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やっぱり端っこが落ち着く。
キャッキャと西村くんを囲む彼女たちを横目に
ふぅ、っと息を吐き出した。
「いいの?久々なのに話しなくて」
真央は西村くんの方に視線を向けたままで私に話しかける。
そのおかげで主語がなくても誰の話をしているのかわかった。
「そもそも、仲良かったわけじゃないから
特に話題もないよ」
西村くんと私は、当時から接点はあれど
直接的に話をすることなんてほとんどなかったから
花を咲かせるような思い出話なんてないのだ。
「もったいないなあ。同窓会ラブとかよくあるのに」
実際、他クラスの同窓会から付き合ったという話も聞いたことがあるが
このクラスには前回の同窓会から今までそんな話題は出てきていない。
「それならきっと相手はあの子だよ」
私がお酒の入ったグラスから目線をやった先には
学生時代、クラスでマドンナ的存在だった安藤希美ちゃんが
西村くんの隣にくっついて座っていた。
「希美ちゃんって彼氏いるって言ってなかったっけ?」
「それいつの情報?」
「さくらの中では別れてる前提なんだね」
真央は苦笑いを浮かべて自分のグラスに入っていたカクテルをクッと飲み干した。