僕の彼女はレベルジャンキー
僕はいつものように、リノンの返事を待ちわびる。
もう……僕の生活の中心になっていると言ってもいい。
僕はこうして待っている時間も好きだ。リノンが次どんな返事を返してくれるのか。それが今の僕の楽しみでもある。
その気持ちを察してか、交換日記は光りだす。
リノンからの返事に、心躍らせながら僕は手にする。
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ついに!!
大好きなユウスケへ☆
ふっふっふ……。
今日はすごい報告があるのだ!!
なんと!!
今魔王城のそばに来てます!!
ようやくたどり着いたよ♪(^_-)-☆
そして!!
お目当てのモンスターもいっぱい!!
逃げ足は速いんだけど、私にかかれば追いついちゃうから、狩り放題~☆
暫くはここを拠点にして、レベル99目指します~☆
いまはね、レベル85まで来たんだ~。
私、頑張ってるでしょ?
褒めて、褒めて?
ちなみに、このモンスターだけど、倒すとべとべとになっちゃうのよね…(-ω-;)
……なんかさ、このべとべとも、ユウスケと最初に話したこと、思い出しちゃった……。
と、言うわけで、経験値稼ぎなのだ~☆
じゃあ、またね~☆
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「魔王城かぁ……」
リノンの冒険……ゴールが見えてきたようだ。
その反面、僕は切ない気持ちでいっぱいになる。
リノンが世界の平和を取り戻したとき……この交換日記はどうなるのか……。
「……いや!」
リノンは気丈に振舞ってくれている。
僕がこんな気持ちで居るなんて、リノンに失礼だ。
嫌な考えを振り払い、もう一度リノンの返事に目を通す。
「きっと……」
レベル上げ……。多分これでまた時間使うんだろうなぁ。そんな未来が見えてくる。
想いを巡らせ、僕は交換日記を閉じる。
・・・・・・
今日は僕の返事を書く日。
リノンの返事を見ながら、僕は考える。
「べとべと……かぁ」
なんだか、もう懐かしく感じる。
交換日記を始めた時、リノンはそんなことを言っていた。
僕は、今までの交換日記の記録を読み返しながら考える。
「もう、4カ月経ったんだ……」
ため息少し、微笑み少し。
僕はつぶやきながら、ページをめくる。
そして、白紙のページにたどり着く。
今日、僕が新しく書くページだ。
筆を執り、僕は綴る。
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べとべとリノン……懐かしいね……。
大好きなリノンへ。
……ついに……だね!!
おめでとう!
頑張ったね?
うん! よしよし、してあげるよ!
目的のモンスターも居たんだね?
その様子だと、しばらくは経験値稼ぎかな?
じゃあ、僕の話をいっぱい書くから、聞いてくれると嬉しいな。
今日のところは、おめでとう!
べとべと……懐かしいね………。
確か、スライムと戦ってて……。
木刀だっけ?
暫くそれで倒してたって。
で、僕はスライム倒すのも大変なんだな……なんて、思ったなぁ……。
次に僕の話するね。
じゃあ、またね。
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最近書けなかった、僕の事。
きっと、僕と同じくらい、僕の世界の事をリノンは知りたがってるに違いない。
だから、次は僕の事を書いてあげたい。
リノンはレベル上げに夢中になるはずだから、これからはそんなに展開は無いだろうと思いつつ。
交換日記……僕の想いを届けてほしい。
そう願いながら閉じ、交換日記が光るのを見届ける。




