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これは私の良く知る二つ目の未来だ

まずは皆さんに謝罪しなければいけない。

様々な事情によりゲームの続きを始めるのが遅くなってしまった。

申し訳ないと思ってはいるが、この時間は皆さんへのヒントそのものになる。

許して欲しい。


なぜ私がまだこの時代にいるか?

様々な事情はあるのだが心配はいらない。

数日中に私のミッションは終わるだろう。

本来であれば数日前に私の本来の時間に戻る予定だったのだが

この時間軸ではどうやら私の知る転換点はもう少し先のようだ。

よって私はもう数日の滞在を余儀なくされている。

まぁそれも数日の話だろう。


私の話よりゲームの続きをしよう。

その前にもう一度注意をしておく。

何度も言うが私はあなた達の未来を変える事をよしとしない。

現在数十人のあなた達のみとゲームを楽しみたいと思っている。

なので、沢山の人々の目に触れるような事があればゲームを止め、全てを消さなければなければならない。

忘れないで欲しい。


それでは始めよう。

今日は2020年4月30日、記念すべきあの日までもうすぐだ。


さぁ二つ目の未来の話をしよう。


私はこの未来も良く知っている

今から数日先の話だ、一部の人々は制限された生活に耐え兼ね活動を始める事になる。

それは仕方のない事だった。

想像し得るこの世界、この国の経済的な、損失はとうに限界に達していた。

それを一部の人々は危惧したのだ。

その経済的損失を放置すれば

ウイルスによる生命、人的被害など比べ物にならない程の不幸の連鎖と

生命を奪う結果になる事は目に見えていた。

ある意味賢明な判断だったとすら思うが、問題はその後におきる。

制限された日々を送る人々が、活動を始めた人々を迫害し始めるのだ。

もちろんはじめは圧倒的に『制限された人々』が多かった。

苛烈に責め立て、不謹慎だと非常識だと罵った。

だがそれと同時に活動を始めた人々は反論する機会を得た。

そして『活動する人々』が活動する論拠をメディアは取り上げざるを得なくなっていった。

するとその論拠は徐々に『制限された人々』を『活動する人々』に変えていくのだ。

それはまるでオセロのように黒から白へ人々を少しずつ変えていく。

気が付くと圧倒的に多数であった『制限された人々』と『活動する人々』は数の上で拮抗する様になる。

ここで更に問題が発生する。

この国の政府だ。

『活動する人々』の正当性を政府は理解していた。

しかしそれを今さら認めるというのは非常に都合の悪い事になってしまっていた。

何故なら『制限された人々』を作り出し、扇動したのは自分達だったからだ。

実は政府の選択は間違っていて、しかもそれを知っていたなどと言えるはずは無かった。

しかしこのまま『活動する人々』が増えればいずれその事実は認めざるを得なくなるのだ。

そして政府は『制限された人々』とともに迫害を始めるのだ。


そんな事は出来ない、違法だ、と思うだろうが残念な事に出来るのだ。

何故なら今から少し先に法は変わる。

そしてその法は解釈を変えれば、思想や行動を圧倒的に制限できるようになる。

使い方によっては独裁での罰を与える事ができるようになるのだ。

そうして『活動する人々』は苛烈な迫害を受ける事になる。

その怨嗟は次第に社会に蔓延しそして爆発する。

『活動する人々』は逆襲する。

その時、それはテロリズムと呼ばれたが後に戦争と呼ばれる。

まぁほぼ同数の正義のぶつかり合いに端を発した争いだ。

戦争が相応しいだろう。


これもあなたはそんな事はあり得ないと思うだろう。

人はそんなに愚かでは無いと思うだろう。

確かに人はそれ程愚かではないかもしれない。

ただそれは『人』に限るのだ。

それが『人々』になった時、人は愚かにになる。

あなたも人の正しさが自分の正しさと違った時覚える感情があるだろう?

否定か劣等か反発か

それが何と呼ぶものか私には選択し兼ねるが

あなたにもあるものだ。

それが少しでも集まれば、人はすぐ愚かになるものだ。


ともあれ戦争は起きる。

殺し合いが起きるのだ。

これももちろん最初は政府が味方をする『制限された人々』が圧倒的に有利に『活動する人々』を殺し

または投獄していく。

まぁ当初の図式としては軍、いや自衛部隊だったか?

それらと『活動する人々』との争いになった。

だがそのうち自衛部隊の中にも『活動する人々』への賛同者が増える。

そしてそれはその軍を密かに割る事になり、いよいよ『制限された人々』を攻撃していく。

この方法が凄まじい。

人類史上最高の戦果を上げる事になる。

なぜ凄まじい結果を残せたか?

それは『制限された人々』は自分達が戦うとは微塵も思っていなかったから。

と私は分析している。


『活動する人々』は軍の後ろ盾を得ると、表向き『制限された人々』のふりをした。

そして『活動する人々』は徹底的にどちらの側の人間かを調査し情報を共有していったのだ。

争いは一時沈静化し、表面上穏やかな日々が少しの間続いた。

そしてその日は突然訪れた。

それまで仲良くしていたはずの隣人が突然、殺しに来たのだ。

それは一斉に、この国中の至る所で起こった。

隣人はインターホンを鳴らして笑顔で会話し、そして刃物を突き立てた。

警官は突然前を歩く同僚を撃ち殺し、軍人も訓練中に突然同僚を絞殺した。

至る所の日常に紛れ、散らばる『活動する人々』が一斉に『制限された人々』を殺した。

これにより『制限された人々』は大多数が死ぬ事になった。

それはそうだ、二種類の人々はもうほぼ同数

一人が一人を殺せれば『制限された人々』は根絶される事になる。

その日この国の人口は39%減少する。

これは後に人類史上もっとも美しく、合理的で見事な計画の一つだったと称えられる事になる。

今日という日を基準にするならその時の人口は現在の42%程度だったろうか

それ位だったはずだ。

まぁ細かい数字はさしたる問題ではない。


その後どうなるか?

至って平和な日々が来る。

残された『活動する人々』は皮肉な事に守りたかった社会と経済を失う。

これもまた皮肉な故事として語り継がれるのだが

まぁおいておこう

急激に人口が減り、社会を維持する事が出来なくなった人々は社会を形成する事を諦め

飢餓と貧困と争いと共に生きていく。

至って自然な世界が訪れる。


信じられない?

もちろん信じる必要はない。

この前も話した通り未来が変わる事を私はよしとはしていないのだ。

これはただのフィクションだ


そうだ。

この国以外の事も少しだけ話しておこう。

というか警告しておこう。

今後、皆さんが思っているより遥かにあらゆる意味で世界は遠くなっていく。

それこそ、私が話した未来はなぜ外国が介入してこないのかと

疑問に思うかもしれない。

それは、もう皆さんが思うよりずっと

世界は離れ、遠くなったと言う他はない。


さぁそろそろ答えを聞かなくてはいけない。

私はどちらの未来から訪れ、そして誰なのか。

答えは私がミッションを終え帰る事になる『その日』に聞こう。


そんなに時間はかからない。

私が見なければならないものは、もうそんなに多くはない。


もう一度言おう私は皆さんの未来が変わる事をよしとしない

私の存在により世界が変わる事もよしとしない。

これはあなた達と私だけのゲームだという事を忘れないで欲しい。

それでは私が帰る遠くない日の夜に


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