の労働。口で言うのは簡単なのだが、雨の日も風の日も前世の死因がチラつく猛暑も働き続けたのだ。雨ニモマケズ・・・。という詩に乗っ取り頑張ったのであった。まさか宮沢賢治も異世界で詠まれるとは思っておるまいが。

 51枚にも及ぶ硬貨はジャージの裏ポケットに入れているため少しだけ右胸が重い。そんな自分の努力の結晶を感じつつ、俺はギルド受付へ向かった。

「ようこそギルドへ。あ・・・・・・またいらしゃったのですか。今日はなんの御用ですか?」

 ギルドのお姉さんは前回と同じひとだ。なぜ同じ人にした理由は一番可愛いからだ。ギルドのお姉さんとは色々とフラグが立つのだ。可愛い人を選んどいて損は無い。

 自分を覚えてくれていたことに少し嬉しさを感じつつ、

「えっと。冒険者になりたいんですが。」

 そう答えた。

「では、手続き料銀貨1枚を。」

 前回のやり取りを相当省いて速攻手続き料を要求するあたり俺が持っていることをわかっているのだろう。

「すみません。お願いします。」

「はい、確かに。では手続きをしますのでこちらにどうぞ。」

 俺ってば今日から冒険者になるんだな。そんなことを思いながら案内された方に足を向ける。

「では、この魔水晶に手をかざして下さい。」

 魔水晶・・・・・・。日本にはなかった代物だ。これが俗に言う魔道具というものなのだろうか……?俺は断じて厨二病などではないが、魔道具という響はとても心くすぐられるのもがある。そんな事を考えながら手をかざす。かざすとそれは淡く光だした。

「はい。もう大丈夫ですよー。」

 手をかざしていた時間は大体10秒ぐらいだろうか。そんな短い間になにがわかったのだろうと思っているとおもむろに隣にあった大きめの印刷機のようなものが動き出した。驚いてそちらを凝視していると・・・・・・。

「はい。これがえーっと・・・・・・サトウハルトさんの冒険者手帳です。」

 ツカツカと印刷機的なものに歩いて行ったお姉さんは手帳的なものをそこから取り出し渡してきた。

「ありがとうございます。」

「はい。ではもう登録は終わりですが・・・・・・。冒険者の説明は要りますか?」

「お願いします。」

 冒険者についての説明の中には例のレストラン事件のことも教えてくれるのだろうか・・・・・・?是非とも来たばかりの異世界人にもわかりやすい説明を期待したいが……。

「そうですか。では、手帳の最初のページを開いてください。」

 言われるがままに開くとそこには・・・・・・。

「最初のページは冒険者証明書があります。自分の名前、年齢、生年月日、性別などはお間違いないですか?」

 最初のページには俺の名前、生年月日などがしっかり記入されいた。こんな情報をあの魔道具は読み取ったのだろうか・・・・・・?記入する時間を考えればものの10秒で終わるあれは相当に優秀な魔道具だ。情報を読み取れるのはとても時短でき素晴らしいが、手をかざすだけなのであれば悪用し放題だ。とても危ないものだ。今後気をつけておくとしよう。少し脱線したが、間違い等は見当たらないので、

「はい、大丈夫です。」

 そう答えた。

「そうですか。では次ページを。そこにはステータスとスキル、アビリティの枠があります。」

 ステータスにスキルなど、異世界ならではの項目にいくようだ。ここで俺の日本では開花されなかった能力なんかが明らかになったりするのだろうか?そんな淡い期待を抱きながら次ページをひらく。

「ステータスには『筋力、魔力、知力、防御力、素早さ』があります。その項目の隣の数値が自分のステータスとなります。えっと・・・・・・ハルトさんは・・・・・・?」

 大体日本にいた頃のゲームと同じシステムらしい。そしてお姉さんは俺のステータスを覗き込んでくる。多分ここで高ステータスにお姉さんは驚くのだろう。

「えっと。筋力と防御力が平均値以下ですね。あとは・・・・・・知力が少し平均を上回ってますね。あとは平均値ぐらいですね。」

 俺の淡い期待は一瞬にして砕かれた。5個中2個が平均以下、1個は以上らしいが、結局俺は非力でひ弱な引きこもり属性は手放せなかったらしい。

「まあ、レベルが上がるとステータスも上がるので……。

 次は隣のスキル、アビリティの項目です。」

 そうそうに俺のステータスの話を切り上げて次の枠にいくらしい。掘り下げたくないほど酷いのだろうか・・・・・・?平均より少し低いぐらいでそこまで気にしなくてもいいはずだ。しかもステータスが低くても問題はない。なぜならレベル上げればいいのだがら。逆に伸び代があると考えようじゃないか。

「スキルは、何かしらのきっかけで得られるものです。ハルトさんにも多分なにか得られて・・・・・・?斧スキルと運搬スキルを得られているみたいですね。」

 確かにスキルと書かれた項目には斧スキルle2、運搬スキルle3と書かれている。多分だが斧スキルは木こりで、運搬はバイトで得られたものだろう。なんの役に立つかは知らないが、思わぬ副産物だ。

「スキルの文字を凝視すると目に詳細が映りますよ。」

 そんなことを言われて半信半疑で斧スキルの文字を凝視する。

「おぉ。」

 本当に目になにか文字が出てきて思わず感嘆の声を漏らす。

 そこには、斧の扱いが上手くなる。獲得可能アビリティなし。と書かれていた。

「あの、獲得可能アビリティとはなんですか?」

「それはですね。スキル値が一定以上上がったら得られるものです。例え斧や槍、剣などのスキルはレベル5で強打が獲得可能です。アビリティの獲得にはアビリティポイントが必要です。それはレベルが上がると貰えたり、アビリティポーションを飲んだりで貰えます。初級アビリティは低ポイントですが、上級になるにつれて必要なポイントも増えていきます。」

 なるほど。俺が日本でゲームをやっていなければ理解ができないような情報量だったな。

「レベルやスキル、アビリティなんかは上限ってあるんですか?」

「全部ありません。が、レベルだけは大体100レベルぐらいが関の山ですね。経験値効率がいいモンスターをずっと狩り続けても3桁いけるかどうかですね。他はアビリティポーションを飲みまくればポイントが、色々なことに手を出せばスキルが手に入りますからね。」

「ありがとうございます。」

 なるほど。なんかやり込み系のRPGみたいだ。多分60レベとかで上級冒険と言われるぐらいになるんだろうな。

「あ、そういえば目に映ったあれはなんなんです?」

「あれは冒険者登録をした人が使えるもので、叡智の魔法です。習得には知力値が1000はいると言われているもので、それを魔道具を使って少しだけ使っているのですよ。本当のは見たもののステータスからアビリティ、スキルなんかも見れちゃいます。噂によれば未来なんかも見れちゃったりするらしいですよ?まあ、その下位互換なのでせいぜいわかるのは自分の冒険者手帳に記載されているものの説明ぐらいですが。」

 なるほど、なんか壮大な話になったな。まあ便利な物として認識しておこう。自分のものが分かれば十分だ。ちなみに俺の知力値は平均より少し高いらしいが10ちょい。1000とか無理ゲーだ。

「これで冒険者手帳の説明は以上です。なにかありますか?」

「いえ、ないです。わかりやすい説明ありがとうございました。」

「そうですか。では最後の手続きに参りましょう。」

 お姉さんはそんなことを言いながら歩き始めた。




「はい、目的地に着きました。」

 着いたそこは、何やら武器倉庫のようなところだった。あれだろうか、初期装備をくれるのだろうか?

「ハルトさん。ここには剣、槍、斧、杖、大盾、があります。この5種類のなかから武器を選んでください。初心者冒険者にギルドからの贈り物です。」

 初めて。初めて日本で思い描いていたイベントが起こった。この世界は初期費用もなければチート選び、冒険者生活すら思い通りにいったことなどなかった。だが、今回は違うらしい。これこそが異世界生活だろう。やっとここから俺つえぇぇぇ!!!!ができるのだろうか。ほんとにほんとに長い、長いチュートリアルだった。

 おっと。耽っている場合ではない。武器選びか。そんなもの答えは決まっている。

「じゃあこれにします。」

 手にしっかりと重い感触を感じるそれを持ちながらお姉さんにそう告げる。

「そうですか。お疲れ様でした。これからのハルトさんの活躍に期待しています。」

 そう言って背を向けるお姉さんに俺は今度こそ、

「ギルドのお姉さん!・・・・・・君の名は?」

 そう問いた。

「・・・・・・酒場ギルド『フーア』で働いております。フリエルと申します。」

「フリエルさん。これからもよろしくお願いしますね。」

「はい。ハルトさん。」

 そんなやり取りを経て、俺はギルドの出口へと向かった。




「親方ー。今日の仕事はなんですか?」

 俺はギルドを後にしてバイトをしに来ていた。速攻で冒険者をやっても良かったのだが、バイトを無断で休まない方がいいと思ったので、働きに来ているのだ。実際冒険者で生計が立てれるとか限らないのでこの判断は正解だと思う。

「おっ。ハルトか。今日も木材全部だ。あとここの石材も少し頼む。」

 なぜか仕事が増えた。労基に違反しそうな労働量だぞ。だが、強面の親方を前にすると頷くことしかできない。

「了解です。」




「終わりました。親方。」

 余裕だった。実際仕事量は増えたが、帰る時間はそこまで遅くなっていない。どこにそんな力が?と思ったのだが、俺の筋力は残念ながら低いままだ。しかしながら、俺には運搬スキルがあった。これはものを運ぶ際に運びやすくなるというただ単純なものだったにだが、このバイトにはもってこいだった。

「お疲れ様。ハルト、お前バイトを辞めねえか?」

 俺はいつものように日当を貰おうと・・・・・・?

「えっっっ?なんでですか?」

 不味い不味い。何がいけなかったのだろう。何故かやっと見つけた働き口がなくなりそうだ。

「いや、お前の働きをみていてな。お前はもうバイトの域を超えている。どうだ?正社員にならないか?」

 おっと、早とちりだったようですね。まさかの俺の夢に見た知られざる能力はここで明かされたようだった。

 いやいや、なに?俺の能力は運送ってか?舐めんな!!!

「えっと。俺は今はここで働いていますが、冒険者として働きたくて・・・・・・。それこそ今日登録も終わらせて来て・・・・・・。」

「そうか。でも正社員はシフトがあるし週2で休みもある。お前の働きはこの場に必要なんだ。もし良ければ考えて見てくれ。」

 おっと、まじで俺の運送すごいんだ。すごくびびる。が、シフトもあり休みもあるならいつ冒険者として働くかの調整もしやすい。いい話なのではないだろうか。そこまで考えて、

「そうですね。いつかは辞めるかもですが、もうしばらく続けようと思います。」

 そう結論をだした。

「そうか、明日またこい。明日に説明をする。これからもよろしくな。」

 そう言いながら日当を渡してくる親方に、

「ありがとうございました。お疲れ様です。」

 そう言って別れを告げた。




「すみませーん。この唐揚げ定食ご飯大盛りで。」

「かしこまりました。」

 俺はギルドに来ていた。そして毎日の労働後の楽しみである飯を食べに来ていた。なぜいつもと違って大盛りなのかというと、日当が銅貨60枚と少し多かったからだ。もしかしたら俺は一般人よりも沢山働いているのかもしれない。実際親方も欲しがるのだ。俺の職業適性にバッチリ当てはまったのだろうか・・・・・・?

「唐揚げ定食ご飯大盛りです。ごゆっくりー。」

 そんな声とともに俺は意識をご飯へと切り替えた。




「うわぁああああああああ!!!!」

 そんな声をあげながら一生懸命に足を動かす。死ぬ気で足に力を入れる。なぜかって?俺は第2の人生に幕が降りようとしているからだ。

 後ろから複数の足音が迫ってきているのがわかる。なぜこんなことになったのか。

 事の始まりは、ハルトの悲鳴から数時間前へと遡る。




「イベントが来ない・・・!!!」

 俺は絞り出すように唸った。この世界に来てからというもの、心躍る戦いも、パーティメンバーとの甘酸っぱい関係も、一切ないのだ。憧れていた異世界生活が出来ていないことに憤りを感じつつ、原因を探る。

 そして俺ははたと気づいた。俺はイベントが起こる条件を満たしていないのではないかと。そう、俺はこの世界でやったことは木こりと運送だけだ。イベントが起こらないなら起こせばいい。そう思った俺はすぐに動き出す。




「親方ー。今日オフにして貰っても良いっすか?」

 そう、冒険者をするならバイト・・・ではなく仕事はできない。そう思った俺はギルドより先に親方に会いに来ていた。

「おう、随分といきなりだな。どうかしたのか?」

「いえ、実は今日クエストを受けようかなーと思ってまして・・・・・・。可能ならオフに出来ないものかなーと・・・・・・。」

「うーん。今日は大丈夫そうだ。初クエスト頑張ってこい!」

「ありがとうございます!頑張りますっ。」

 そうお礼を言って次はギルドへと走り出す。




「すみませーん。クエスト受けたいんですけどー。」

 俺はクエストを受けるべくフリエルさんに声をかけた。

「クエストでしたらあそこのボードに貼ってある依頼から受けれますよ。受けたいクエスト用紙を持ってきてくださいね。」

「わかりました。」

 そう言ってボードへとあるきだした。

 ボードには右半分が討伐クエ、左半分が採集クエだ。そのほか特殊なものは下って感じだな。俺は初心者だし最初は採集かなーと左をみてみる。

 クエスト用紙にはクエスト内容とレベル目安が書いてある。俺はレベ1なのでそこら辺をと思いクエストを見ると……。

 ちょうどいい薬草採取クエストがあった。初めてに丁度いいクエストだろう。そう思い紙を外す。

「すみません。これ受けたいのですが・・・・・・。」

「わかりました。初クエスト頑張って下さいね。」

 そういい笑顔を見せるフリエルさん。眩しすぎます。そう思い外に出ようとすると、

「ハルトさん。ソロよりもパーティ組んだ方が安全ですよ。クエストボードの裏に募集の紙があるので目を通して行かれては……?」

「ありがとうございます。見ておきますね。」

 そう言って俺はボードへ向かった。

 募集を見るのはいいのだが、既に2~5人ほど集まっているのがほとんどだ。引きこもりの俺には少々ハードルが高い。

 しょうがない。自分で募集するとするか。そう思い、募集の紙を貼り付けておく。

 募集をかけた俺は複数人加入希望の人が来てくれることを願いつつ、ギルドを後にした。




 クエストの場所は森の中だ。

 本来なら武器だけでなく装備も揃えてからやるべきだが、幸運にも休める正社員になったことと、ここ1ヶ月思っていた異世界生活ができなかったことで痺れを切らしてしまったのだ。

 そんな俺には大きく変わった点が1つある。

 背中に大きな斧を吊っているのだ。ギルドで俺が選んだ武器は大振りの斧。

 多分だが、日本からの転生民は斧なんか選ばないのではないだろうか。かく言う俺も剣に惹かれない訳ではなかったが、俺は幸いにも斧スキル持ち、より生存できる方を選ぶのが道理だろう。

 もしも合わなければ変えればいい。好きなように武器切り替えができるのは初心者の特権だろうし。

 残念ながら青ジャージは変わらなかったのだが。

 つまり俺は青ジャージに戦斧という一風変わった出で立ちへと進化したのだ。引きこもりから冒険者に進化した。そう言っても違いあるまい。

 今回のクエは薬草取りなので危険はないと思うが、持つことに損はないだろう。そんな思いから持ってきた斧の重量をヒシヒシと感じつつ、冒険者手帳をみる。ここにはありがたいことに受けているクエストと完了したクエストが載ってある。もちろん受けているクエスト欄には薬草取りのクエが、完了の欄にはなにもないが。

 これの便利なところは、薬草の名前や生えている場所、なんと写真のようなものまで閲覧できるのだ。

 今回のノルマはロー草と泡立ち草だ。前者はローポーションの原料に、後者は洗濯洗剤になるらしい。両方ともこの『フスト』では重宝されるらしい。

 大衆浴場には魔法陣があるため、泡立ち草が役立つ場面が見当たらないが。

 っと。どうやらここら辺に生息しているらしい。

「よし、じゃあ初クエ開始ぃ!!!!」

 声高々に宣言し、草を見つけようと・・・・・・。




「グルルルルルル……ガオッ!!」

 そんな声がして草取りの手を緩め、声がした方へ振り向くと……。

 なんかクソでかいワンちゃんがいるんですけどぉおお!!

 ワンちゃん。そう表現したのだが、より正確に言うならば狼っぽい。ヨダレを垂らしている口からは大きな牙がみえる。

 ・・・・・・どう見ても魔物なんですけど?

 どうしよう。見た感じ勝てはしなさそうだ。多分気付かないうちにグシャッてなるな。・・・・・・となると、選択肢は1つだ。

 俺はしっかり前の魔物を正面から見据えた。

 ―――――逃げよう。そう判断して。




「うわぁああああああああ!!!!!」

 そんな絶叫が森に響く。あと少しで森を抜けるはず・・・・・・だが、もうすぐ追いつかれそうだ。ちなみに何故か後ろから複数聞こえる・・・・・・。

 俺には何故なのか到底分からない。

 そうか。あの魔物を退治しようとしてくれている騎士の皆様か。そう思いながら後ろを見ると。

 ・・・・・・あぁ、無理ゲーだ。なんであんなデカいのが複数体いるんだよ。

 ――――――――そこには10体以上の魔物がいた。





 もうすぐ、ほんとにもうすぐで抜ける・・・・・・。

 1度はあまりの難易度に諦めそうになったが、今は死んでたまるかと意識を切り替えている。なぜならもう少しで森を抜けるはずだからだ。

 そう思っていたらいつの間にか目の前には街模様がみえていた。自分の声が届く範囲になったなら、やる事は1つだ。

「誰かぁああああああ!!!助けてくれぇえええ!!!」

 そうデカい声で叫んだ。

 不審者に会ったらとにかく大きい声で叫べと言う日本の教育の賜物だ。不審者ではなく魔物だが。

 俺の声が届いたのだろう。出入口近くの騎士詰所みたいなところが慌てふためいているのが見てとれる。

 こんな惨状を見せられて慌てふためいているらしい。

 いやいや。慌てふためきたいのはこっちなんだが……。

 そんな前の詰所を見ていると中に長い黒髪を後ろで纏めている人がいて・・・・・・。




「佐藤 晴斗さん。ようこそ女神の部屋へ。晴斗さん、あなたは死んだのです。」

 そんなことを唐突に言われた。


「・・・・・・えと。俺・・・・・・また死んだんですかね?」

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