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この後の予定は特にないからこのまま
終電に間に合うように駅へ向かい、家に帰る予定でいた。
その為、彼の質問に返事をするならそれはイエスであるのだが、すぐにそう答えないのは
よくある次の日問題だ。
華の金曜日とは、土曜日がやすみである人たちに向けて使われる言葉であって
土日祝が基本的に仕事に割り振られている人間には関係のないことである。
土日祝休みの人たちにわかりやすく
例えるならば日曜の夜に日付を超えても遊ぼうぜと誘われているようなものか。
いや、休みの日の晩に誘われてるわけではないから
火曜、水曜あたりの夜に、遅くまでの付き合いを求められてると言うほうが正しい。
つらつらと並べてみたが、とにかく次の日問題が私の頭によぎり、すぐに返事ができずにいた。
とはいえ首を突っ込んだ以上、突き放すわけにもいかずに
「あるよ」
とだけ答えた。
「なあ柊太もカラオケいくよな?」
私の返事が終わったと同時に後ろから酒臭い同級生が
西村くんの肩に腕を回し彼の返答も聞かず、
無理矢理連れて行こうとする。
「あ、小野寺さんもくる?」
やっと私の存在が視界に入り認識されたらしく、ついでのように誘いを受けるも
「わりぃ、俺と小野寺さん明日早いから帰ろって話してたとこ」
西村くんが、同級生の腕を振り解き、パンっと顔の前で両手を合わせて断りを入れる。
「ちぇーつまんね」
若干のブーイングを受けながらも西村くんは気にせずに私の方へと戻った。