根性……それが欲しい
僕はリノンとの交換日記に、夢中になっていた。
昨日の返事を待ちわびる。
もしかすると、突然終わりが来てしまうかもしれない……。そんな不安を抱きながら……。
「もうすぐ……」
もうすぐ、リノンの冒険は終わってしまう。
リノンの冒険が終わった時……。
そんな時に、交換日記があわく光り、リノンの返事が来たことを知らせる。
僕はそっと手にすると、新しいく追加されたページを開く。
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サンダージャベリンって、伝説の魔法だよ~☆
大好きなユウスケへ☆
……ちょっと……いや、かなり…嫉妬したけど、
まぁいいわ……。
サンダージャベリンって魔法は、昔封印された魔法なんだって~。
その所在は今まで誰もわからなかったけど、私たちが見つけたの。
もちろん、街とかで情報収集してだけど……。
「簡単に魔法を覚える方法ありますか?」
って、聞いて回ってたら、難しいけどあるって、知ってた人が居たの。
歴代の勇者たちも見つけられなかったそうよ?
でね~、その人にお礼に行ったらね……。
てっきり私が覚えるものだと思ってたみたい~☆
そんなわけないのにね!
びっくりした顔、今でも思い出すなぁ……。
効果は次に書くね。
じゃあ、またね~☆
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「相変わらす……」
相変わらず、リノンの日記は元気に思える。
僕も……元気になれる。
そして……。
「そりゃね……」
ツッコミどころが多い……。
でも、シルビィの事を書くのは、やめよう……。嫉妬で、交換日記を破かれたら、ひとたまりもない……。と言うか、僕達のつながりがなくなってしまう……。
ひと時の感情で、何するかわからない……かもしれない。
明日の返事で、どうツッコもうか考えながら、僕は眠りについた。
・・・・・・
翌日、僕はリノンに返事を書いていた。
リノン達の情景を思い浮かべながら……。
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その根性、分けてほしい……。
大好きなリノンへ。
魔法の事、ありがとう。
効果はまた教えてね。
……教えてくれた人の顔は、僕も想像できるよ……。
きっと、リノンの実力を見込んで、教えてくれたんじゃないかな……。
そりゃ、剣士に覚えさせたら驚くよ!!
歴代勇者に見つけられなかった物を見つけるなんて、凄いね!
……人見知りっていうけど、それを補うだけの根性が、リノンにはありそうだね……。
どんな魔法か聞きたいな。
もう使ってみたの?
威力とかも聞いてみたいかも?
じゃあ、またね。
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そう、僕にもリノンのような根性が欲しい。歴代の勇者たちが見つけられなかったものを、この短期間で見つけた……そんなことを……。
きっと、交換日記では軽く書いているけど、それなりに苦労をしているだろう。
「それにしても……」
シルビィ、無茶してない? 僕の彼女がご迷惑おかけしてしまっ……。
シルビィに申し訳ない気持ちを抱きながら、僕はそっと交換日記を閉じる。
想いを届けたかのように、優しく光った。




