9. 拐われた妖精と、捜索隊
「なんだって!?」
ブルーベリーが沢山入った籠を持たされて、オリとシドは妖精一家の家に帰りました。
シドが夜の魔女が言ったことをティータに伝えると、ティータは大きな声を上げました。
オリはびっくりして首をすくめます。
「誰かがリーナを拐っただって!?一体誰が!?」
「分からない。しかしリーナは自分の意思に反して北へ移動していて、何か大きなものが側にいると、夜の魔女は言っていた。そいつがリーナを拐ったに違いない。」
「大きなもの……なんてこったい……ああ、リーナ……一体どうすれば。」
ティータはふらりと、倒れるように椅子に座り込んでしまいました。
「私がリーナを探しに行こう。」
シドが、ティータの前に進み出て言いました。
「貴女達は役目のために眠り続けるピートの側を離れられないし、この森を守らなくてはいけない。こんな時こそ、私の出番だ。貴女の庭に居候させてもらっている恩を、返させてくれ。」
「ああ、シド!!何て有難いんだい!!そうしてくれると助かるよ……。そうと来たら……おおい、ディーン!!ディーン、出ておいで!!」
ティータの呼び掛けに、リーナの双子の弟のディーンが、目をこすりながらふらふらと飛んで来ました。
「ふぁ〜あ……なんだい母さん。僕は昼寝をしていたのに……。」
「ディーン、リーナが拐われたんだ。シドと一緒に、リーナを探しに行っておいで。お前の知識は、きっと役に立つ。」
「ええっ?リーナが拐われた?」
流石のディーンも、目を見開いてびっくりしていました。
「ディーン、宜しく頼むよ。君は物知りだから、きっとリーナを見つけるのに力になってくれる。」
「しょうがないなぁ……ああ全くリーナのやつ!やっぱり僕が居ないとダメなんだから!!」
シドにも頼まれて、ディーンは渋々といった様子でしたが、最後には得意そうに胸を張っています。
「オリ、君もおいで。」
シドにそう言われて、オリはぱちくりと目を瞬きました。
「私も?」
「そうさ。君は人間なんだ。人間は、私たちの誰より素晴らしい力を持っているんだよ。それに、リーナが見つからなければ君は帰れないんだ。早く見つけたいだろう?」
シドは、そう言いました。
「全く、お前さんは本当に人間が好きだねぇ。そうなるのも、無理は無いけれど。」
ティータは呆れたように言いましたが、戸惑っていたオリに向かって自分も語りかけました。
「オリ、シドの言う通りだ。人間のあんたが居てくれたら、きっと大きな力になる。一緒に行って、リーナを助けてくれるかい?」
オリは、困ってしまいました。
自分はただの子供なのに、シドとティータは、自分は大きな力を持っていると言っています。
それが何なのか、オリには分かりません。
「本当に、私にそんな力があるの?」
「勿論さ!人間の力は、それは素晴らしいものなんだ。自分では気づいていないかもしれないけどね。」
本当にそうなら、オリはそれがどんなものなのか知りたいと思いました。
それに、一緒についていけば、オリは魔法の森を見て回ることができます。
どきどきしながら、オリは答えました。
「わかった。私、一緒に行きます。」




