交換日記が存在することに感謝
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現在レベル63だよ~☆
大好きなユウスケへ。
……日記が消えることは忘れましょ♪
今こうして日記が出来る事に感謝して…ね?(^_-)-☆
もうすぐ冬休みなんだ……。
こっちって季節があいまいだから、夏と冬が違うっていうのは、
不思議な感じ……。
こっちはね……そうね、手下の城のところからね。
……一瞬だった……。
手ごわいイメージで居たんだけど、拍子抜けって感じだったの。
で、今はクエストをこなして、転々と経験値効率が良いところ、探してるのだ~☆
噂で聞いたんだけど、魔王城のそばには、あの固いモンスターの親分みたいなのが居るんだって♪
今から楽しみなの~☆
レベルは63だよ~♪
じゃあ、またね~☆
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リノンからの返事。
そう……交換日記が、こうして存在していることに、感謝しなければならない。今、僕達をつないでいるのは、これしかないから……。
重ねていくにつれて、募っていく僕の気持ち……もう止めることが出来ない。
僕達の物語が、悲しい結末にならないように、祈りながら……。
「レベル63かぁ……」
もうリノンの物語は、終盤なのだろうか?
停滞していた、リノンの物語は急速に展開していく。
もしかすると、リノンが魔王と倒すと……。
「いや、考えないって、約束したんだ!」
僕は、僕自身に向かって、ハッパをかける。
明日……僕が書く内容を考えながら、僕は眠りについた。
・・・・・・
そして、今度は僕が交換日記を綴る。
リノンの世界……リノンの物語を、もっと聞きたくて……。
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最大レベルっていくつなの?
大好きなリノンへ。
……わかった。
今、日記があることを感謝するよ。
……相変わらず、経験値効率求めるんだな……。
そんなに強くなってどうするの?
武器とかは買ってる?
もしかして……毒針2本とドレスだったりするの?
レベル63かぁ……。
……もう、イメージができないかも……?
そもそも、魔王ってどれくらいのレベルで倒せるかわからないし……。
とあるゲームだと、結構楽勝だと思うレベルなんだけどな……。
そういえば、最大レベルってどれくらいなの?
99? 999? それとも無限?
……リノンの話を聞く限りだけど、999は無いかな……?
……ごめん、そっちの話ばかりになっちゃった……。
また、教えてね。
じゃあ、またね。
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「リノンらしいよね……」
僕は独りつぶやく。
最初っから。本当、最初っから、経験値を気にして旅をしている。
「そんなに強くなって、どうするんだよ……」
僕は、笑う。
交換日記が消えてしまうことを、忘れて……。
「まさか、装備は……変わってるよね?」
いや、リノンの事だ……きっと、こだわって、変えてないに違いない。
仲間……シルビィは大丈夫だろうか?
僕は、交換日記が存在することに感謝しながら、そっと閉じる。
感謝が通じたかのように、交換日記は優しい光で、僕に語り掛けてきた……そう思えた。




