表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
りんごの木  作者: 雨世界
7/31

 それから二人は一緒に(もちろん、可能なかぎり、林檎の格好を綺麗にしてから)ファミリーレストランの中に入っていった。

 それが今から一時間前くらいの、夜の八時ごろの出来事だった。


「ありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」

 お勘定をレジで払ったあとで、二人は夜のファミリーレストランをあとにした。

「ごちそうさまでした」

 お店の出入り口のところで、林檎はもう一度そう言って、輪廻に深々と頭を下げた。

 林檎は相変わらずフードを深くかぶったまま、両手をジャージのポケットに突っ込んだ姿勢のままで、頭をあげてにっこりと輪廻に向かって白い歯を見せて、本当に幸せそうな顔で笑った。

「ううん。別に大したことじゃないよ」

 同じように、にっこりと笑って輪廻は言った。

「いえいえ。本当にありがとうございました。このお礼は必ずします。もしなにかあったら、近くにある公園にきてください。たぶん、私はそこにいると思います」

 林檎は言って、ビルとビルの間の闇を指差した。

「うん。わかった」

 輪廻は言った。

 二人はそこでまた少しだけ無言になった。


「……えっと、じゃあそういうことで」

 そう言って、林檎は片手をポケットから出して輪廻にさよならをしてから、その場を歩き出して、ビルとビルの間にある、真っ暗な闇の中に消えていこうとした。

「……あの、ちょっと待って!」

 と、その小さな後ろ姿に輪廻は言った。

「……? なんですか?」

 後ろを振り返って、林檎は言った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ