エンディングの意味
僕の日課は交換日記の返事を待つこと。
今日はリノンから返事が来る日。
僕の……水族館の事、伝わっているだろうか?
そんな想いを巡らしながら、僕は交換日記が光ることを待っていた。
そんな僕を知ってか、交換日記は光りだす。
僕はゆっくりと手に取り、残りの……リノンのレベルが99になるまでのカウントダウンを気にしながら、開く。
「……」
とりあえず。
僕は……まぁ、想定していた事態が現実になったことを悲観した。
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大変な事が起きたの!!!
ユウスケ!!
今日はね、大変なことが起きたの!!
あのね、私がレベル90になった時なんだけど……。
しびれ切らした魔王が来ちゃったの!!
それでね、説得しても応じないから、武力行使したの。
毒針で、急所をわざと外して、じわりじわり……って。
そうやってね、弱らせたら、魔王逃げちゃった~☆
でね、逃げ去り際に言ってやったの。
「レベル99になったら、行くから待ってて!!」ってね~☆
魔王もせっかちねぇ……。
じゃあ、またね~☆
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「……やっぱり?」
そりゃ……魔王の城の前で暴れまわっていれば、まぁそうなるよね……。
不謹慎だけど、僕が魔王の立場だったら、いい加減来てほしいとは思うかもね……。
……なんか……魔王に同情する。
「……」
しかも、いたぶってるし……。
魔王が怯えて、逃げ出してないことを僕は祈った。
そして……この返事ではレベル90まで来たことになる。
この意味は……僕たちに残されたのは、あとレベル9。
そう考えると、僕は切ない気持ちになった。
・・・・・・
僕は交換日記を目の前にして、筆を執る。
リノンの体……いや、世界をはったボケに僕は全力でツッコミを入れる。
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……魔王、気の毒にな……。
大好きなリノンへ。
……。
……。
やっぱり、そう来たか…。
……てか……魔王気の毒な気が……。
本当に倒すとき、ちゃんと戦ってくれるか、心配になってきたよ……。
……魔王城に戻ってることを祈るよ……。
ところで、裏エンディングの事だけど……。
表エンディングって、リノンは知ってるの?
疑問だったんだ……。
なんでいきなり、裏エンディングの話からになるのかって……。
表エンディングって、どんなのか知ってる?
それにファンファーレ・レイの事も気になるし……。
じゃあ、またね。
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そういえば、リノンは裏エンディングなんて言っていたけど……表って何?
僕にとっては、「裏エンディング」なんていきなり出てきて戸惑うだけだった。
リノンは魔王を普通に倒す気はないらしい。
最後の魔法「ファンファーレ・レイ」でトドメをさすこと……それがどうもキーらしい。リノンは僕達のエンディングをまだあきらめていない……そんな気がする。
僕の疑問に答えてくれるか祈りつつ、交換日記を閉じた。
想いは届くだろうか? 交換日記はいつものように優しく光る。
まるで……微笑んでいるかのように……。




