2度目の外泊・僕の冒険
もう少しで、冬休みは終わり。
僕は宿題をしながら、リノンの返事を待っていた。
今回の宿題はそれほど量は多くない。
交換日記がリノンの返事が来たことを、光って知らせる。
僕は宿題を片付けてから、交換日記を開いた。
……前半の文に、思わずぞっとする。
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……前半は見なかったことにして……( ;∀;)
大好きな
ユウスケへ~☆
……ちょっと、またシルビィが気になるの!?
シルビィの事は絶対に話さないからね!!(--〆)
私以外の女の子に興味持ったら承知しないからね!!
もう、ユウスケなんて、しら……。
……ごめん、勢いでここまで書いちゃった……。
書いてて冷静になったら、シルビィ、魔力0なのよね……。
どうしようかなぁ……( ;∀;)
……シルビィ魔法覚えてくれないかな……。
うん、水族館の話、聞きたいな……。
行ったら、是非聞かせてね!
私は魔王城目指して頑張るからね♪
ユウスケ、いつもありがとうね☆
P.S.
試しに魔法を使ってみたけど、
ユウスケの言う通りだった……( ;∀;)
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「ははは……」
うん……見なかったことにしたい……。告白させられた時の事を思い出す。あの時は嫉妬されて、大変だった……。
そして……肝心の魔法はやっぱり使えなかったらしい。
「……剣士に魔法を覚えさせるって」
魔法使いを仲間にした方が、早いと言いたいけど、きっと聞かない……。
シルビィ……僕の彼女がご迷惑おかけして、申し訳ございません……。
僕は、そっと交換日記を閉じた。
・・・・・・
冬休みが開ける前。
僕は電車で遠出をしていた。
リノンと約束した……水族館に……。
とりあえず、チェックインの時間に到着する。
冬なので大丈夫かと思いきや、温泉もあるようで、ハイシーズン扱いになっていた。
僕はその中でも一番安いところ……旅館を選んでいた。
一番安いと言っても、温泉街でもあるので、そこそこ値段はお高め。
「いらっしゃいませ~!」
のれんをくぐると、従業員さんが出迎えてくれた。
「こんばんは。えっと……予約していた、新田です」
「はい、受けてます。では、こちらに記載お願いします」
そう言うと、僕に宿帳を広げる。
そこには、住所と名前を書く欄があった。僕はそれに記入して、従業員さんに渡す。
「では、案内しますね」
僕は従業員さんに先導され、部屋に入る。
「浴場はこちらですので、ご自由にお使いください」
そう従業員さんは言うと、僕に鍵を渡して戻っていった。
部屋に入ると、畳部屋になっており、椅子が二つ用意されていた。
「……場違いかな……僕……」
少しくつろいでいると、部屋の戸を叩く音が。
僕は返事をして、戸を開ける。
「失礼いたします。お食事をお持ちしました」
そう言うと従業員さんは、持ってきた食事を机の上に並べる。
「ごゆっくりしてください」
従業員さんは挨拶をして、部屋から出ていく。
テーブルの上には、刺身や網焼きなどが並べられている。
「やっぱり……場違いだよね……」
なんか高いなぁ……とは思っていたけど、こんなに豪勢とは思わなかった。
食べ終わった後、浴場に行く。
源泉かけ流しなのだろうか? 岩風呂でお湯が絶えず流れている。説明書き、よく見てなかったけど……。
狭い浴場だけど、客室数が少ないせいか、僕一人の貸し切り状態。
風呂に浸かり、一息つく。
温泉……初めてではないけど、こうした雰囲気の温泉は初めてかもしれない。
軽く浴びて部屋に戻ると、料理は片付けられて布団が敷かれていた。
旅館って……こういうところなんだと、初めて知る。
色々と新鮮……。ここをとってよかったと思う。
僕の冒険の一歩は、出だし順調な気がする。
そうして、僕は交換日記を広げて、リノンに返事を綴る。
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簡単に覚える方法ねぇ……。
大好きなリノンへ。
……わかった、前半は見なかったことにしたい…。
けど、もう少し僕を信用してほしいな…。
今日は水族館の宿から書いてるよ。
明日の朝一から水族館に入る予定なんだ。
……確かに…リノンが言うように、こういうのが僕の冒険のような気がするよ……。
リノン、ありがとう。
魔法……剣士って覚えること出来るの?
以前勉強で覚えるとかも聞いたけど……。
……その方法は時間的に難しいよね……。
都合よく簡単に覚える方法なんてあるかな……。
じゃあ、またね。
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魔法の事は、リノンに任せよう。
僕は旅館に泊まっていることを伝えて……新鮮だった、僕の気持ちを伝えて……。
交換日記を閉じると、あわく光ってリノンに届けたことを僕に告げる。




