表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

43/81

目指しているところはレベル99

 バイト先。

 今日は休日なので、一日バイト。


 「雄介、頼んだぞ!」

 「わかりました!」


 僕は注文の品をお客さんに届ける。


 「お待たせしました」

 「あ、新田君、元気だった?」

 「おかげさまで……」


 前回バイトしてた時の、顔なじみさん。よくこの店に来ている。

 僕の事を覚えていてくれたようだ。

 名前は、胸にプラカードをしているので、それを見て呼んでくれたらしい。


 なんだかよくわからないけど、そういう挨拶を何度か交わす。

 チェーンのファミレスなのに、お客さんがフレンドリーだったりする。これも店長の人柄のおかげだろうか?


 そうやって、一日を過ごした。


 ・・・・・・


 「疲れた!!」


 僕はバイトから帰るなり、ベッドで横になった。

 フルタイムとはいかないので、時刻は夕方。少し横になって、今日の疲れを癒す。


 「雄介~ご飯よ~!」


 僕がうとうとしていると、母さんの呼び声。


 「今行く~」


 僕はリビングに行き、食事をとり、風呂に入って部屋に戻る。


 「少し時間があるな……」


 僕は、前からの日課である勉強をしながら、交換日記の返事を待った。

 勉強の区切り……と言うか、だいたいリノンからの返事が来る時間に、終わらせるようにしている。

 ちょうど、交換日記が光り、リノンの返事が来たことを示す。


 僕は、交換日記をそっととり、そっと開いた。



 ------

 もちろん!レベル99!!


 大好きなユウスケへ☆

 うん、もちろんそのつもりだよ~☆

 だって、レベル99って魅力的じゃない?

 そして、魔王と決戦に挑むの。

 そしたら、私の名前ってず~っと残りそうじゃない?


 ……でも、最近の悩みは、ギルドでレベル書くと、

 二度見されるところかな……。

 私って、そんなにレベル無いように見えるのかしら?


 バイト……って、ギルドの事よね?

 前に聞いた時、ユウスケは運び屋だと思ったんだけど、料理屋さんだったの?

 ユウスケ、料理出来るんだ~☆

 そっちに行けたら、ユウスケの手料理食べたいな……。


 じゃあ、またね~☆

 ------



 「リノンらしいなぁ……」


 僕は微笑みながら、リノンの文字をかみしめる。

 レベル99を目指す……かぁ……。

 そりゃ、ギルドで二度見されても仕方ないレベルだと思う。

 歴代の勇者を超えてるんだから……。それに、装備は……。


 「……初期装備だよな……」


 思わず、笑いがこみ上げる。

 リノン……面白いよ……。


 僕は、交換日記の余韻に浸りながら、眠りについた。

 バイトの疲れもあってか、すぐに寝入ってしまった。


 ・・・・・・


 今日もバイトのシフトが入っていたので、学校の帰宅後、店に入った

 ……いくら何でも、毎日入れられるとは思わなかった。


 バイトをこなし、僕は帰宅。

 今度は僕が書く番。



 ------

 手料理、頑張るね。


 大好きなリノンへ。

 ……やっぱりそうか……。

 頑張れとしか言いようがないかも……。


 なんかね……ちょっと魔王が可愛そうな気もしてきたよ…。

 せめて、苦しまずに楽にお願いしますm(_ _"m)


 二度見は……多分違う理由だと思うけど、まぁいいか。


 バイトは……いや、運び屋の方が近いよ?

 注文聞いて、お客様に出す係…配膳係って言ったらわかるかな?


 僕はそれほど料理は得意じゃないけど、リクエストに答えて手料理出せるように頑張るね!

 僕もリノンの手料理食べたいけど……。

 料理は得意なのかな?


 じゃあ、またね。

 ------



 「……バイトの事も誤解させたままだったなぁ……」


 前に、軽い気持ちで書いていた僕を呪う。

 冗談半分で書いていた、過去の僕を殴りたい。

 リノンは真剣なんだそって……。


 でも、レベル99目指すとなると……魔王が気の毒かな?

 サクッと倒しそうな、リノンの姿が思い描ける。

 ……ほぼ、初期装備のリノンに……。


 「ちょっと気のどくかな……」


 リノンには失礼だけど、魔王が少し気の毒な気もしてきた。


 交換日記を閉じると、淡く光る。

 そんな魔王の想いまでは届けなくてもいいと、祈りながら……。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ