初詣
僕は大樹と神社に来ていた。
「男二人の初詣って、ちょっと切ないね……」
「まー、そう言うなよ」
二人で談笑しながら、列に並ぶ。
「どうしたの? 急に?」
「いや、俺たちも高校生だろ? これからの事も、もう考えなきゃだしな」
そう言えば、大樹は進学先を決めているのだろうか?
運動神経が良いから、そっち系なのかな……。
「俺はさ……医者になってみたいと思うんだ……」
唐突に。
大樹は自分の夢を語りだした。
「俺さ、スポーツやってて……それで故障しちゃう選手も見てきたんだ……。せっかく進学校に入ったんだから、そういう選手を救う側になりたいって……。そう思えるようになったんだ……」
大樹の夢を聞いて、少し驚く。いや、びっくりした……。てっきり、スポーツ系に行くものだと……。
「大樹は選手にはならないの?」
「俺はそんなに実力ないよ……」
うなだれる大樹。いや……期待の選手じゃない!? 僕が何かを言いかけると、遮るように大樹は続ける。
「選手の気持ちに……立場になって考えることが出来る、医者になりたいんだよ」
大樹は笑みを送る。
そうか……大樹はそんなことを……。なんか、僕は先越されてしまったように感じた。
話をしていると、待ち時間が短いようで。
お参りする順序となった。
賽銭を投げて拍子を打って、願いを届ける。
……どうか、リノンが無事で……そして、叶うなら……逢いたいです……。
この願い、届くだろうか?
きっと……こっちの世界の神様がいるのであれば、困惑するだろうな……。
「雄介は何お願いしたんだ?」
「……言ったら叶わないんじゃなかったっけ?」
「そうだったな」
大樹はそう言うと、笑っていた。
・・・・・・
「……ユウスケ」
優しい声が聞こえる。
「ユウスケ……だよね?」
僕はその声に反応して、うなずく。
「やっと……逢えたね!」
声はそう言うと、僕に抱き着いてくる。
柔らかい香りが、僕の鼻孔をくすぐる。
「ここは?」
声の主に尋ねる。
「まだ寝ぼけてるの? ここは私の世界だよ?」
なんとなく。
なんとなく、中世を思わせるような街並みが、遠くに見える。
そうか……僕はリノンの世界に来たんだ……。
今は……僕は……膝枕をされて……。
「!?」
……目が覚めた。
・・・・・・
僕の逢いたい気持ちは、どんどん募ってゆく。
その気持ちを抑えながら、僕は交換日記を綴った。
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ついに魔王城が近づいた?
大好きなリノンへ。
うん、料理、約束するよ。
水族館、本当に覚えたのかな……。
食べ物屋でも、捕り放題のお店じゃないからね?
そうそう、海鮮の食べ物屋は調べたから、もし来れたら行こうね?
魔王城の事、ごめん……。
僕の事でいっぱいで、話しそびれちゃった……。
もうすぐで魔王城なんだね?
今はレベルいくつぐらいなの?
装備は……聞くまでもなさそうだけど……。
なんか、生き生きとしているリノンの活躍聞くと、僕の事のようにうれしくなるよ!
じゃあ、またね。
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交換日記では、リノンがこっちに来ることが前提で、話が進んでる。
でも、可能性として、僕が行くこともあり得る。
そして……。
「いや!!」
もう一つの可能性は、今は考えたくない。
そんな考えを振り切り、僕は交換日記を閉じた。
交換日記は優しく僕に、「心配しないで?」と語るようにあわく光り、リノンに届いたことを告げた。




