僕にとっての冒険とは?
僕はリノンの返事を待っていた。
待っていたのを知っていたかのように、交換日記はほのかに光りだす。
交換日記を手に取り、追加されたページを読む。
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冒険は力なり!
大好きなユウスケへ☆
……だって、ちょっと疑いたくなったんだもん……。
ユウスケ、すごく優しいところあるから……。
ちょっと不安になっただけ。
うん、信じるよ♪
店長さんも冒険に出たの??
冒険に出た人は見守らなきゃダメ!!
だって、冒険すれば成長もあるんだから!
店長さんもきっと、成長したかったんだよ。
だから、店長さんの冒険も見守ってあげてね♪
……店長、女じゃないわよね?(--〆)
今はだいぶ暖かいところに来て、羽虫のモンスターと戦っているの!
……ここでも問題があって……。
私の武器だと、羽虫の体液浴びちゃうのよね…。
じゃあ、またね~☆
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「冒険……かぁ……」
店長もある意味冒険……。僕はリノンと交換日記を交わして、成長しているだろうか? 僕にとっての冒険とは一体……。
リノンだけが成長しているような気がして、僕は軽くへこむ。
現代にとっては学校の授業を受けて、社会に出るだけ……漠然とそう思っていた。
もちろん、自分にとって好きなことに磨きをかけて、チャレンジする人だっている。
でも……僕は……。
こんな臆病な僕をみて、リノンはがっかりしないだろうか?
そんなことを考えながら、僕は眠りについた。
・・・・・・
僕はリノンからの、昨日受けた宿題を考えていた。
「僕にとっての冒険……」
つぶやきながら考える。
思い当たらない……。店長がやったようなこと?
僕はリノンに問いかけてみることにした。
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店長はガチムチのおっさんだよ。
大好きなリノンへ。
信じてくれると嬉しいよ。
だって、この気持ち、伝わらなかったら、僕は悲しいから……。
店長…ガチムチのおっさんだよ……。
年の割に無茶する人で……。
冒険って、食べ物でやったんだよ?
お客様に出したら大変なことになっちゃうし……。
……最悪、店がつぶれちゃうよ……。
でも、冒険は成長って、なんかいい言葉だね。
僕も、リノンのそういうところ、見習いたいな。
僕の冒険って何だろう……?
探すと見つけられるかな……。
戦闘の事、教えてくれてありがとう!
リノンの活躍、聞けたような気がするからね。
また聞かせて?
じゃあ、またね。
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ガチムチのおっさんに、無駄ヤキモチ妬かれる前に訂正しておく。
僕にとっての冒険とは何か……。そんな疑問を抱えながら、僕は交換日記を閉じる。
僕の疑問に答えを出してくれるかのように、優しい光りで応える。




