無茶はしないでほしい
僕はリノンの返事を待ちわびる。今かいまかと……。もうこれが僕の日課となっていた。
リノンの冒険の続き……それが気になっている。
でも、その冒険が終わった先の僕たちは……。
「いや、今は考えるな!」
そう……僕はリノンの冒険を応援すると決めたのだから。
僕達の事は……そのあとどうにでも……。
「……」
いや……後で考えては遅いのだろうか……。手遅れなのか……。
僕はそんな葛藤をしているとき、交換日記が光りだす。
そっと手を伸ばして、交換日記を広げる。
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シルビィに無茶させたかも……反省……。
大好きなユウスケへ☆
へへへ☆
私ね。
執念深いの。
だから、ユウスケ、覚悟しててね♪(^_-)-☆
……うん、確か教えてくれた人、「あなた達を見込んで!」って、言ってたよ?
「達」だからシルビィでもいいと思うけど……(-ω-;)
サンダージャベリンはまだ使えないの。
シルビィの魔力がやっと、使えるようになったところだけど……。
……薬で寝込んじゃった……。
シルビィって、私をお姉さんのように慕ってくれてて、私のためなら無茶しちゃったりする娘なのよね……(-ω-;)
今回は無茶させちゃったかな……。
……反省……。
だから、効果はシルビィが使ってみてから、教えるね~☆
じゃあ、またね~☆
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「……そうじゃないよね?」
僕は微笑みながら、リノンの事を想う。
シルビィ……あまり無理しないでほしい……僕も心配になるから。僕の彼女がご迷惑おかけします……。
でも、そんなリノンを慕ってくれるシルビィが、僕にとってもリノンの事のようにうれしかった。
「でも……」
寝込むのはやりすぎだろ! 見ている僕が危なっかしさで、ドキドキしてしまう。そんなに慕われているのであれば、シルビィの事も心配してほしい。
・・・・・・
すっかり日課となった、僕の返事。
昨日のリノンからの返事を読み返しながら、僕は返事を綴る。
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あまり無茶しないでね……心配になるから。
大好きなリノンへ。
……一体僕は何を覚悟すればいいのさ……。
でもね。
僕は一途な人だから。
リノンだけだよ?
……多分ね…「達」っていうのは、
ダンジョンの攻略の方で……。
魔導書は魔法が使えるリノンが使うと思ったんだと……。
……そっかぁ……まだ使ったことが無いんだ……。
でもさ。
シルビィって、リノンの事とっても好きなんだと思うな。
自分の体を犠牲にしちゃうのは良くないけど……。
無理しすぎちゃうタイプじゃない?
だから、リノンもシルビィの事、大切にしてあげてね。
一緒の仲間だから!
一緒にさ…魔王を倒すんでしょ?
あまり無茶せずに、ほどほどに頑張ってね。
リノンが無茶すると…僕も心配になるから…。
じゃあ、またね。
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「……シルビィの事、書きすぎたかな……」
書き終えて、僕の返事を読み返す。
またヤキモチを妬かれないか、心配しながら僕は交換日記を閉じた。
交換日記は優しく光る。そんな僕の想いをのせて……。




