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例え交換日記が消えたとしても

 「裏エンディングへの決意……」


 僕は心に決めた。

 そうすれば、少なくてもリノンの世界は平和になり、そしてリノンも幸せになれる。

 そう……きっと……。


 「お別れの準備も必要かな……」


 僕は交換日記に向かってつぶやく。

 多分……永遠の平和が来たら、消える可能性の方が高いのだから……。


 もちろん、逢いたい気持ちはある。

 それも……たまらなく……。リノンとの交換日記がなくなったら僕はどうなってしまうんだろう?


 「きっと……」


 ……いや、考えるのはよそう。

 僕が弱気になってたら、リノンの事も励ませない。


 そう想いを巡らせていると、リノンの返事が来たことを交換日記が知らせる。

 ベッドで横になっていた僕は、ゆっくり体を起こし、机に向かう。

 そして……ゆっくりと新しく追加されたページを読み……。


 「……」


 そこに書かれていた内容は、リノンと言えばリノンらしい内容になっており、僕の不安がすべて消し飛ぶ感覚を覚えた。



 ------

 もちろん、裏エンディング目指すわ!!


 大好きなユウスケへ☆

 あぁ、大丈夫よ♪

 魔王はね、弱らせてって言っても、倒しちゃわないとダメなの。

 倒されないと、封印できないらしいの。

 だから、きっと魔王は城にいると思うわよ。


 それに、まだ平和になってないから、安心して~(^_-)-☆

 現在、レベル94だよ~!

 あと、5つ!


 経験値稼ぎも大分コツがわかってきた感じ。

 ……まぁ、相変わらずべとべとだけどね☆


 ……魔王め……もう少ししたらリベンジしてやる…。

 待ってなさいね!!!


 そうだ。

 私ね、裏エンディング目指すの決めてるんだ……。

 私も賭けるね!


 じゃあ、またね~☆

 ------



 「……平和じゃないから大丈夫って……」


 僕は変な笑い方をする。

 リノンらしさでおかしいところ。

 そして切ない気持ちで胸が締め付けられるところ。

 そんな笑い方。


 「残り5……」


 もうすぐ、リノンの物語は終わる。

 そして……。


 ・・・・・・


 ------

 リノンへ。

 魔王の討伐、おめでとう。

 僕もこっちの世界から、リノンの幸せを祈るよ。

 僕は元気だから。

 今までありがとう。

 そして、お幸せに……。

 ------


 僕が最後の言葉をリノンに送る。

 交換日記はそれを届けたかのように、最後の光りを放つ。

 そして……交換日記は消失した。


 「リノン……本当、ありがとう」


 僕の抑えられない気持ちが爆発する。

 わかってた……この結末は……。


 僕はベッドでうつぶせになり、一晩中泣いた。


 ・・・・・・


 朝起きて……。

 僕はとっさに机の上を確認する。


 「まだ……ある!」


 僕は夢だったことにそれで気が付く。

 でも……本当に交換日記がなくなったら……。


 そう思うと、とても切なく、悲しい気持ちになった。


 ・・・・・・


 学校から帰ると、僕は交換日記に向かっていた。

 ……もしかすると、今朝の夢が現実になる。そんな恐怖を振り払いながら、僕は筆を執った。

 せめて……交換日記の内容だけでも……明るく……。



 ------

 僕も後悔しないから!!


 大好きなリノンへ。

 ……平和になってないから大丈夫って、なんか変な気が……。

 ……まぁ、いいか……。


 レベル94か……いいペースだね。

 相変わらず、毒針とドレスなの?

 ……聞かなくてもわかりそうだけど……。

 

魔王にリベンジは……なんか違う気がするんだけど……。

 ……魔王の方がリベンジの気もしなくもなく……。

 ……それもいいや……。


 ……なんだか、よくわからなくなってきたや……(笑)


 裏エンディング……うん、わかった。

 僕もどうなっても後悔しないからね。

 リノンの好きなようにやって!


 じゃあ、またね。

 ------



 後悔はしたくない。

 本当の平和が訪れること……リノンの世界が……。

 僕の本当の願いでもある。


 「けど……」


 でも、抑えきれない逢いたい気持ち。


 「……」


 僕が書いた内容を見直す。

 きっと、リベンジは魔王の方だよね?

 きっと、まだ初期装備に近い状態だよね?

 きっと……きっと……。


 「……」


 リノンも僕と同じ気持ちと戦っているんだね……。


 僕は涙をこらえながら、交換日記を閉じる。

 交換日記は「泣きたいときは泣いてもいいんだよ?」と語り掛けるかのように、あわい光りを放ち、僕の心を癒してくれた。


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