表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/81

根性……それが欲しい

 僕はリノンとの交換日記に、夢中になっていた。

 昨日の返事を待ちわびる。


 もしかすると、突然終わりが来てしまうかもしれない……。そんな不安を抱きながら……。


 「もうすぐ……」


 もうすぐ、リノンの冒険は終わってしまう。

 リノンの冒険が終わった時……。


 そんな時に、交換日記があわく光り、リノンの返事が来たことを知らせる。

 僕はそっと手にすると、新しいく追加されたページを開く。



 ------

 サンダージャベリンって、伝説の魔法だよ~☆


 大好きなユウスケへ☆

 ……ちょっと……いや、かなり…嫉妬したけど、

 まぁいいわ……。


 サンダージャベリンって魔法は、昔封印された魔法なんだって~。

 その所在は今まで誰もわからなかったけど、私たちが見つけたの。

 もちろん、街とかで情報収集してだけど……。


 「簡単に魔法を覚える方法ありますか?」


 って、聞いて回ってたら、難しいけどあるって、知ってた人が居たの。

 歴代の勇者たちも見つけられなかったそうよ?


 でね~、その人にお礼に行ったらね……。

 てっきり私が覚えるものだと思ってたみたい~☆

 そんなわけないのにね!

 びっくりした顔、今でも思い出すなぁ……。


 効果は次に書くね。


 じゃあ、またね~☆

 ------



 「相変わらす……」


 相変わらず、リノンの日記は元気に思える。

 僕も……元気になれる。

 そして……。


 「そりゃね……」


 ツッコミどころが多い……。

 でも、シルビィの事を書くのは、やめよう……。嫉妬で、交換日記を破かれたら、ひとたまりもない……。と言うか、僕達のつながりがなくなってしまう……。

 ひと時の感情で、何するかわからない……かもしれない。


 明日の返事で、どうツッコもうか考えながら、僕は眠りについた。


 ・・・・・・


 翌日、僕はリノンに返事を書いていた。

 リノン達の情景を思い浮かべながら……。



 ------

 その根性、分けてほしい……。


 大好きなリノンへ。

 魔法の事、ありがとう。

 効果はまた教えてね。


 ……教えてくれた人の顔は、僕も想像できるよ……。

 きっと、リノンの実力を見込んで、教えてくれたんじゃないかな……。

 そりゃ、剣士に覚えさせたら驚くよ!!


 歴代勇者に見つけられなかった物を見つけるなんて、凄いね!

 ……人見知りっていうけど、それを補うだけの根性が、リノンにはありそうだね……。


 どんな魔法か聞きたいな。

 もう使ってみたの?

 威力とかも聞いてみたいかも?


 じゃあ、またね。

 ------



 そう、僕にもリノンのような根性が欲しい。歴代の勇者たちが見つけられなかったものを、この短期間で見つけた……そんなことを……。

 きっと、交換日記では軽く書いているけど、それなりに苦労をしているだろう。


 「それにしても……」


 シルビィ、無茶してない? 僕の彼女がご迷惑おかけしてしまっ……。

 シルビィに申し訳ない気持ちを抱きながら、僕はそっと交換日記を閉じる。

 想いを届けたかのように、優しく光った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ