リノンの世界でのカラオケ
僕は交換日記の返事を待っていた。
もう返事を書いた後の日は、こうして落ち着かない時間になる。
「リノンの世界での息抜きかぁ……」
ぼんやりと考えていると、交換日記が光りだす。
僕はヒントになったか心配しながら、交換日記を手にする。
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今はカラオケやってみたいなぁ……。
大好きなユウスケへ☆
そうなのよ!
ちょっと試しに、夜にサンダージャベリン使ったら、
キラキラ光っててきれいだったよ~☆
ユウスケのところは、雷の日じゃないと、こんな景色見れないのかな……。
見せたいけど……難しいわよね?
カジノ……前は行きたかったけど、
今はどちらかというと、カラオケに行きたいな……。
……まぁ、こっちにはないけどね♪(笑)
そうだ!
シルビィと歌でも歌ってみるね。
昔聞いた歌を二人で歌ってみる~☆
ちょっとしたカラオケかもね♪(^_-)-☆
じゃあ、またね~☆
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なんとなくだけど、シルビィが覚えた魔法の威力が僕には伝わった。
「まぁ、名前の通りかな……」
僕は独りつぶやく。いくつもの雷の槍で、モンスターを襲う。……とてつもない魔法のように思えた。
リノンが見せたいといった光景は、僕の中でぼんやりとイメージできる。
まるで……花火やイルミネーションのように……。
そして……僕の教えていたカラオケが、ここで役に立ったらしい。確かに機材が無いとしても、二人で歌を口ずさむなら、カラオケっぽいかもしれない。
リノン自身が出した答えに、僕はうなずきながら明日の返事を考える。
・・・・・・
僕は昨日思い浮かべた内容を、そのまま返事に記してみた。
イルミネーション……花火……カラオケ……。花火はあったとしても、イルミネーションは無いような気がする。
僕はあえて、その言葉を使ってみる。
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花火って知ってる?
大好きなリノンへ。
夜のサンダージャベリン、きれいそうだね?
僕も見てみたいよ。
う~ん……こっちで似たようなものって言ったら、
花火かイルミネーションかな……。
花火はそっちにはあるのかな?
火薬を使って、打ち上げるの。
色とりどりの花が夜空に咲くんだよ?
イルミネーションは……そっちにはないかな?
カジノがあるなら、あんなキラキラしたイメージだよ。
それがもっときれいに、見えるように作られたものなんだ。
そっちでのカラオケ、良いかもね!
二人とも、息抜き出来ることを祈るね。
じゃあ、またね。
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「あるかな……」
僕はこの返事で良いか迷いながらも、交換日記を閉じた。
交換日記はあわく光り、リノンに返事が届いたことを知らせた。




