魔剣士の誕生・近づくエンディング
僕はリノンの返事を待っていた。
「リノン……」
もうすぐ魔王を倒して、リノンの世界には平和が戻る。
でも、僕達は……。
「いや!」
……最近そればっかりだ。夢を見てしまってから……。
僕がそんな悩みに苛まれているのを見透かしてか、交換日記は光りだす。
僕はそっと日記に手を伸ばす。
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シルビィ、魔法覚えました!
大好きなユウスケへ☆
うん♪
今日はこっちの話をするね☆
えっとね……一応、魔導書は手に入れたの。
そしてね、シルビィに読んでもらったの。
なんと、「サンダージャベリン」って、すごい魔法を覚えちゃったの!!
街でギルドにプロフィール渡したら、シルビィ2度見されてたわ(笑)
でも、魔力はちょっとしか上がらなかったから、
今シルビィに、頑張って「魔力の源」って薬を飲んでもらってるの。
魔力アップする薬なんだ~☆
でも、味がとても苦いらしくて、
うなされながら飲んでる~(^_-)-☆
じゃあ、またね~☆
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「……」
本当にやったんだ……。シルビィが気の毒になってきた……。魔力を上げるための薬……無理して飲まなくても……。
「てか……」
魔剣士にジョブチェンジ?
魔法も使える剣士と言ったら、そんな言葉を思いつく。
それにしても、リノンはツッコミどころ満載の冒険をしているらしい。
僕は微笑みながら、そっと交換日記を閉じた。
・・・・・・
僕の日常となった、リノンへの返事。
冒険の終盤に近付き、僕の気持ちが募っていく。
……不安な気持ちも……。
僕は勢いに任せて、交換日記を綴る。
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魔剣士の誕生だね!
大好きなリノンへ。
そっちの近況聞けて、なんだか嬉しいよ!
魔導書、手に入れたんだね?
前置きしとくけど……無駄なやきもちは妬かないように……。
シルビィ、魔剣士の誕生だね!
リノンのパーティーも強力になったんじゃないかな?
でも……シルビィにあまり無茶させないようにね……。
サンダージャベリンってどんな魔法なの?
効果とか、その世界ではどういうものなのか、知りたいな……。
……なんか、伝説の魔法のような気もしてきたけど……。
じゃあ、またね。
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「……聞いてばかりだな……」
僕はつぶやきながら、交換日記を閉じた。
交換日記は、優しく光る。僕の想いをのせて……。




