表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

76/81

春の訪れ

 学校……。

 クラスメイト達は、もうすぐ来る春休みに胸を躍らせている。

 季節は三月の半ば。

 今頃、リノンの世界ではリノンが魔王を追いかけてるころだろうか?

 それとも、もう追い詰めているのかも……。


 「ふふふ……」


 ちょっと、おかしく感じた。

 これが僕の現実。

 そして、魔王を追い詰めているリノンも、リノンにとっての現実。

 仮に、僕とリノンが逆の立場だったら、どうなっていただろう?


「……まね出来ないな……」


 やっぱり、笑いがこみ上げる。


 「新田~。何がおかしいんだ?」

 「すみません……」


 僕は先生に注意される。そしてクラスメイト達はクスクスと笑う。

 これが僕の日常。

 ……先生に注意されることなんて、ほとんどないけど……。いや、リノンと交換日記を始めてからは何回か注意されたかもしれない。


 リノンの日常って、どんな感じなんだろう……。

 レベル上げにいそしんでたあの頃や……って、最近もかぁ……。

 僕は春の陽気に照らされながら、ぼっ~と、考えてします。


 「頑張って、リノン……」


 僕は小さく、そうつぶやいた。


 ・・・・・・


 そして、今。

 交換日記を開いて読んでいた。

 リノンからの返事も、交換日記の光も……正常に届く。


 魔王を倒していないので、当たり前と言えば、当たり前かもしれない。



 ------

 字、震えてたしなぁ~。


 大好きなユウスケへ☆

 ボコボコって失礼な……(--〆)


 あっちがちょっかい出してきて、説得に応じなかったのがいけないのよ!

 不可抗力です!

 正当防衛なんです!


 んっと……責任とってくれるなら、安心して魔王を追い詰めるわ~☆


 武者修行ね……それは無いかも?

 だって「旅に出ます」って字、震えてたもん。

 ……まぁ……飛空艇で追い回したら、そのうち魔王城に戻るかもね~☆


 じゃあ、またね~☆


 P.S.

 魔王、北の山から南下。

 情報をもとに捜索中。

 可能であれば、魔王城へ追い込むことも検討。

 ------



 「……正当防衛」


 リノンの世界との意外な共通点。

 でもしかし、魔王は本気で怯えて逃げたっぽいな……。

 倒さないと、リノンの世界に平和は訪れないし。


 「……」


 なんだか僕がリノンの事を信じ始めた頃の事を思い出す。

 変なやり取りで……内容はカオスで……。それでいて、どことなく楽しい……。

 そんな交換日記だった。


 そして今も、そんなノリ。

 魔王を追い詰めて倒すまでは……。


 ・・・・・・


 リノンだって切ない気持ちを抱きながら、魔王を追い詰めているはず。

 僕は前に書いていた雰囲気を思い出して、返事を綴る。



 ------

 魔王追い込み作戦??


 大好きなリノンへ。

 ……はい、わかりました……。

 もうそこはツッコミません……。


 てか、リノンの世界に「正当防衛」なんて言葉あるの??

 こっちだけだと思ってたんだけど……。


 ……魔王、すっかり怯えさせちゃったんだね……。

 なんかさ…僕が見てると、どっちが悪者かわからなくなってきたよ……。

 ……いや、ちょっとした冗談だから、まに受けないで……。


 とりあえず、派手に追いかけてたら、魔王城に戻る可能性も高いね。

 意外と…リノンの飛空艇作戦って、理にかなってるのかも?


 じゃあ、またね。

 ------



 きっと……魔王を倒したら、この交換日記は終わる。

 残りどれくらいリノンと交換できるだろうか?

 知ってか知らずか交換日記はあわく光り、リノンの元に届いたことを記す。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ